アンデルソン Andersson

「俺がバイエルンなんてビッグクラブでプレーできるなんて、誰が予想できただろう! しかもリーグ優勝を決めるゴールを俺が入れるなんて、いったい誰が予想できただろう!」 彼はブンデスリーガ最終戦で、ハンブルゴ相手に、リーグ優勝に導いたゴールを決めたあとのインタビューで興奮気味に語った。それは、後半49分の奇跡的なゴールであった。そしてさらに奇跡的なのは、このゴールが彼にとってブンデスリーガでの初得点でもあったことだ。

パトリック・アンデルソン(アンデルションあるいはアンデション)。
1971年8月18日、スエーデンのボールジェビーで生まれている。彼の父はマルモーというクラブでプレーするフットボール選手であった。ポジションはディフェンス。しかもチームでは要となる重要なスタメン選手であった。したがって、彼は5歳の頃になると母と弟と一緒に父がプレーする試合をよく見に行くようになった。そして子供のほとんどがそうであるように父と同じ道に進むのを夢みるようになる。

地元の小さいクラブの少年部をいくつか転々としたあと、パトリック20歳の時、二つの夢が同時に実現する。1991−92のシーズン、父がかつて所属していたクラブに入団できたことが一つ。そしてもう一つは、トラックの運転手を辞めて、プロフットボール選手として生きていけることだった。

パトリックは1年だけ父と同じクラブでプレーしたあと、プレミアリーグへの挑戦を試みる。しかし彼には水があっていなかったのか、翌年にはブンデスリーガへと移る。そして1999ー00のシーズン、バイエルンが300万ドルで彼を獲得する。

かつてのバルサのスター選手ベルナルド・シュステルは、今シーズンまでバルサでスカウトマンをしていた。ヨーロッパ中、試合のあるところどこにでも出向き、選手の情報を集めるのが彼の仕事。パトリック・アンデルソンも彼のお気に入りの選手の一人であった。彼はパトリックについて次のように分析している。

「パトリックの強みは何と言ってもブンデスリーガでの長い経験。この経験はバルサにとって非常に貴重なものになるだろう。」

「彼の特徴は、フィジカルの強さにある。テクニックを彼に求めてもしかたがない。間違ってもバルサは、バックスの彼からクーマンやデブーのような計ったようなロングパスを期待しないこと。だがその反面、ディフェンスとしての仕事は抜群のポジショニングで見事にこなすだろう。」

「彼の今までのゴール数に見られるように、決して攻撃的な選手ではない。せいぜいコーナーキックの時に前に出るぐらい。しかし、今のバルサには彼のようなディフェンス・ディフェンスの選手が必要だと思う。」

シュステルが言うようにブンデスリーガでの経験は非常に長い。しかしインターナショナル選手としての経験もそれに負けないぐらい長いのだ。今までスエーデンナショナルチームの選手として92試合に出場し、スエーデン選手史上5番目の出場数を誇っている。

パトリックはバルサ入団記者会見の席上で、バルサのネクタイを結んでいた。しかも最初に発した言葉が「ボン・ディア(カタラン語で、おはようの意味)」であった。大人のパトリックはなかなか憎いことをやる。ちなみに彼の弟ダニエルは、来シーズンからフィオレンティーナと4年の契約を結んだ。