移籍料2900万ユーロ+オプションボーナス600万ユーロ(チャンピオンズ参加権300万ユーロ、タイトル獲得300万ユーロ)=3500万ユーロ、これがダニエル・アルベス(1983年6月5日ブラジルのジュアゼイロ生まれ)獲得にかかった費用だ。クラブ史上、オーベル、サビオラ(何という不吉な例だ!)についで3番目の高額な移籍料となっている。もちろんデフェンサ選手としてのそれとしては、クラブ史上最高額であることはもちろんだ。これは高い!

そう、この3500万ユーロというのは、それもラテラル選手に対する移籍料としては目玉が飛び出るほど高い。だが、それでも、高いことは高いが、それが無駄金となるかどうかは別の話となる。彼の先輩(もちろんオーベルとサビオラ)のような活躍程度では、ほぼ無駄金という総括になるだろうが、もし彼のアイドルであるというカフーやロベルト・カルロスのように、数シーズンにわたっての大活躍を見せてくれれば、それは無駄金どころか良い買い物をしたことになる。したがって、数字を見た限り、これは高い!となるものの、これからの彼の活躍度を見なければ本当のところはわからない。アルベスの活躍によってリーグ優勝3回、チャンピオンズ2回でも制覇することになれば、それはそれで安い高級品買いとなることは間違いない。

これまでバルサに入団してきた何人かのブラジル出身選手と同じように、ダニエル・アルベスもまた貧しい家庭で育っている。そして過去のブラジル選手と同じように、フットボールのプロ選手となることを夢見て少年時代を過ごしている。初めて在籍したフットボールクラブは地元のジュアゼイロというチーム。そして10代後半にはバイアというチームでプロデビューを飾っている。そのデビューからわずか1年半後、2002ー03シーズン中の冬のマーケットを利用して、アルベスはセビージャに移籍してきた。バイアに支払われた移籍料はわずか80万ドルという。現在ビルバオの監督をしているホアキン・カパロスが当時セビージャの監督であり、アルベスはいまだに彼を師の一人として尊敬してるという。彼のリーグデビューは2003年2月23日におこなわれたエスパニョール戦であり、それ以来、ほぼスタメンを勝ち取っている。

サンバのリズムとラップミュージックを好み、あの顔からは想像しにくいが読書も好む。まだ25歳の誕生日を迎えたばかりながら、すでに奥さんのディノラとの間に2人の子供をもうけている。2歳になるダニエル、そして8か月のビクトリア。多くのブラジル元バルサ選手がそうだったように、彼もまた地中海に面しているカステルデフェルスとかガバの街に住むことを望んでいるという。

「セビージャも決して小さなクラブではないと感じていたけれど、スペインを離れたところでも、こんなに大勢のファンが出迎えに来る風景は経験できなかった。いや、ファンの数だけではなく、報道陣の多さにもビックリしている。一国の首相まで合宿所を訪ねてくるなんて、いったいどうなっているんだろう。スコットランドにやって来て、バルサというクラブの影響力の大きさを再確認している。」
スコットランド遠征に参加してきたアルベスがそう語る。プロ選手としての偉大な一歩を踏み出したアルベス。セビージャ時代には経験したことがないもの、バルサ名物の“負傷”という洗礼をすでにチャンピオンズ予備選で済ましている。わずか2週間程度の軽傷ながら、ここ何年かのチーム伝統を守ろうとしているかのようだ。バルサとの契約は2012年までの4年間。違約金は9000万ユーロと設定された。

スエルテ!アルベス!
ブエナ・スエルテ!