大聖人リバルドの日記
(2001/6/19)

2001年6月18日(月曜日)晴れ

試合が終わって家に帰り、軽い夕食をすませたのが12時半。疲れていたので30分後にはベッドに横になる。でも眠れない。目がさえてしまってなかなか眠れない。気がついたらもう3時を過ぎていた。右に、左に寝返りをうちながら寝ようとするが、どうしても試合中の色々なシーンが頭から離れない。特にあの3点目のシュートの際に浮かんだ様々な風景が、いつまでも頭から離れない。

たくさんの人が決勝点を決めた後の、僕のとった反応について質問してきた。「あなたにしては非常に興奮していましたね?」

あのゴールを決めた瞬間、何百万のバルセロニスタにとってこの得点が何を意味するか分かっていた。もちろんクラブにとっても、我々選手にとっても何を意味するかがだ。

ゴールを決めるちょっと前に、観客席からポツポツと人が帰って行くのが見えた。もうすっかりチャンピオンズへの参加を諦めたかのようにだ。それは我々にも同じように、とても危機感に溢れる時間帯でもあった。このままじゃ、今年はおろか来年もスタート早々ひどい年になっちゃう。チャンピオンズにでれるかどうか、残り3、4分の間に決まってしまうという厳しい時間。でも、僕は運がよかったんだな。というかやっぱり僕が本当のバロン・デ・オロに相応しい人物なんだろう。うん。

僕が1点目を決めたあと、すぐにバレンシアが同点。そして僕の2点目。でも再びバレンシアが点を入れて同点。そして自分自身に言った、「お前は2点を入れたけど、何の役にもたっていないじゃないか」

僕が幸運にも入れた3点目に狂喜したのは、シーズンを通してのフラストレーションがあの場面で一気に爆発したからだ。それは選手を含めたクラブの人やファンの人にとっても同じだったと思う。ゴールが決まってから審判が笛を吹くまで、限りなく長く感じられたとき見たさまざまな風景。僕も含めて他の選手たちもみんな狂ったようにボールを追っていた。幸福感を胸にいっぱい感じながら。キチガイみたいに興奮して。

ロッカールームに引き揚げてからも同じだった。まるでお祭り騒ぎだった。僕も含めてこの勝利がチームのものだけではないことが分かっていた。10万のソシオを始め、世界中に散らばっているバルセロニスタに、最後の最後にほんの少しの幸福感を与えられたことがみんな嬉しかったんだ。あの試合は僕たちのためにだけ戦った試合じゃなかった。1年間を通して苦しんできた、ファンの人たちのためにもどうしても勝たなければいけない試合だったんだ。

当たり前のことだけど、あの勝利は僕のものだけではなくチーム全体の勝利だった。試合前にある記者に言った。誰が得点しようと自分のゴールのように喜ぶだろうって。バルサが勝つんだったら誰が得点しようとどうでも良かったんだ、本当に。どうしても勝ちたかった。僕たちはどうしてもチャンピオンズに参加しなくちゃいけないんだ。僕はバルサという、世界で5本の指に入るチームにいるんだから。

しかし、それにしてもあの夜のファンの反応にはビックリしたな。もう何年もバルサにいるけれど、観客席の人がグランドに流れ込んでくるというのを初めて体験した。不思議だったのは、恐怖感みたいなものがまるでなかったことだな。たくさんの人が僕に向かって走って来たけど、何かされるという感じが全然なかった。彼らも選手に触ったり、ユニをもらおうというよりは、グランドの中で大勢でフィエスタをやりたかったという感じだった。面白い人たちだ。

個人的には非常に満足できる試合だったと思う。とてつもなく幸せに感じ、誇りに思っている。もちろんそれは、僕によくブーイングを飛ばしていた一部のファンに後悔させたということではなく(僕は大聖人だから、そんな小さいことに恨みはもたない)、今シーズンの最も大事な試合に活躍できたという意味でだ。

僕はプロのフットボール選手となってから、数多くのゴールを決めてきた。その中にはチームにとって非常に大事なものや、すごくカッコ良いゴールもいっぱいあった。そう、ビセンテ・カルデロンでアトレティコ・マドリで決めたセンターライン近くからのゴールは、我ながらすごかったな。そうそう、バジャドリ戦でやったオーバーヘッドキックもカッコ良かった。だからオーバーヘッドキックで決めたゴールはこれが初めてじゃない。でも間違いなく昨日のゴールが一番カッコ良かったと思う。

ボールを胸で受けボールが落ちてきた瞬間、もうオーバーヘッドキックしかないと思った。だってゴールは僕の背中の位置にあったから。でもそれが遠くにあるのか近くにあるのか全然考えもしなかった。唯一分かったことは、僕の近くにディフェンスがいなかったことだ。覚えているのは、自分の持っているすべての力をボールに叩きつけたことだけ。

これでとにかく来シーズンに希望がもてるようになった。チャンピオンズリーグに優勝する「夢」を持つ権利を獲得したんだから。でもまだシーズンは終わっていない。国王杯に勝たなくっちゃ。シーズンはひどいものだったけれど、ファンの人たちに一つぐらいのカップをあげなくっちゃ。

さあ、明日からまた練習だ。あのゴールで少しは人気が上昇したかな?