「ボールのコントロールやパスが非常に速いし、それにも増して頭の回転がとても速いのが彼の特徴だ。ボールが足に触る前に、どこにパスをだせば良いのか分かってる数少ないプレイヤー」
ペップ・グアルディオラがデビューして間もなく、当時のバルサ監督ヨハン・クライフがこのような言い方で彼を分析している。パスを出す際の物理的なスピードとメンタル面でのスピードを持ち合わせた選手、それがペップだった。ここ最近のフットボール傾向として、ピボッテ選手が二人であろうと一人であろうと、まず最初に彼らに要求されるものはフィジカル面の強さだ。それは現在のバルサを見ても他のクラブを見ても一目瞭然ともいえる事だろう。かつてのペップがそうであったように、このマーク・クロッサスもフィジカル面では高く評価されるべきものを持っていない。だが彼らが共通して持っているもの、それはクライフが語る“二つのスピード”だ。フィジカルは毎日のトレーニングで鍛えられるのに対し、メンタル面のスピードは練習を通じて鍛えるというよりは基本的に持って生まれたものだという。
マーク・クロッサス、1988年1月生まれだからつい最近18歳になったばかり。昨シーズンはフベニルBカテゴリーでプレーし、今シーズンはフベニルAに上がってプレーしていた。その彼がバルサCに呼ばれたのが2006年の最初の試合。そしてそれ以来、彼は毎試合スタメン出場している。もっともつい最近のフベニルAチームがエスパニョールとのダービー戦を戦った時にはクロッサスも招集されていた。今後もフベニルAの大事な試合がある時にはバルサCを留守することになりそうだが、それでも今ではバルサCの絶対的な4番(実際は6番)となっている。早ければ今シーズンが終了する間際にはバルサBにいるかも知れない。いずれにしても来シーズンからは少なくともバルサBのピボッテとしてプレーすることになるだろう。ラ・マシアから誕生してきた久々の“らしい4番”選手マーク・クロッサス、何気なくペップの香りが伝わってくる、これまでになくカリスマ性を持っている選手が登場してきた。(06年03月)
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