バルサが狙う32人のエリートたち
(2001/5/8)

「La Masia」編で毎回登場したオリオル・トルト氏を覚えているだろうか。若手選手の才能を誰よりも早く見抜き、バルサの少年部にスカウトすることを生涯の仕事とし、つい最近亡くなられたバルサとはきってもきれない人物である。実は彼には陰のようにいつも一緒だった人物がいる。その名はジョアン・マルティネス・ビジャセカ。ここ何年かは、スペイン国内に留まらず五大陸をまたにかけ走り回り、若手といわず、すでに活躍している選手のインフォメーションを集める仕事に従事している。もちろんその情報は、バルサの将来の補強に活用されることとなる。そして今、彼は32人の補強メンバーのリストを、バルサ指導部に提出している。経験と実績ある彼の目から見た32人の選手とは・・・・・・。

[キーパー]
DUDEK (Feyenoord)

WATERREUSと並んで、現在のオランダリーグでプレーしている最高の選手。背も高く、肉体的にも恵まれ、テクニックも申し分ない。チャンピオンズリーグやポーランドナショナルチームの経験もある。

BUFFON (Parma)
世界でも最高の選手の一人。肉体的にも、技術面でも、最高のレベル。背が高く、高いボールはもちろん低いボールへの反応も素晴らしい。そして何よりも23歳という若さが、彼の価値を高くしている。

TOLDO (Florentina)
彼もイタリア人の同僚と同じように、世界最高レベルの一人。ただ彼の場合は29歳という年齢が、ほんの少し価値を低くしているかも知れない。タイプとしてはズビサレッタのように、派手ではないが実用的な仕事をする。1対1に強い。

VAN DER SAR (Juvevtus)
通常のキーパーとしての才能はもちろん、かれの特徴は足も使えることだ。現代フットボールにおいて貴重な存在。

FREY (Inter)
フランスのジュニアーの頃から目を付けている選手。インテルで実力を証明している。背が高く、肉体的にも恵まれている。彼もまたスビサレッタとよく似ているタイプ。

[センターバック]
CAMPBELL (Tottenham)

強烈なヘッディング能力と、強靱な体力の持ち主。理想的なディフェンス。

CHRISTANVAL (Monaco)
フランスアンダー18の時に初めて見た。その時は非常に細いタイプだったが、現在は肉体的にも強くなっている。ヘッディングも良いが、全体的なテクニックが素晴らしい。ディフェンスから攻撃が始まるバルサには、理想的なタイプ。

EDMILSON (Lyon)
彼の最大の特徴は、ポジションの取り方のうまさだろう。ブラジル人らしく、ボールタッチが素晴らしい。

SILVESTRE (Manchester)
比較的オールマイティーな選手。真ん中でも左でもディフェンスもできる。強さとテクニックを持った選手。

KUFFOR (Bayern)
ロブソンがバルサの監督をしている時に、一緒にアフリカまで見に行った選手。テクニックがどうのこうのというより、爆発的な瞬発力や強靱な体力を持った、アフリカの典型的な選手。

THURAM (Parma)
彼もディフェンスのどの部分でも活用できる、オールマイティーな選手。ただ30歳という年齢が問題。

JORGE ANDRADE (Oport)
エリート選手になって、まだほんのちょっとしか時間がたっていない。テクニックとスピードが持ち味。23歳であり、将来的な選手と考えた方が良い。

[サイドバック]
CHIVU (Ajax)

非常に攻撃的な左サイドの選手。スピード、テクニックとも問題ない。時にはセントラールのポジションもすることがある。アラベスのコントラによく似ている。

SERGINHO (Milan)
ディフェンスというよりは、非常に攻撃的な選手。したがってた彼の場合は、4人か5人ディフェンスシステムでないと、なかなか持ち味をだせない。

SILVINHO (Arsenal)
前者によく似ている選手。テクニック的には落ちるだろう。

BRECHET (Lyou)
Frey と共にフランスのジュニアーの頃見た選手。テクニックは良いものを持っているが、ディフェンスオンリーの選手。

COLE (Arsenal)
ディフェンス的には、非常に強い選手。今シーズン、ヨーロッパで初めて注目を浴びた選手。

[ミッドフィルダー]
RIQUELME (Boca)

