グアルディオーラ「ブレシアにしました!」
(2001/9/27)

ブレシアという小さいクラブ。もちろんチャンピオンズにも参加していない。カルッチオでの優勝はとても狙えない。あなたがこういうクラブでプレーすることを、今までに想像することができましたか?

例えばあなたが一つのクラブに所属してプレーしているとしましょう。すると、あなたに興味を示した他のクラブがあなたに接触して来ますよね。どうだい、うちのクラブに移籍しないかって。そしてそのオファーには、あなた自身が検討することになる。僕の場合は全く逆であったと言っていいでしょう。つまり選手である僕がクラブを探し続けてきた。そしてその行き先がたまたまブレシアだったということです。

なぜブレシア?

僕に一番興味を示してくれたのが、ブレシアだったからです。他のクラブが示さなかったものを示してくれた。僕に興味を持ってからはバルセロナに来て、クラブとしての今後の方針を説明してくれた。こういう感じで将来やっていきたいんだ、というプランをね。僕はその態度が非常に気に入ったんだ。しかも僕の要求する1年だけの契約という条件ものんでくれた。それと僕はあの監督のことをよく知っている。非常にいい監督だと思っている。彼のもとだったら、きっとうまくいくと思ったんだ。

でも多くの人はいまだに「なぜ、あんな小さいクラブに?」という疑問を持っていると思いますが。

正直言って、人々がそういう疑問を持つのは理解できる。だけど、繰り返すことになるけれど、これは僕の判断で決めたことだし、非常に満足しているということを知って欲しい。この4か月間、常にどこかのクラブが僕に興味を示し、オファーをだしてくれていた。そのどのクラブとも契約しなかったということは、満足できる条件ではなかったということ。ブレシアのオファーは満足できるものだったから、喜んで受けたということさ。本当に非常に満足しています。

それでは、なぜ1年だけの契約なんですか?

誰も騙したくないからさ。ブレシアに来れたことは満足はしているものの、実際ここでどのような状況を経験するかは誰もわからない。僕自身もわからない。うまくいけば延長契約すればいいんだし、ダメだったら他のクラブを探す自由が欲しかったんだ。

4か月間にわたっての、いろいろなクラブとの交渉でしたが。

この4か月間で、今まで知らなかった多くのことを学ぶことができたし、フットボール界の知らなかった一面を見ることができた。例えば多くの代理人たち、コミッション問題、クラブ理事会の人たち、等、等。ある日、僕にオファーを出してきたクラブの監督と話していたら、彼は僕を必要ないと言い切る。その30分後、夜中の3時なんだけれど、3人のFIFAエージェント(選手代理人。あるいはクラブ代理人)と称する人たちが電話してきて、監督がどう言おうとクラブはオファーを出していると言う。まったく信じられない世界を知ることができた。

これだけ時間がかかってしまったといことは、どこかに誤算があったのでしょうか。

多分、最初の瞬間に戻れるとしたら、他の方法で行動していたと思う。実際、こんなに時間がかかるとは想像もしていなかっった。

ウワサによれば、いくつかのビッグクラブからのオファーを逃したということが言われていますが。

ええ、それは確かなことです。でももう過去のことですから。でもブレシアに入団したことで一つだけ明らかになったことを言っておきます。それはバルサを出たのは決して経済的問題ではなかった、ということを証明できたと思います。と同時に、サヨナラ発言したときに、一切の他クラブとの事前交渉もなかったことが証明できたことです。

バルサでは多くのプレッシャーがありました。こういう小さいクラブに来て、寂しいということはないですか。

カルッチオのすべてのクラブは、それなりのプレッシャーがあるでしょう。しかもプレッシャーというのは外部から来るものではなく、自分でかけるものだと思います。バルサで学んだことの一つは、練習でも勝たなければならないということです。試合ではもちろん相手チームに勝たなければならない。でもバルサでは練習でもチーム仲間に勝たなければならないということです。この自分に対するプレッシャーは、もちろんブレシアでも持続していきたいと思う。常に勝つことを目標としてね。

ブレシアのクラックは、ロベルト・バッジオです。このことが入団の動機の一つとなったんでしょうか?

僕はバルサで多くのクラックとプレーする幸運に恵まれてきた選手です。クーマン、ロマリオ、ロナルド、ストイチコフ、ハジ、等の選手とね。確かにバッジオは優れた選手だと思います。でもそれは何の関係もありません。あくまでも入団の動機は、クラブが僕に示してくれたオファーです。

ワールドカップへの参加というのは、関係ありましたか?

ワールドカップでプレーするというのは、個人的には非常にワクワクすることでしょう。それはどんな選手に質問しても同じ答えが返ってくると思いますよ。もし僕が家の中でテレビを見続けていたら、カマッチョも絶対僕を呼んでくれないことはわかっています。でも明らかにしたいのは、ブレシアに来たのはワールドカップ出場とは何にも関係ないということです。もし呼ばれたら、それは結果にすぎない。ここに来たのは僕の大好きなフットボールをするためであり、そこに僕の幸せがあるからです。

カルッチオに何を期待しますか?

テクニック的にはリーガより劣るでしょうが、カルッチオには他の物があります。それは戦術的により規律あるフットボールです。僕はここにそういうものを学びにきたわけであるけれど、同時に知っているものを教えに来たつもりでいます。

この間、ガスパーを始めとしてバルサ側から、戻りたければいつでも戻って来い、という発言がありましたが。

彼らは僕がこの段階で戻ることはあり得ないと知っていると思います。僕にとってバルサでの一つの時代が終了し、新たな冒険の旅に出てるということを知っているはずですから。僕が負傷したとき、ガスパーが5年の延長契約を申し出てくれましたが、そのことには非常に感謝しています。バルサが常に僕のことを気遣っていてくれたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

ニューバルサについて聞きたいんですが。

レシャックのやっていることは素晴らしいと思います。彼はバルサに何十年もいる人だし、何をしなければいけないかを完全に把握しているでしょう。今シーズンの多くの成功を期待してます。バルサは僕にとってすべてといってもいいクラブです。なぜなら、バルサは僕に一人の選手としてすべての可能なものをくれましたから。将来、誰にいつ聞かれても多分同じことを言うでしょう。僕はバルセロニスタであり、それは死ぬまで変わらないとね。

グアルディオーラのマネージャーであるオロビッチ氏は、ペップとは別のインタビューに答えている。その中で、これまで所属クラブが決まらなかったのは、前回での「カピタンコーナー」でラモン・ベッサ氏が指摘していた「ユベントス問題」が原因であると、はっきり指摘している。ユーベの優柔不断さが、彼に興味を示した多くのビッグクラブ(インテル、ミラン、ローマ、リバプール、マンチェスター、等)に影響を与え、結局は時間の浪費になってしまったこと。ユーベとの交渉が壊れたあと、インテルの監督になったクーペルは彼に興味を示していなかったこと、ミランはアルベルティーニのケガが予想より早く回復したことにより彼に興味を失ったことについても、その通りだったと答えていた。

グアルディオーラは背番号に28番という数字を選んだ。その日、彼の一人娘マリアが生まれている。