「コミッション? なにそれ?」
(2001/6/2)

その名をジョセップ・マリア・ミンゲージャという。子供の頃からバルサソシオであった彼はいつの日か選手代理人、つまりUEFAエージェントの一人となった。マラドーナがボカ・ジュニオーズからバルサに移籍した際のクラブ間の「仲介人」でもあり、マラドーナの代理人の一人でもあった。そしてこの移籍に関わったことが、彼の名前をフットボール界に知らしめることとなる。最近ではストイコフ、ロマリオ、リバルド、グアルディオーラなどの代理人も務めていた。そして今年まで世界で最も有名な(良いことにつけても、悪いことにつけても)代理人の一人であった。
その彼が「アッセソール・エステルノ・デ・バルセロナ(バルサ外部コンサルタントとでも訳すのか)」という職にボランティアとして、クラブに参加している。
いま、アントン・パレイラが南米に飛びリケルメ、サビオラの獲得を狙っているなか、彼はフランスに行ってクリスタンバールとの交渉をしている。


30年間続いた「選手代理人」生活を捨てて、今年から無料奉仕としてバルサの新規加入選手の交渉にあたっているわけですが、それでもあなたのことを「ペセテロ(金の亡者)」と非難する人がいますが・・・

ペセテロかどうかは別として、もしあたしがお金を第一優先とするならいまだに代理人生活を続けているでしょう。それも世界的に認められた、大成功を収めている代理人としてね。ヘッヘッヘッ。
バルサではね、一銭ももらっていないんですよ。一銭もね。あたしの唯一の望みはバルサを助けたい、それにはあたしの今までの経験が役に立つ。そう思ってクラブのために無料で働いているんです。

本当に無料で手伝っているんですか、あなたが?

繰り返しますがね、あたしの望みはバルサにできるだけ経済的負担がかからない形で選手を獲得することにあるんですわ。あたしは一銭も今回のお手伝いでもらっていまへんのや。ヘッヘッヘッ。

関西のお生まれですか?

Soy de Barcelona, Catalan・・・・

あなたは、将来、会長になりたいとおっしゃっていましたが、前回の会長選挙には立候補しませんでしたね。なぜでしょう。

前会長ヌニェスが辞めて新会長選挙が始まったのは、あたしが代理人業を辞める3カ月前でしたからね。代理人が会長に立候補しちゃまずいでしょう?これでもあたしには理性っちゅうもんがありましてね、ヘッヘッヘッ。
4年後におこなわれる会長選挙は、また別の話です。その時がくればどうするか決めるでしょう。とにかく今はガスパー会長のために、そしてバルサのために少しでも役に立てばいいと思っているんですよ。

あなたのかつての友人や同業者の人たちの中で、未だにあなたのことをよく言わない人がいるようですが・・・

スペイン文化の最大の問題の一つは、嫉妬なんですな。わかりますか?

ん、ん、ん?・・・・・

わかりませんか。

もう一つ言われていることに、アントン・パレイラやアンヘル・フェルナンデス(副会長)、そしてガスパー会長などと秘密の会社を作っているというというものですが。

あたしもその話しは聞いたことがありますね。でもその存在を具体的に証明した人は誰もいませんよ。どこに会社があって、誰がソシオなのかとかね。そんなこと証明できるわけがない、存在しないんだから。そういうことを言いふらしている人はね、あたしに恨みをもっているか執念深い人か、あるいはヌニェス派の人たちなんですよ。

前会長のヌニェス氏について。

ヌニェスは素晴らしい会長だったと思います。まあ時間がかかりましたけれど。彼の強い性格が、難しい状況を乗り切るのに役に立ったんでしょう。バルサ歴代最高の会長だったと言ってもいいんじゃないでしょうかね。残念ながら、そしてフットボール界ではよくあることですが、終わり方が悪かった。ほぼ世界すべてを敵にまわしたような形で出ていきましたからね。彼の最後の何年間は、あたしは宿敵のような扱いを受けてきましたが、もう過去のことでどうでもいいことです。

将来のバルサについて。

最初にしなければいけないことは、チームのバランスを保つことでしょう。それが今シーズン欠けていた重要なことだと思います。まずディフェンスの補強を計ること。そしてペップの抜けた穴をどうにかして埋めること。これにつきるでしょう。

リケルメについて。

テクニック的には完全に近い選手。唯一の問題はヨーロッパフットボールに、どれだけ短い時間で慣れていけるかということ。もしその壁を乗り越えればバルサにとって重要な選手の一人になるでしょう。
リバルドとは一緒にプレーできないんじゃないかと疑問視する人がいますが、そんなことはないでしょう。キャラクター的に似ているところもあるが、まったく違うところもある。リバルドは最終パスを出すというよりはシュートをする選手、リケルメはその逆と言ってもいいでしょう。ポジション的には近いですが、二人一緒にプレーしてもおかしくない。ただその場合、ガッツ・エンリケとかペティ、あるいはベロンみたいな激しい選手が彼らの周りに必要になってくるでしょうが。

サビオラについて。

ペナルティーエリア内では、ロマリオと比較してもおかしくない選手。しかもまだ若い。そして何よりも、ヨーロパフットボールに適合するのにあまり時間が必要ないプレースタイルをもっている。

カンベルについて。

彼との最後の会見では、バルサが他のチームよりも優先順があるとは言っていたが、彼の希望はチャンピオンズリーグでプレーすることらしい。だからもし我々が5位になった場合は、彼の獲得は難しいだろう。

ロッチェンバックについて。

サインを残すのみで、すべての条件面では合意に達している。日本でつい先日セレソンでデビューしたらしいが、本当にうれしいニュースだった。これで彼に、そう、無名に近かった彼を疑問視していた人も納得するだろう。ドリームチームと呼ばれたあの頃のメンバーは、ほぼ皆、バルサに来てからクラックとなったことを思い出して欲しい。ラウドゥルップ、ロマリオ、そして特にストイコフ。

もう一人のストイコフを発見することができるでしょうか?

世界のどこかにはいるんだろうな。もしどこにいるかということがわかっていたら、今すぐにでも飛んでいくんだけど。今でも時々思うんだ。世界のどこかに10才の才能ある少年がいて、12年後には世界最高の選手になる。無名の才能あふれる、魅力的な選手。安く買って、高く売る。おっと、あたしはもう代理人を辞めたんだ。ヘッヘッヘッ。


カピタン「『バルサへの愛』が代理人の職を捨てることになったという、彼の言葉を信用するかしないかはあなた次第だ。ヘッヘッヘッ。」