Victor Valdes Arribas
バルデス


ビクトル・バルデス
(2003/03/12)

昨日の試合に久しぶりにビクトルが呼ばれていたのは嬉しいニュース。もう彼のことをメ過去モとしちゃってる人もいるかも知れないが、ビクトルは近い将来、それもかなり近い将来にバルサのゴールを守る守護神となるキーパー、と信じている。

彼が二部に落とされてから、もうすっかりニュースの対象とはなっていない。でも確実に成長しているキーパーだ。二部から一部チームに上がる以前、そして一部から二部に落とされた以降、その両方の彼のプレーをミニ・エスタディで見る機会に恵まれている。彼が才能あるキーパーであることはカンプノウでの少ない試合でもかいま見ることができる。経験をもっとも必要とするポジションでありながら、そして多くの批判がありながらも強烈なキャラクターを見せてくれた頼もしいキーパーだった。スペインアンダーレベルでは彼とレイナが代表となっているのも忘れてはいけない。

オランダ人キーパーコーチのホックはとてつもなく評判のいい人みたいだ。キーパー職に関して非常に論理的であり、しかも才能ある選手を成長させていく能力があるとの評判。でも個人的にはどうもこの人を信用していない。彼がバルサのコーチとなってからすでに6年目。一時期のヘスプを除いて他の誰一人として定キーパーとなって活躍した選手がいない。バイア、ヘスプ、アルナウ、レイナ、ドゥトゥエル、ボナノ、ビクトル、エンケ。ドゥトゥエル、ボナノ、エンケを獲得したのはホックだ。そしてこの三人以外にも、6年間で多くのキーパー獲得の話が上がっていた。ブフォンやトルドを獲得候補選手にあげることは誰でもできる。でもミッケモノを獲得するには、やはりそれなりの才能がいるだろう。だがホックにはその才能がないと見た。

アルナウを育てたのもレイナを育てたのもビクトルを育てたのもすべてバルサ少年部のコーチ陣。ホックとは関係ない。関係あるのは彼らが一部に上がってきてからのこと。そしてその結末は誰もが知っている。すべて中途半端な形で終わってしまっている。だが監督が責められることはあっても彼が責められることはない。これまで一度たりとも批判の対象となっていないホックに、個人的には大疑問だ。

でも、そんなこととは関係なく、ビクトルは成長している。しかも監督はアンティックだ。ディフェンスを前にあげるのを信条とするアンティックフットボールではキーパーの足のテクニックは重要な要素となる。At.マドリにいたモリーナのようなキーパー、それがアンティックの理想とするキーパー。そしてその必要性を満たすのはビクトルであり、決してボナノじゃあない。ボナノが正キーパーとして活躍している間にビクトルはしっかりと彼の良いところを盗んでいかなければ。ボナノのもっとも良いところ、それは正真正銘のプロ精神だ。ビクトルもそれをしっかりと盗んでさらに大きくならねば。

「カンテラ 明日のキラキラ星」より


ゼロからのスタート
(2002/11/12)

白い服に身体を包んで颯爽と記者会見場にあらわれたビクトル。カタラン人にしては珍しいほどのはっきりとしたカステジャーノで話し始める。テレテレせずキッパリとした態度で話し始めるコイツはなかなかだ。とても20歳とは思えない。

「ソシオの人々やバルサシンパの人々に、そして二部の選手を含んだすべての同僚選手にお詫びをしたいと思う。決して第三者に迷惑をかける意図はなかったことを理解して欲しい。練習に参加しなかったのは個人的に考える時間が必要だったからだ。新しい状況を前にして自分の考えをはっきりとしておきたかった。この決意はあくまでも個人的なものであり、第三者がからんだということは一切ない。自分で考え一人で決意した結果の行為だ。この行為によって自分は再びゼロからの出発になることもわかっている。監督の信頼を再び勝ち取るためには、これまでの2倍の努力が必要かも知れない。こんな状況を生んでしまったけれど自分の夢はバルサで成功すること以外は考えられない。これまでの2倍でも3倍でも努力して一部に戻るために頑張る。」

こういう問題が起きると必ずといっていいほどバンガール派と反バンガール派が登場してくる。バンガール派の人々が言うことはもちろん誰もが考える常識的なこと。つまり若きビクトルの考え違いを非難する内容。反バンガール派は監督と衝突したビクトルを応援するのは当然だ。いわく、ペップやガブリやチャビも同じように一部や二部を行ったり来たりしたというが、彼らが一部デビューしてからは二部での練習に戻ったことは一度もないというもの。それなのにビクトルはなぜ二部の練習に戻るのか。あるいはシーズン開始前にビジャレアルにレンタル移籍するチャンスがあったにも関わらず、バンガールだかガスパーだかが「今シーズンは一部での選手として扱う」という甘い言葉によってビジャレアル行きを断るハメになったこと。それなのになぜまた二部で練習しなければいけないのか。

もちろんこれらのことはビクトルが公式に発言したことではない。いずれにしてもバルサに何か起きれば、待ってましたとばかりバンガール派とアンチ派が出現してくる。そういう格好の材料にされちゃったビクトルも迷惑っちゃあ迷惑な話だ。
キーパーなんていう孤独な職業のヤツは強烈なキャラクターが必要。シューマイケルやカーンを見てみればよくわかる。ブスケやアルナウ、レイナを越えたキャラクターを持っているビクトル君、頑張ろう。

「カンテラ 明日のキラキラ星」より