アレサンコとロブソンが、エジプトでおこなわれたアンダー21のワールドカップで興味を覚えた選手。その時から随時、情報が集まってきている。チームの指揮者となれる選手。ゴールの感覚も持ち合わせている。レドンドに似ているが、彼よりはゴールに向かう選手。ただしヨーロッパでのスピードについていけるかどうか、時間が必要だろう。

ROCHEMBACK (Inter de Porto Alegre)
ドイツ人のような肉体と、ブラジル人のテクニックを持ち合わせた選手。ブラジルではドゥンガと比較される。チャーリーがブラジルに行ったときに、興味をひかれた選手だ。ポジション的にはほぼオールマイティーにこなせる強みがある。

VIEIRA (Arsenal)
世界的にそのポジションでは最高の選手の一人。肉体的にもテクニックも最高のものを持っており、全ての監督が欲しがるであろう選手。ボールを奪う能力、攻撃を組み立てる才能、すべてを備えている。

VAN BOMMEL (PSV)
テクニックを持った、チームの指揮者的存在。エリア外からのロングシュートは印象的。肉体的にも強く、そして何よりも若い。

SEEDORF (Inter)
強さ、ゴール、経験、それが彼の強み。

RUI COSTA (Florentina)
世界的に知られたスター選手。全てを持っている。91年のアンダー20のワールドカップで、すでにそれを証明していた。

GERRARD (Liverpool)
今シーズン、爆発した選手。体力的にも技術的にも問題はない。その「存在」だけで客を呼べるタイプの選手。これからまだまだ伸びるだろう。

JUNINHO PERNAMBUCANO (失業中)
テクニックとボールタッチの優れている、典型的ブラジル人選手。

[フォワード]
SAVIOLA (River Plate)

エネルギーの固まりのような選手。直線的であり、ゴールの嗅覚を持っている。非常に運動量が多く、常にボールを要求するタイプ。ただ、スペースを必要とすることと、ひとつのポジションに押し込めると特徴が弱まるだろう。

GEOVANNI (Cruzeiro)
エジプトでのアンダー20ワールドカップ以来、情報が集まってきている。ロブソンとアレサンコが興味を持った選手。個人的にはジュニアーのチリ大会で見ている。その後シドニーオリンピックでも、我々は彼を注目した。非常にスピードのある右ウイング。左でも動ける。ただし、ゴールする選手というよりは、センターリングを得意とする。

LEONARDO (Feyenoord)
将来が楽しみとされる選手。今では非常に少なくなった、本格的ウイングタイプの18歳。右利きだが左でもプレーできる。彼もゴールよりはセンターリングを得意とする選手。

HENRY (Arsenal)
世界で最も優秀なフォワードの一人。力、強さ、テクニック、スピード、すべてを備えている。アンダー18に時に見たが、すでに群を抜いて目立っていた。真ん中でもウイングでもいける。

PIOJO LOPEZ (Lazio)
バルサファンなら誰でも知っている選手。ずいぶんといじめられた。スピードとゴールへの感覚は、今だに衰えていない。

GOVOU (Lyon)
今年、出てきた選手。チャンピオンズリーグではゴールも決めている。スピードが特徴。だがまだどのくらい伸びるか、時間が必要。将来的な選手。

LJUNGBERG (Arsenal)
チームのために働く選手。戦闘意欲が旺盛で、肉体的にも強靱。


これがプロの眼から見た、32人の選手の情報である。
間違いなく、個々の選手に関する情報の内容は、もっともっと深く研究され、詳しくレポートされているのだろう。ここに紹介されているものは、ほんの表面的なものだけだろうと思う。そしてこの32人だけではなく、ほかにも数多くの選手の情報がクラブに提出されていることも、確かなことだろう。
さて、この中から何人の選手が来シーズン、バルサのユニフォームに袖を通すことになるか。