帰っておいで、オーベル

(2001/2/15)


3日のビルバオ戦開始前の練習で、3本のシュートを全てポストに当てていたオーフェルマルスを見て、「ほう、さすがだなー」と感心していたカピタンチキだが、いざ本番というところでやっとゴールを決めた。うーん、なかなかの役者とみた。
2月14日現在、彼は足の故障のリハビリ中であるが、順調にいけば17日のコルーニャ戦、遅くとも22日のUEFAカップには出場できる見込みだ。

ビルバオ戦で、ようやくゴールがきまりました。

あの試合をきっかけに、これからもっとゴールをきめられるという確信がうまれました。今までかなりのチャンスをもらいながら、なかなかきめられませんでいたからね。これで運が向いてくるような気がします。

今までの試合内容を見ていると、ゴールは絶対決められないのではないかと疑う人まであらわれましたが・・・

少なくても、一試合に一回は決定的なチャンスがありましたからね。それらのいくつかはゴールポストに当たるという不運がありましたが。いや決して言い訳しているわけではなく、とにかくついていなかったのも事実だと思います。

まあ、ゴールのことは別として、プレー自体は試合ごとに上向きという印象ですが。

ポジションがかわったことが大きな原因でしょう。シーズン開始当時より、あまりディフェンスのほうに下がらなくてよくなってますから。今までより攻撃の方に専念できるのが、うまく作用しているのでしょう。

アヤックス時代に戻っているということですか?

いいえ、個人的にはアヤックス時代より攻撃的なポジションについていると思います。あの頃はセントロカンピスタに位置していたことが多かったですし、何よりもシステム自体が今の方がもっと攻撃的です。

セラフェレール氏にポジションの変化を要求したのですか?

いいえ、そんなことは要求しません。ただ彼も思うように物事が運ばなかったんで、システムチェンジをしたのでしょう。すべて、ブルッハス戦から変わりましたね。

オーフェルマルスは現代のフットボール世界において、数少ない本物のエストレーモ選手だと思うのですが、なぜこんなにエストレーモの選手が少なくなってしまったのでしょうか?

実際、ヨーロッパの有名なクラブチームを見てみると本当に少ないですし、年ごとに減ってきているような気がします。確かにフットボールは年と共に変わってきていますよ。攻撃的なエストレーモタイプより、体力を武器とするセントロカンピスタが好まれる傾向とかね。その点オーベルは、今まで在籍していたチームがエストレーモというポジションを使っていたという意味で、運がよかったですね。何人かの素晴らしいエストレーモタイプの選手達は、自分の力を出せる場所がなくなってしまって、何か可愛そうな気がします。

さて、フットボール選手になろうと決心したのは、いくつ頃のことですか?

10歳か11歳のころでしょう。アヤックスにも「LA MASIA」と同じような施設があって、オーベル少年は月曜から金曜までそこで過ごし、週末は実家に戻るという生活をしていました。もうその時にはプロの選手になろうと思っていました。

「LA MASIA」の話しがでたので、カンテラについて。

アヤックスとバルサは似ているチームです。両方とも攻撃的なチームですし、ワンタッチフットボールを看板にしていますからね。ファンの人たちも試合の結果だけではなく、魅力的なフットボールじゃないと満足してくれません。そういう意味では、決してイタリアのフットボールには馴染めない人種ですよね。
「良いフットボール」が「攻撃的フットボール」の同意語であるとすれば、カンテラにいる子供達にも同じシステムというか、同じ精神で教育していくべきでしょう。

オランダの人たちは、バルサのことをどう思っているのでしょうか?

もちろんアヤックスファンには、バルサに親近感を抱いている人たちがいっぱいいます。ここで活躍すればいつかはバルサに行ってしまう、という思いはあるでしょうが、逆にそのことをとても誇りに思う人たちも多いのです。オーベル自身も今よりずいぶん前にバルサに来るチャンスはあったんです。まだアヤックスにいる頃にクライフが声をかけてくれたのですが、クラブ同士の経済的問題が障害となり、結局は来れませんでしたが・・・。

結局はイギリスに行くことになりましたね。

ええ、アーセナルに行きました。ベンゲルという監督は才能ある若手を起用するのにたけた人です。アネルカも彼のもとで17歳の時にデビューしてますし、ビエイラは18歳の時でした。今うわさになっているカッペロという監督のことはよく知りませんが、彼にはそういう才能があるんでしょうか。まあ、いずれにしても、アヤックスとかバルサとタイプの監督ではない気がしますが・・・。

バルセロナはどうですか?

オーベル計画では、現役引退後は田舎のエペに帰って、農業に専念することにしています。ただ何かの事情で都会に住まわなければならなくなったとしたら、間違いなくバルセロナに住むでしょう。この街には全てがありますからね。理想的な街の大きさ、快適な気候、そして海と山。ロンドンにいた時には考えられないことです。
そして何よりも印象的なのは、バルサというチームがバルセロナという街の中で、最も重要な存在の一つであるということ。私たちのすることが、多くのバルセロナの人たちに影響を与えるということですからね、you know?

カピタン「オーベル農業計画。まあ先のことはいいとして、早く戻ってらっしゃい!」