俺は、クラアァァイ・ハアァァッットだあ
(2001/8/14)

今シーズンの俺はちょっと違うんだなあ。
どこが違うかって?
まず、年俸が上がっただろう、
そして、ポジションが俺の大好きなところになったろう、
さらに、ゴールは例年になく決まってるだろう、
つまるところ、やる気満々といったところさ。

と言ったかどうかはわからないが、テストマッチがすべて終了したこの段階で見る限り、彼が生き生きしていることは確かだ。

クライハートの昨シーズンの終わりかたは、誰もが決して望まないものであった。契約延長問題が必要以上に長引き、つい口からすべって出てしまったマドリへの移籍の可能性問題。もういい加減フィーゴの亡霊とサヨナラしていたバルセロニスタに、またまたマドリの名前を思いださせた。それに加え、まったくといって入らないゴール。約2カ月にわたって、ゴールから遠ざかってしまったシーズンの後半。こんな選手に暖かい拍手など、誰ができるものか、という雰囲気が最後の最後まで漂ったカンプノウ。それどころではない。ボールに触れば、ブーイングの嵐とまではいかなかったものの、一部セクションからの執拗なブーイング。こんな状態でシーズンを終わりたい選手はいないだろう。

先月、つまり7月の26日、クライハートは永遠に続くのではないかと思われた「契約期間延長」契約にサインした。来年の6月いっぱいまでの契約期間であったものが4年間延長されたことにより、2006年6月までのものとなった。30歳を迎えるまでにあと1日(1976年7月1日生まれ)、というところまでの契約である。バルサとしてもクライハート本人にしてもなかなかいい商売であったような気がする。

この契約が成立した直後、彼にインタビューをしに来たマドリッドのジャーナリストに次のように言っていたのを思い出す。
「今まで言いたいことを言っていた、大勢の奴らの口をふさいでやった」
「レアル・マドリとすでに契約を交わしているといったヤツは、今どこにいる?」

あのバルセロニスタの、ブーイングという表現での批判に心身共にこたえたのか、あるいは待望の大金が銀行口座に振り込まれることへの満足感からか、それとも「新ポジション」が余程気に入っているのか、はたまたこれらのすべてが原因となって調子がいいのか、そこまでは第三者にはわからない。ただ快調クライハートが夏の珍事に終わらないで欲しいと願うだけである。

パトリック・クライハートが、2001−02のシーズンにおいてバルサの中での重要な選手の一人になりたい、という雰囲気が伝わってくるサマーシーズン。することなす事うまくいっているような感じだ。この夏の試合で6ゴールを決め、4つのアシストをだしている。

最初の3試合のテストマッチでの主役は、何と言ってもサビオラだった。そして家庭内の事情でアルゼンチンに帰ったあと、主役の座はハットトリックのリバルドが奪う。だが、クライハートがまったくの脇役であったわけではない。試合内容を見てみれば、多くの彼のプレーが何らかの形で常にゴールに関わっていた。そして先日のダービー・カンティー戦では、かつての主役選手が一人も出ていない状況で、立派な主役ぶりを見せてくれた。3分の間に2発ゴールを決め、ジェオバンニに絶妙のアシストもだしている。

忘れてならないのが、レシャックが彼に与える信頼感だろう、すべてのテストマッチにスタメンで出場している。そしていろいろなポジションにおいてのテスト。だがどの試合でも彼がおかれたポジションは、菱形ロンボの頂点に位置するところ。ある時はデランテーロ・プンタ、ある時はメディア・プンタ、だがポジション自体は変わらない。

それでも、常にリバルド、サビオラ、ルイス・エンリケなどとポジションチェンジしているので、「基本的ポジション」と言った方が良いかも知れない。下からの上がりでワンツーパンチの、バルサでは新しいクライハートが見れそうだ。

●デランテーロと左右のエストレーモ

●一人のエストレーモとデランテーロ、そしてメディア・プンタ

●二人のデランテーロとメディア・プンタ