Xavier Hernandez Creus
チャビ


負傷以来初の招集!
(06/04/29)

去年の12月初旬に負傷しリハビリに専念していたチャビに、試合招集という嬉しいニュースがようやくやって来た。その試合は4月の最終戦となるカディス・イン・カンプノウでの試合。実に5か月ぶりの現場復帰ということになる。手術した後のリハビリ期間は6か月と発表されていたから、それよりも1か月早い復帰となった。

合同練習に参加するようになってすでに1週間という時がたとうとしている27日の木曜日、彼にとって待ちに待った“ドクター許可’が下りた。その許可を与えたのはバルサ医師ではなく彼の手術を担当したラモン・クガット氏だ。彼が許可を与えたのだから、当然ながらバルサ医師団も同意するしかない。その嬉しいニュースが届いてから24時間後、更に嬉しいニュースがやって来た。カディス戦への招集メンバーに彼の名前が記入されていたことだ。すでに1か月前からこの試合での復帰を目指してリハビリに励んでいただけあって、リハビリそのものが順調に来ていた証拠ともなった。
「試合招集というニュースはもちろん嬉しいが試合出場ということに焦る気持ちはない。リハビリがそうであったように、すべては時間が解決してくれるだろうと思う。とにかく最初の第一歩を踏み出せたことが嬉しい。」
カディス戦招集が決まったチャビがこう語る。

先週末から他のメンバーに混ざって合同練習に参加してきている。もちろん5か月間のブランクがあるからリズム的には他の選手と同じようにはいかない。それでも一日一日確実にリズムが上がってきているのをフラン・ライカー監督は見逃していない。カディス戦でのスタメン出場はあり得ないだろうが、後半30分当たりからの出場はじゅうぶんあり得そうだ。残り少ないリーグ戦の試合を通して徐々にリズムを取り戻し、アーセナル相手のチャンピオンズ決勝戦出場が彼の次の目標となる。ワールドカップは・・・まあ、適当にやればよい。

「Aチーム」


カディス戦出場を目指して!
(06/04/01)

「具体的な復帰日に関しては何も言えないさ。やっと芝の上に戻ってきたばかりだし、これから本格的な練習が始まるんだ。負傷箇所と相談しながら焦らずゆっくりと練習に励んでいけばそのうち復帰という日がやって来る。」
これまで負傷という経験を積んできた多くの選手がそうであるように、チャビもまた具体的な復帰日を口にしない。長いあいだ離れていた“現場”に戻れたことによる喜びがオーバーワークを誘い、再負傷という可能性も大いにあるし、負傷箇所は何ともなくともフィジカル面の調整がうまくいかないこともある。したがって彼らにしてみればまずフットボール選手の体に戻すことが第一であり、グランドに戻ることができる復帰日は二の次のことだ。だが当人がそうであっても“患者”を患者以上に知ることができるリハビリ担当医師エミリ・リカールにはすでに一つの予感がある。それは4月の最終戦となる地元カンプノウでおこなわれるカディス戦が復帰試合となるのではないかということだ。

周りのチームがスッコロビ続ければバルサのリーグ優勝はカンプノウでのビジャレアル戦で、少しでも彼らが意地を見せればサンジョルディの前日におこなわれるアウエーでのセビージャ戦で決まる(と、カピタン予想)。したがって、いずれにしてもチャビの復帰はリーグ優勝が決定してからとなる。
「もちろんチャビは復帰日に関しては何も言わないだろう。だが個人的には4月30日のカディス戦あたりが順当なところだと思う。」
カタルーニャのあるラジオ局のインタビューにそう答えるエミリ・リカール。

懐かしのラ・マシアの練習場で今週から汗を流しているチャビ・エルナンデス。もちろんグループに混じっての練習ではなく、トレーナーとコンビを組んでの走り込みやボールを使っての基本的な運動の練習だ。
「手術箇所に強い痛みを覚える日もあるし、弱い痛みを感じる日もあるし、まったく気にならない日もある。ドクターに言わせればこれは普通のことで、こういうことの繰り返しを通して完治していくという。いずれにしても順調に来ているようだし、毎日毎日ここで汗を流していけばいつか復帰の日は来るだろう。」
チャビが語る“いつか復帰の日”がもしカディス戦となると、彼が負傷してからちょうど5か月目のこととなる。

「Aチーム」


4月の中旬、あるいは下旬に復帰したい
(06/03/12)

「チャンピオンズ準々決勝の相手はベンフィカが希望だな。イタリア勢とはあたりたくないし、リオン相手も何かやりにくそうだ。もしベンフィカとあたったら宝くじみたいなものに当たったようなもんだ。」
チャンピオンズ組み合わせ抽選会がおこなわれる前日の3月9日木曜日にそう語るチャビ。そしてその翌日、彼に、そして我々バルセロニスタに宝くじみたいなものが当たった。

