ロンボ
(2001/7/16)

アンヘル・ピッチ・アロンソ(1982−1986バルサ選手。現在カタルーニャ選抜チーム監督。またTV3解説者もしている)が、来シーズンに展開されるであろうレシャックシステムの予想をしている。以下、脚色なしにそのまま紹介する。


「移籍・放出選手」が全て決まってはいないものの、来シーズンのニュー・バルサがどのようなスタイルで戦っていくのか、私なりに予想していきたいと思う。

カルラス・レシャックが考えているであろうシステムは、先シーズン(6試合)見せた彼の「応急システム」とは何の関係もないところからスタートするだろう。彼の基本的なシステムは3−4−3という攻撃的なもの。だがシーズンを通して4−4−2という、もっとチーム全体のバランスを考えた、そして少し守備的なシステムも採用していくのではないだろうか。

3人のディフェンスと左右に広がった2人のエストレーモシステムは、レシャックがサブコーチを務めたクライフ時代のもの。特徴は「コントロール・フットボール」と「スペクタクル」と言っていいだろう。ただディフェンス陣はもとより、中盤あるいは前線にいる選手が自分の役割をしっかりと把握していないと、非常に危険なシステムに変貌しうる可能性を秘めている。

来シーズンのバルサの選手を見た場合、個人的には4−4−2システムが面白いと思う(カピタン注 : 彼はカタルーニャ選抜チームでは、常に4−4−2システムを採用している)。サビオラとリバルドをツートップにし、自由な動きをさせた上でポジションを自在に変更させていく。クライハートをワントップにおいたシステムでは不可能なことだろう。

3人ディフェンスが4人かということ以上に大事なこと。それは普段の練習で、どのくらいのディフェンス固めができるかということだろう。アベラルド、デブーが当分の間出場できない今、新加入選手のアンデルソンとクリスタンバールがセントラールを務めることになる。この2人とプジョー、レイジンハー、そしてセルジのコンビネーションがどこまで固まっていくかが大事なことだと思う。

中盤、前線に関して予想すると、ディフェンス数が3人だろうと4人だろうと、5人の攻撃的な選手(例えば、ジェオバンニ、サビオラ、リバルド、オーフェルマルス、そしてルイス・エンリケ)が常にプレーするであろう。もちろん、ジェラール、ガブリ、クライハートもいる。誰がスタメン出場するにしろ、この5人攻撃体系は維持されていくのではないだろうか。

誰もが興味あるサビオラのポジション。もし彼をエストレーモとして使うとすると、マイナス面がでてくるのではないか。まず考えられるのはファン・ハール時代のリバルドのように、動きに制限がでてきてしまう。かといってトップ向きの選手とは思えない。彼の自然なポジションは、メディア・プンタ(トップ下)だと思う。しかしそれはリバルドとのかねあいもあるので、彼とのポジション交換をゲーム中におこなってくるのではないか。

最後に、いずれのシステムをレシャックが採用しようとも変わらないものが一つある。それは中盤におけるロンボ(カピタン注 : いわゆる4人で形成する菱形のポジション。例えばクライフ時代は菱形の下にグアルディオーラ、右にエウセビオ、あるいはアモール、ナダール。左にチキ、あるいはルジェール。そして上にバッケロという菱形。来シーズンでいえば、下にチャビ、あるいはロッケンバック。右にルイス・エンリケ、あるいはガブリ、ジェラール。左にコクー、オーベルマルス。上にリバルド、あるいはサビオラ、ジェラール)。これがどのくらいうまく機能していくかが重要なキーポイントになるだろう。

●3−4−3システム

このシステムを採用した場合、やはり経験にすぐれているアンデルソンがセントラールを守る事になるのではないか。そして2人のマーカーは、左にセルジ(あるいはクリスタンバール)、右にプジョー(あるいはレイジンハー)。キーパーはレシャックの要望で加入してきたボナノが務めるのが自然。

中盤はロンボの底(ピボッテ)にチャビ(もしリバルドにしろサビオラにしろスペイン国籍をとった場合は、ロッケンバックという可能性が大きい)、右(インテリオール・デレッチョ)にルイス・エンリケ、左(インテリオール・イスキエルド)にコクー、菱形の上(メディア・プンタ)にリバルド

左ウイング(エストレーモ・イスキエルド)にもちろんオーフェルマルス、右ウイング(エストレーモ・デレッチョ)にジェオバンニ。トップはサビオラ(あるいはクライハート)となるが、リバルドとポジション交換が常になされるだろう。

この3−4−3システムでは、クライフのアイデアである「2点獲られたら3点を目指す」ものとなる。したがって守備的な部分にはそれほど重点は置かれない。このシステムがうまく機能するかどうかのキーポイントは、何と言ってもボールコントロールがどれくらい支配できるかどうかにかかってくる。

●攻撃的4−4−2システム

もっとも柔軟なシステムと言っていいだろう。このシステムを採用した場合い考えられるのは、ジェラールのメディア・プンタ。そして左右のポジション(この場合、エストレーモ・イスキエルドとエストレーモ・デレッチョ)にジェオバンニオーフェルマルスを配置する。

●守備的4−4−2システム

このシステムの特徴は、守備陣と攻撃陣が固いブロックを形成できること。この場合、左右には守備的にも攻撃的にも参加できるルイス・エンリケコクーを配置するだろう。ジェオバンニが抜けていることから、ピボッテにロッケンバックを使うかも知れない。