Victor Valdes
バルデス


1982年1月14日生まれ
2002−03シーズン、20歳でデビュー

“正ポルテロはボナノかエンケか?”
これが2002−03シーズン前のプレステージ段階で話題になったことの一つだった。レイナはすでにレンタルされており、前シーズンからいるボナノ、そしてこのシーズンに加入してきたエンケのうち、どちらかが正ポルテロとなるのは間違いなかった。プレステージを利用しておこなわれた親善試合でもほぼ交代にスタメンを争っていた2人でもあった。だが、バンガールが最終的に選んだ正ポルテロはボナノでもエンケでもなく、何とバルサBチーム登録のビクトル・バルデスだった。

1992年の夏、ビクトル・バルデスは10歳という年齢でバルサに入団してきている。ラ・マシア最年少の彼に一番近い存在だったのは、年齢が最も近くしかも同じポジションだったレイナだった。そのレイナがレンタルされクラブを去った年に、偶然にもバルデスにデビューの日がやってくる。2002年8月14日、チャンピオンズ予備選でのバルソビア戦でスタメン出場しデビュー。多くの予想を裏切ってのバルデススタメン出場だった。そしてリーグ戦がスタートされても、やはり多くの予想を裏切って彼のスタメンが続くことになる。

試合中に常に声をだすポルテロであり、やたらとペナルティーを止めるポルテロであり、そして誰よりも気が強いポルテロ、それがバルサBでの評判だった。強烈なキャラクターを持つこと、それはポルテロとして大事なことだ。だが、20歳でデビューしたばかりのバルデスは大きな誤りを犯してしまう。気の強さがマイナスにでた事件だった。リーグ開幕戦からスタメンだったバルデスがベンチ要員となったのは、10月26日第7節のアラベス戦。ボナノがスタメンとして起用され、その次の試合にもボナノが起用された。2試合続けてスタメンから外されたバルデスがキレてしまったのは11月9日のこと。クラブに何の連絡もせず練習に出てこないどころか連絡先もわからない状態だった。

その後、記者会見を開きクラブ関係者やソシオに謝罪したバルデスだが、バンガールは彼のことを許さなかった。バルデスがようやくバルサAチームに戻ってくるのはバンガールが更迭となり、監督がアンティックとなってからだ。それは2003年4月27日、第27節ソシエダ戦のことだった。そしてそれ以来、彼は常にバルサ守備陣の最後の駒として活躍している。