ルストゥ  RUSTU

今から2年前、レクベル・ルストゥは小さい頃からの“夢の一部”を果たすことになる。カンプノウでプレーすること、それが彼の“夢の一部”だった。残念ながらバルサの選手としてではなくフェネルバッチェの選手としてだが、それでも“夢の一部”であるカンプノウでのプレーは可能となった。
「いつか、そういつか、バルサの選手としてこの偉大なスタディアムでプレーしたい。」
フェネルバッチェのポルテロは試合後にそう思ったという。7歳の頃からバルサファンだったというルストゥにとって、カンプノウでデビューを飾った時にはすでに28歳となっていた。だが遅いことなどない、いつか、そういつか、夢が実現するかも知れない。そして、その夢が驚くことに実現してしまう。

1973年5月10日生まれというから彼がバルサに入団することが決まった今年はすでに30歳となっている。だがポルテロにとって30歳なんていう年齢は何も意味しない、そう思うルストゥ。彼のアイドルであるシューマイケルは30歳過ぎてからがポルテロ選手の見せ所だと語っているではないか。

トルコのフェネルバッチェで7年間ポルテロを務めた彼は、フェネルバッチェファンだけではなく多くのフットボールファンにとって神に近い存在だ。フェネルバッチェがシーズン中どんなに調子が悪くなろうと、ポルテロ・ルストゥが責められることはない。トルコ代表チームがどんなに点を入れられようがポルテロ・ルストゥを批判する人々はいない。人間は神を責めたり批判したりできないからだ。

だが彼がまったく偶像化されてそう呼ばれているわけでもないようだ。ユーロコパ2000ではゴール枠内に飛んできた85%のボールをさばいているし、ワールドカップ2002ではオリバー・カーンの88%についで86%という数字を記録して2位になっている。

もちろんこの記録に無関心ではいられない人々があらわれた。特にプレミアリーグのアーセナルやマンチェスターが韓国・日本ワールドカップ終了後にルストゥ獲得に動きだしていた。だがルストゥは動かない。どんな魅力的なオファーがあろうと動くつもりはなかった。彼は約束を守る男だ。フェネルバッチェとの契約期間は決して放棄してはいけないという暗黙の了解事項が彼にはあった。だがもちろん契約が切れれば別の話だ。前シーズンが終了した段階でフェネルバッチェとの契約が切れる今、そして30歳になろうとしている今、冒険をするには最後のチャンスかも知れない。そしてそれがバルサからのオファーだったら、そう、もちろん考えることは何もない。地中海をひとっ飛びだ。