5月27日 金曜日

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グラシアス、サンドロ!

バルサにスペクタクルとサンバのリズムを復活させてくれたロナルディーニョとデコ、そしてサムエル・エトー。前者二人がサンドロ・ルセーの活躍によって獲得された選手なら、後者はジョアン・ラポルタの手腕で入団が可能となった選手と言われている。会長、そして副会長としてバルサの復活に貢献してきたこの二人だが、彼らの“確執”がずいぶんと前からメディアを騒がせている。6年ぶりのリーグ優勝を飾りバルセロナの街中で100万人のバルサファンに熱狂的に祝福されたメデタシバルサでありながら、この二人には何があってもメデタイ関係は戻ってこないようだ。。

二人の間でおこなわれた“深夜の密会”により、それまで抱えていたそれぞれの“違い”を清算することに成功したとメディアが伝えたのは今から半年ぐらい前のこと。だが奇妙なことに、その日以来サンドロ・ルセーは理事会内部からもメディアからも事実上消えることになる。クラブ副会長にしてフットボール部門最高責任者であるサンドロ・ルセーだが、冬のマーケットで獲得したアルベルティーニとマキシ・ロペス交渉にはいっさい関わっていないし、新加入選手の契約書類にあるべき彼のサインする箇所もすでになくなっていたようだ。メディアへの登場もあの日以来おこなわれたことはない。したがって、セレソン関係者が次のように語るのは、なまじっか嘘ではないような気がする。
「6月におこなわれるドイツでのコパ・コンフェデラシオネスへのロナルディーニョの不参加をバルサが要請してきたことは一度もない。これまでならサンドロが必ず交渉してきたが、彼からもいっさい連絡がなかった。」
つい1週間前にそう語っていたセレソン関係者だ。

この二人の確執の表向き理由、それは最初のシーズンの前半を終わった段階で散々な成績を残していたフラン・ライカー監督に代わり、フェリッペ・エスコラリーの監督就任をサンドロが訴えたことに始まると言われている。だが、それが理由の一つであったとしてもすべてではないことは誰にも理解できる。サンドロはこれまで理事会内の“不透明さ”を散々訴えてきたし、つい最近ではロナルディーニョの長期契約に反対しているとまで伝えられている。ラポルタはラポルタで、そういう訴えを“内乱行為”として間接的に非難してきている。これまでは親友の間柄と言われてきた二人が、それぞれをよく知る人々が言うには“単なる知り合い”という過去の関係に変化してきている。当人や、その当人たちをよく知る人々にしかわからない事柄であり、外側にいる第三者にはチットもわからないことながら、いずれにしても亀裂は存在し、そしてそれはもう埋められないものとなっているようだ。したがって、シーズンが終われば普通に考えられること、会長の辞任は当然ながらないから、それは副会長の辞任ということになる。

水曜日、半年ぶりの沈黙を破りテレビのインタビューに登場したサンドロ・ルセー。
「これまで仕事をしてきたビジネス界での経験からいうと、組織内部で問題が生じたときには内部にいる当時者同士が徹底的に話し合えば最終的に方向性の一致を見ることが可能となる。だが外部の人間から何らかの介入があったりすると話は非常にややっこしくなるんだ。最終的な判断を下す人間が外部の影響力から完全に自由であるという精神を持っていれば問題は違ってくるが、そういうことは滅多にあるもんじゃない。我々の理事会も決して例外とはならなかった。」
彼はこの長いインタビューの中で「ラポルタとは友人関係ではないもののお互いに尊敬しあっている仲である」こと、そして「この半年間は選手補強問題や放出問題に関していっさいの相談を受けていない」ことも告白している。

野党でいられた期間には“反権力”という一つのスローガンのもとに“仲良しグループ”を構成していた人々が、一つの巨大な権力を握り、想像を超えるプレッシャーに立ち向かうとき、その人間関係に亀裂ができることはどこの世界にも良くあることだ。だが、これからサンドロ・ルセーがどういう決断をとるにしろ、彼がこの2年間にバルサというクラブに貢献した功績は計り知れなく大きい。いかに権力側の人間であろうとその歴史を消し去ることは許されない。
スエルテ、サンドロ!

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