Victor Valdes Arribas
バルデス


前半戦での各選手総括(上)
(08/02/08)

バルデス
ミリート、イニエスタと共に、これまで最も安定した活躍を見せている選手。クライフが評価するような、カシージャスと並ぶ実力を持った選手かどうかは別として、すでにスビサレッタの域は越えているだろう。決勝ゴールを決めたベレッティがパリでの英雄となるのはフットボール界の運命なれど、あの試合でのバルデスの活躍は五つ星と言っていい。今シーズンだけではなく、すでに何シーズンも前から彼の活躍が評価されても良いにもかかわらず、バルデスならではの、あの生意気そうなイメージがマイナス材料となっている。だが、それでも、来シーズンからはカピタン候補の一人に推薦!

「こちらカピタン」より


守護神バルデス
(07/09/27)

ラ・マシアでおこなわれる毎日の練習で、最後にグランドを後にするのは決まってビクトル・バルデスだ。バルセロナ・メルセ祭の月曜日、この日の午後におこなわれた練習でも、バルデスはいつものように“残業’している。ボージャン・ケルキックのシュート練習に最後までつきあった彼は、この日の2日前におこなわれたセビージャ戦で今シーズン2度目のバルサカピタンマークを付けている。

カピタンとなった印象は?

カピタンはプジョー、ロナルディーニョ、そしてチャビの三人。彼らが自分のカピタンであり、同時にチームの代表者となっている。自分があの試合でカピタンマークを付けたのは状況が生んだ単なる偶然に過ぎない。それでも、まったくの偶然とはいえ、カンテラ育ちの自分には特別な出来事であるし、非常に光栄に思えることには変わりがない。時間的にも短い間だったけれど、とてつもなく誇りに感じる瞬間だった。

“ロナルディーニョ問題”があなた方に与える影響は?

外側で騒いでるだけで、内側にいる我々には影響なんてまるでないと思っている。もちろん仲間の“悪口’を言われるのは気分の良いことではないし、仲間の私生活のことに関して、メディアがバカ騒ぎすることも不愉快なことだ。バルサというチームを構成する選手たちはみな大人であり、プロ精神に富んだ選手であり、己をコントロールすることができ、そして何よりもバルサでプレーするという意味をじゅうぶん認識している人々だと思っている。

昨シーズンの“不振“から来る、あらゆる意味でのプレッシャーを感じているか?

バルサというクラブに対する期待というか、要求の大きさから来るプレッシャーはいつのシーズンでも同じ。このクラブでプレーしている選手であるならば、そのことは例外なく誰もが知っている。自分もそうだけれど、小さい頃からそういうプレッシャーを受けながら成長し、そして幸運にもここまでたどり着くことが可能となった選手は特にそうだろう。新しく来た選手たちも、このクラブが特殊なものであることに気がつくのにそれほど時間はかからないだろうと思う。毎日の練習に大勢のファンが詰めかけ、そして練習が終わってもジャーナリストに追いかけられる毎日。そしてチョットしたミスが何回か続くと地元のスタジアムでありながらブーイングを受ける。そんなことは、例えばイングランドでは考えられないことだろうと思う。

昨シーズンに比べると、守備的なところではかなり強化されているのが数字となってあらわれています。それは同時に、あなたの活躍の場が少なくなっていることにもなる。

相手よりも1点でも多くとるのが我々のポリシーであることには変わりがないものの、もちろん相手の攻撃を封じ込めるのも我々の仕事であり、そのためには自分が最後の砦となることも自覚している。自分の職業はポルテロ、もし相手の決定的なゴールチャンスを食い止めることができれば、チームにとって大いなる意味を持つ存在となり得るし、もしミスを犯すようなことがあれば、それはチーム内での最低評価の対象となる選手ともなる。そこがデランテロとの違いだ。彼らはゴールを決めればヒーローになれるが、例え決定的なゴールチャンスを逃したとしても批判は大したことはない。そして自分は10歳の時から、そういうポルテロとしての運命が気に入っている。目立たない存在ながら、守備に入る選手たちの後ろには、安全を保証してくれる人物が一人いるという安心感を彼らに与えることができるように、毎日の練習に励んでいる。そして自分の出番が少なくなったという事実は、逆に自分の責任も多くなるということも知っている。それがバルサというポルテロの運命だということも知っている。このクラブでポルテロをつとめるのは限りない集中力が要求されることになる。

あなたのところにボールがやって来ない状態で、そのように集中力を保つのか?

一つ一つのプレーに自分も常に参加しているという、仮想状況を作りながら90分間プレーしている。寒さに集中力を奪われないことも大事だ。プレーに参加しているという仮想状況を頭の中で作りながら、同時に体をいつも動かすことも忘れてはいけない。攻撃的なフットボールを展開するバルサだから、自分とセントラルとの間に大きなスペースが生まれるのは仕方のないことであり、それだからこそバルサのポルテロはゴール枠の前にジッとしていることは許されない。デランテロとの一対一の勝負という危険な状況が発生することも珍しくはないし、その勝負に勝利することも義務づけられている。危険と言えば危険な職業だが、それは人生と同じように、安全性だけを心がけていたら面白くないだろう。

安全性を求めない人生観を持つビクトル・バルデスはどういうタイプの人か?

一人きりになって孤独を楽しむタイプかも知れない。友達の数は普通の人と比べれば少ないだろう。仲間と集まってガヤガヤやるより、一人で目的なしに散歩するのが好きだし、特に海を見ながら浜辺を一人歩くのが好きだ。頭の中を空っぽにして歩き回る。小さいときからポルテロという孤独なポジションをやって01_Valdes_05.html来たからか、あるいはバルサというプレッシャーの多い環境で育ってきたからか、それはわからないが、いずれにしてもそういう星のもとに生まれたのだろう。プレッシャーを受けるのが自分の人生にとって必要不可欠なものとなっているが、それが嫌いではない。

「こちらカピタン」より