クーマンは語るのだ
2001/1/25)

テンサイ・ロナルド・クーマン・バカボンは選手時代、クライフの率いるアヤックス、グースヒディング率いるPSVの下でプレーしている。そして現役引退後もサブコーチとしてオランダが誇る最高のスタッフ、つまりミチェルス、ファンハール、ニースケン、ライカーなどと共に、仕事をしている。

 

いまいるビテッセはどうですか?

限りなく寒い毎日と、とてつもなく多くの問題を抱えている。今では一体誰がクラブの会長なのか分からないし、本当にややっこしいことばっかりおこっている。一週間に4人くらいの新聞記者が来ればいいほうだし・・・。バルサにいたころとは比べものにならないのだ。

セラフェレールは毎日30人以上の新聞記者に囲まれていますが。

すごいよ、バルサの注目度は。ただ彼が正しく評価されているかというと、決してそうではない。彼はタイミングの悪い時にコーチになったし、誰もが彼のようにある種の悪条件の下にチームを引き受けるとは限らない。なぜそうしたかと言えば、彼は正真正銘のバルセロニスタだったからだろう。
チームの出だしが悪かったのは、多くの選手のケガという不運もあっただろうし、慣れないプレッシャーも影響したのだろう。でも今は勝ち続けているようだし、冷静さも戻ってきているみたいだ。とにかく、彼のやりたいようにやれる環境をみんなが作ってあげるべきだし、評価はシーズンが終わった後にされるものなのだ。

あなたもバルセロニスタですか?

だよ〜ん。でも子供の頃はアヤックスなのだ。それでもいつもイタリアよりはスペイン、マドリよりはバルセロナに惹かれていた。何たって、ミチェルス、クライフ、ニースケンがいたんだもんね。そして7年間のバルサ選手時代にバルサの何たるかを学んだし。僕は完全にバルセロニスタなのだ。

バルサの何たるかを知ることは監督になるために重要なことだと思いますか?

それはとっても重要なことだ。例えば普通のチームなら勝つことだけでファンの人々も満足してくれるが、バルサの場合は試合内容が悪かったら勝っててもブーイングがおきる。バルサの何たるかを知らない人にはとてもとても理解できないことなのだ。

バルサのシステムについては?

その場その場で変えることはあっても、基本的にはいつも同じシステムでプレーするべきだ。以前グアルディオーラがインタビューで言っていたように、二人のエストレーモを左右においてグランドを広く使うシステム、それがバルサのシステムというものなのだ。
ところで彼は契約のことで話題になっているみたいだが、どうもよく理解できん。彼は最終的にバルサでユニフォームを脱ぐ、数少ない選手。今バルサのことを語るとすれば、それは彼のことを語るということなのだ。

最近はカッペロが次期監督にうわさされていますが。

シーズン中のこういううわさというのは、会長がしっかりとコントロールしなければいけないことだ。そうでないとセラフェレールがわいそうだ。カッペロは確かに素晴らしい監督。ただ彼のシステムがバルサファンに受け入れられるかどうかというのは、別の問題だと思うのだ。

やはりいつかはバルサの監督に、と考えますか?

それはもちろんなのだ。時々、遅かれ早かれバルサの監督になるだろうと思うし、またある時はそれはなかなか難しいかもしれない、と思ったりもする。自分一人の意志ではどうにもならないことだから。

多くの人があなたはバルサにむいているけれど、カッペロはどうかという感情をいだいているようですが。

カッペロは僕よりはるかに経験を積んだ監督だし、多くのタイトルを獲得している。でも明らかなことは、彼はイタリア式フットボールの本流だということだ。バルサはここ10年間、魅力的なフットボールを追求してきた。僕のシステムは3人のアタッカーを配置して、そのうち2人がエストレーモ。システムに完璧なものはないだろうけれど、ようするにバルサが何を望んでいるかということだろう。

もしあなたがバルサに来るとしたら、どのようなプランニングをしますか?

まず始めに、カンテラにどんな選手がいるかということをみる。なぜなら彼らがチームのベースになるのが理想的だから。その後、スペイン人でどんな選手がいるかを見なくてはならない。例えばエウセビオみたいな選手がね。スペインリーグを知っていて、さらにバルサの何たるかを知っている選手。この人たちがベースになって、本当に「クラック」と呼べる最高の外国人選手を何人か加えてチームを編成したい。2つのチームが作れるような22人のインターナショナル選手は必要ないと思うのだ。

それでは各個人に対する印象を。まず、コクーについて。

バルセロナの人は彼の活躍に驚いているかもしれないけれど、オランダ人の中にはビックリしている人はいない。彼はPSVでも、ナショナルチームでもいろいろなポジションを合格点でこなしていたから。なんたって、あのクリクリ目がさらに最近クリクリになっているみたいだから、体調もいいのだろう。

デブーについて。

彼はもっとリーダーシップをとるべきだ。スペインリーグに慣れるのに必要以上に時間がかかってしまった。でもそれは同じディフェンスだった僕にはある程度理解できる。つまり、オランダリーグでは最後のラインの選手がミスしても救われることはあるが、スペインリーグではそれは絶対許されないことなのだ。

クライハートについて。

現時点で世界最高の選手だと思う。スピードがあり、強さ、テクニックがずば抜けている。もっとゴールを決められる選手だと思うのだが。

オーベルマルスについて。

カピタンチキが言っているように、彼は決してストイコフにはなれない選手だから、ゴールにきりこんでいくというより、線審と常に仲良くしてラインを走るべき。早さ、両足のテクニックを持っている人だから、バルサのエストレーモとして貴重な選手なのだ。

クライフと毒チューリップに関して。

クライフは選手としても監督としても「インスピレーションの固まり」みたいなもの。一方ファンハールは、元々学校の先生だったこともあり「秩序」のお化けみたいなものだ。どちらが良いとは言えないが・・・。

 

カピタン「よーし、これで決まりなのだ。カッペロやクーペルなんかいらないのだよ〜ん」