ミスター・レシャック、来季を語る
(2001/7/8)

レシャックがデザインした通りの補強選手が獲得されたことから、来シーズンはレシャックバルサと言っていいだろう。彼が以前から注目していたクリスタンバール、ジェオバンニ、ロッケンバックの加入により、彼のデザインするニューバルサの形成は半分以上成し遂げたといえるだろう。そして今、誰もが期待するサビオラの獲得。
セラ・フェレールを引き継いでの何試合かのゲーム展開は、レシャックを知る人にとっては、不可解なものにうつった。それが批判されたにしても、当初の目的であるチャンピオンズリーグの参加権はどうにかこうにか手にすることができた。
しかし、来シーズンのレシャックに期待するものは、まったく違うものであろう。


もう補強したい選手はすべて獲得しましたか?

まあ、ほとんどね。
今回の補強作戦で大事だったのは、去年の誤りを繰り返さないことだったんだ。例えば同じポジションに7人の選手がいたり、そうかというと代わりの選手が一人もいないところもあった。そういう意味でいえば、今回の補強には非常に満足している。チームにとっても、選手にとっても、監督にとっても適切な補強というのは大事なことなんだ。常時スタメンで出ている選手が大けがをしたとしても、それでも俺を使ってくれないという雰囲気が、一部の控え選手にはあったからね、昨シーズンは。それはまったくもって、まずいことじゃーん。

浜っ子ですか?

うん? バルセロナ浜の育ちよ。

ところでセルジのポジションは相変わらず、彼一人のような気がするんですが。

もはやセルジが60試合や70試合プレーできるとはもちろん思っていないさ。でもプジョーがいるし、レイジンハーもいる。彼らは昨シーズン、じゅうぶん左でも使えるということを示したからね。しかし、良いマーケティングがあれば、補強することもあり得るだろう。

ついにサビオラが来ることが決まりましたが、当初は彼の獲得にはそれほど重要性を感じてなかった印象がありますが。

補強にあたっての大事なことは、まずどのポジションが弱点かといことから始めなければならないよね、当たり前のことだけど。うちのチームを見てみればそれは一目瞭然だよ。まずディフェンス。アベラルドはシーズン開始までには間に合わないだろうし、デブーも問題を抱えている。だからクリスタンバール、アンデルソンがまず来た。そして右ウイングやグアルディオーラのポジションも補強しなければならない。そんなわけでジェオバンニ、ロッケンバッックを獲得した。補強っちゅうものはそういうもんじゃーん。
まあ。ユニフォームを売るために補強するチームもあるけれどね。

バルサのサビオラには何を期待しますか?

彼は一言でいうとアーティストタイプの選手さ。ロマリオ、ラウドゥルップみたいなね。そういうタイプの選手には、まずほんのちょっとのシナリオを与えてやる。こういうイメージなんだっていうことを理解させるためにね。それから彼の好きなように動かしてやるんだ、自由にね。もちろん「システム」という約束事ががあるから、すべて自由にというわけにはいかない。だができるだけ本能の命じるままにやらせるんだ。

リケルメはどうなったんでしょうか?

チームの必要性からいえば、サビオラはリケルメを越えていた。サビオラはデランテーロでしかもフットボールで一番難しいフィニッシュを決められる選手。だがリケルメは中盤の選手だろ。うちにはいっぱいいるんだ中盤は。ジェラール、ガッツ・エンリケ、コクー、チャビ、ロッケンバック、リバルド、ガブリ・・・。

するともう来る可能性はないんでしょうか?

そんなことはないさ。彼は非常に良い選手だし、まあ状況の変化がないともかぎらないじゃーん。

リバルド、クライハート、サビオラ、ジェオバンニ、そしてオーフェルマルスが一緒にプレーすることは可能でしょうかね?

彼らはみんな良い選手さ。だがプレーできるのは11人と決まっている。毎試合、このうちの誰か1人か2人はベンチスタートということになるだろう。特に外国人は3人しか一緒にプレーできない決まりだからね。でもある意味で言えば良いことだと思う。彼らの中に良い意味での競争心を生むだろうからね。シーズンは長いし。

ボナノが加入するとすると、キーパーは4人になりますが

先日、ドゥトゥエルとは話したばかりだ。彼はもしキーパーの補強があったら、どこかスタメンでプレーできるチームに移りたいと言っていた。彼の目的はワールドカップにあるからね、当然だろう。しかも幾つかのオファーも届いているみたいだ。
アルナウはついていないシーズンをおくってしまった。彼には1年か2年、どこかのチームに「貸しだし」の形で実績を作ってきたらどうだ、と言ってある。

放出選手に関しては?

理想的な選手数は20人から22人だと思っている。30人もいたら必ず不満選手が出てくるからね。フットボールには必ずスタメン選手と、控えの選手がいるんだ。とにかく11人しかプレーできないんだから。そこで大事なのは、どんなにがんばっても監督は俺をプレーさせてくれない、と思う選手をださないことだと思う。
ドゥトゥエル、アルフォンソ、ダニ、シマオ、ゼンデンには良いオファーがあったら遠慮しなくていいと言ってある。彼らもプレーしたいだろうからね。

カンテラから誰か上がってきそうですか?

カンテラは不滅です! なんちゃて。マジな話し、カンテラは常に必要さ。ただ例えば6人のカンテラを突然1部に上げるというのは無理な話で、徐々に徐々にだよ。

クライハートは?

もちろん彼には期待している。年の割にはまだお坊ちゃんなところがあるが、彼が完全に近いコンディションであれば、5本指に入るデランテーロだからね。

サビオラのポジションと重なりませんか?

それは違う。クライハートはあくまでも9番。時として相手キーパーに背中を見せてプレーしなければならないポジション。だがサビオラはその後ろの選手さ。リバルドと同じようにね。中盤からゴールに向かって行く選手だと思う。

レシャック監督のフィロソフィーは?

まず最初にしなければいけないのは、試合の主導権を常に所有するバルサスタイルを取り戻すことさ。ここ2、3年のバルサにはそれがなくなっていたからね。ボールを常に我々のものにしなければならない。そういう意味で言えば、ディフェンスが3人か4人かなんてことは大したことではないんだ。問題は中盤でどれくらいボールをコントロールできるか、ワンタッチのトリアングルパスがどのくらいできるか。
そのためには各選手が今自分がどこにいて、どこにスペースがあるか常に認識していなければならないんだ。それがトリアングルパスがうまくいくかいかないかの基本。そのスペースを確保するためには、やはりウイングが左右に広がらなければならない。特に、相手チームが守り専門でやってくるであろうカンプノウではね。
状況に応じて3人か4人ディフェンス。中盤でのボールコントロール、トリアングルパス。左右に広がるウイングによって開かれる中盤の隙間を、どれくらい下から上がってくる選手が入り込めるか。
こんなとこじゃーん。