ジェラール、語るです
(2001/6/14)

バルサドクターのリカルド・プルーナが、「ジェラールの回復は思ったより順調にきている。当人の努力と、強靱な意志が回復を早くしているのは間違いないだろう」とのコメントをしている。しかしながら、「決して急いではいけないのはもちろんだ。この時期にきて危険を冒す理由はないからね。ただこのまま回復が順調にいけば、カップ戦の準決勝、あるいは決勝に間に合うかもしれない」と付け加えるのも忘れてはいない。
新たな決意で向かうであろう来シーズン、ジェラールは熱く語る。


バルサと契約した時に、個人的な事でもチームの状況にしても、まさかこんな感じになるとは予想できなかったでしょう。

今シーズン起きたことは、自分では説明ができないぐらい変な感じであります。自分たちが当初持っていた目的は達成できなかったし、当然ながら結果もだせなかったです。しかし、常に前を見なければいけない、これが父の言葉です。

悪かった理由はなんでしょう。

理由はいっぱいあるでしょう。会長選挙によるラジカルなクラブ構成の変化。それに伴う新監督の誕生。時間がじゅうぶんに取れないままに組まれたプロジェクト。自分にはよく分かりませんが、そういうものが結果としてうまくでなかったということでしょうか。しかし理由がどのようなものであれ、責任を感じなければいけないのは自分たち選手であります。それも誰々がということではなく、全員が責任を感じなければならないことであります。そしてこういう状況から抜け出さなければいけないのも、自分たちの仕事だと感じます。

今シーズンの補強選手に問題があったと思いますか?

もし新加入選手がじゅうぶんに力をだせなかった理由は何か、と聞かれればそれは出場回数が少なかったからだろうと自分は答えるです。でも誰がプレーするかは自分が決めることではなく、監督が決めることであります。そして監督はそれが仕事であり、ましてバルサみたいなクラブではみんなビッグプレーヤーですから、監督も大変だと思います。

アルフォンソとかイバンが愚痴を言っていましたよね。

自分たちはいつもプレーしたいと思うです。もしそう思わない日が来たら、もうフットボール選手ではなくなってしまうです。試合にはでないけれど良い生活ができることに満足しちゃう、自分はそんな人間ではありません。バレンシアに行ったときも、アラベスに行ったときも、そして今自分の家に帰ってきたのも、目的はひたすら成功するためです。きっと他の選手もそうでしょう。だから試合に出れないと愚痴をこぼすことになります。ただ自分の場合の愚痴のこぼし方は、しゃべることではなくグランドでひたすら練習することです。これも父の教えであります。

希望に燃えてバルサに帰ってきたわけですが、2度の負傷で少し希望が縮んだということはないですか?

バルサで成功するという希望に、少しも変化はありませんです。自分はこの街で育ち、物心ついた時にはすでにバルセロニスタでありました。事情により3年の間クラブを離れ、今やっと戻れたんです。ここでがんばるんだ、という気持ちは誰にも負けないつもりです。これからも絶対に。

ミランがいつもあなたのことを狙っていますが。

自分とバルサとの契約は絶対であります。これは誓って言えます。バルサへの復帰は、自分がプロ選手になってからの最大にして最も重要なことでした。自分が自分の家に帰ってきたということは、選手生活をここで終わるということであります。

クーペルがバルサには来ないことになりましたが、残念でしたか?

それは自分でもわからんです。クーペルが指揮していたバレンシアでは自分はやることなすことうまくいきましたが、バルサとバレンシアは違います。それは比べ物にならないほど違うんです。自分は両方のクラブにいたから分かるんですが、本当にあらゆる意味で大きさが違うんであります。

レシャックについて。

彼は自分が2部にいたころから知っています。自分の兄も彼の下でプレーしてますし。レシャックはまさにバルサというクラブの人間ですし、クラブの財産でもあります。自分たち選手は彼を支持するし、この難しい状況をみんなで乗り越えなければならない、と感じます。

バルサの監督として、一般的に必要だと思うことは。

バルサはどでかいクラブで、常にプレッシャーがあります。監督として必要なことは、まずバルサの何たるかを知ること。そして国際的に重要な選手を常に抱えているということ。またクラブの背後にはカタルーニャやスペインの重要な、そして影響力のある人々がいつの時代にもいるということ。これらの状況からくるプレッシャーに耐えるだけではなく、要求の厳しいソシオを満足させる魅力的なフットボールを試みなければならない。以上が自分が考えるものであります。

クライフが一時代を築いた「ドリームチーム」の復活は可能だと思いますか?

自分は、ここ10年間スペインリーグの変化にはすごいものがあると思っています。10年前までは常にバルサかマドリが優勝候補としてあげられていただけですが、今ではコルーニャ、バレンシア、セルタ、マジョルカ、等のクラブまで優勝戦線に食い込んできています。それらのことを考えると、チームにはバランスが必要なのだと自分は思います。スペクタクルを追求しながら、90分走り込める体力能力を持った規律のあるプレー。このバランスが大切だと思うのであります。それが「ドリームチーム」と呼ばれるものかどうかは自分にはわかりかねますが。

つまり、アラベス、リバプール、バレンシア、バイエルンといったタイプのフットボールということですか?

自分は、皆が言うように彼らのスタイルが「アンチフットボール」だとは思わないのであります。例えばクーペルですが、選手に極限の規律を要求するつまらないフットボールという評価を聞きますが、自分はそうは思いません。彼のフットボールは基本になる何人かの、テクニック的に非常に優れた選手によって構成されています。メンディエッタ、ファリノス、キリー、ジュキックなどがそうです。そして肉体的能力に優れた他の選手たち。スペクタクルとは呼べないかも知れませんが、自分には理解できます。そしてもう一つ理解できることは、バルサではそれは不可能とは言わないまでも、かなり難しいことだということです。バルサは常にバルサですから。これは父が言ったことではありませんです。


カピタン「真面目のかたまりジェラール選手。しかしグランド内ではかなり厳しいプレーも平気な顔してやっちゃうジェラール選手。来シーズンが本当の意味でのバルサデビューとなって欲しいであります」


チキートコーナー 00-01