リハビリに入ってから3か月半近くたっている。手術後に発表された“ドクター見積もり”は約6か月のリハビリ期間が必要ということだった。だが、約半分の期間を経過した今、その“見積もり”は若干の変更がされる可能性がでてきたようだ。
「自分は生まれついての楽観主義者だけれど、どの楽観主義者も予想できなかった短いリハビリ期間で戻れるような気がしてきている。今から1か月後、あるいは1か月半後には合同練習に参加できるような気がしているんだ。つまり、自分のリハビリが順調に行きチームも順調に勝ち進んでいけば、チャンピオンズの準決勝のセカンドラウンドぐらいにはプレー可能だと思う。もちろんリーグ戦の最後のほうの試合やチャンピオンズの決勝戦には間違いなく出場できる。」

カタルーニャラジオ局のインタビューにテキパキテキパキと答えるチャビ。
ロナルディーニョについて
「スペクタクル、世界一」
メッシーについて
「天使からの贈り物」
イニエスタについて
「マシアが生んだ宝物」
マドリについて
「我々も同じような経験をしているから彼らが辛い時期をおくっているのがわかる」
バルサについて
「自分が抜けたことで戦い方が変わったという人がいるが、外から見ている限り何の変化も感じられない。今のバルサは一人や二人の選手が抜けても戦い方そのものは変わらないほど層が厚いチーム」

チャビのリハビリはすでに軽い走り込み段階にまできている。ボールを使っての練習もしているが、もちろん強く蹴るまでにはいっていない。だが、どのようなリハビリメニューをこなしても負傷箇所に一切の痛みを感じないことがリハビリの順調さを証明している。かつてチャッピー・フェレールが多くの予想を裏切りリハビリ期間の超短縮に成功し、ウエンブリーでの戦いに参加してきたように、チャビもまた今シーズン中に、それもかなり早い時期に顔を見せてくるかも知れない。

「Aチーム」


負傷から3か月
(06/03/03)

「一部のメディアがエドゥミルソンとの衝突によって負傷したと書いていたけれど、実際は自分一人でやってしまった怪我さ。彼が一番最初に心配して倒れている自分のところにやって来てくれたから、そう勘違いした記者がいたようだ。」
これまでの人生の中で最大の負傷が「右足親指の爪を割ったこと」と語るチャビに襲いかかったリハビリ半年病。2005年12月2日の金曜日の練習中に右足膝十字靱帯断裂という大怪我をしてしまった。あれからもう3か月がたとうとしている。

リハビリは順調に進んでいる。すでにリハビリ“第一ステージ”は消化され、次のステージに入っている。1日約8時間、日曜日だけが休みというリハビリが毎日淡々と進められていく。彼の生まれ故郷テラッサの街にある“アスレティック・テラッサ”という陸上ホッケークラブ施設が、彼のリハビリを進めていく上での重要な場所となっている。そして彼と常に行動を共にしているのが、リハビリ担当医師であるエミリ・リカール。朝の9時にはもうこの二人一緒の姿が見られる。それは時にはゴルフ場であったり、時には街外れにある自然公園であったり、時には近くの砂浜であったり、どこであろうと1時間近くの散歩メニューが消化されていく。
「午前と午後を利用して3時間ぐらいは歩かないといけないが、いつも同じ景色のところではつまらないからね。テラッサの街を離れてスキー場だとか、山へ行くこともある。」
そう語るエミリ・リカール。

散歩が終わる10時過ぎに、アスレティック・テラッサ内にあるバールで朝食をとるのが日課となっている。まるで待ち合わせでもしているかのように、彼らが向かうテーブルには一人の友人が座っている。ジョルディ・クライフだ。彼はチャビのような大怪我をしているわけではないが、いまだに膝の調子が悪くリハビリをこなす毎日だ。年齢的に差がある彼らだからカンプノウで一緒にプレーしたことはない。だが“ラ・マシア”育ちという同じ経験をもつ二人のカンテラ育ち選手だから、共通話題は山のようにある。バルサB時代やミニエスタディの話題、ジョルディも個人的にはかなり親しい付き合いをしているフラン・ライカーの話題、そしてクライフの話題、あるいはイニエスタやメッシーの話題、とにかく話のタネは尽きない。
「自分もそうだけれど、ジョルディにしてもイニエスタという選手を誰よりも高く評価している人物さ。イニエスタの少年時代からの練習風景を見ているからその凄さをよく知っている。メッシーも凄い選手だし、ラ・マシアからどんどん素晴らしい選手が出てくるのは先輩としての我々の誇り。まあ、そんなことより、このバールでの朝食の時間は1日の始まりでもっとも楽しいひとときさ。何たってジョルディは自分の知らないことをたくさん知っているから、話していて楽しくてしょうがない。」

朝食の後はプールが待っている。エミリ・リカールにとってはもうすでに何十回、何百回こなしてきているメニューだ。ここ3、4年だけをとってみても、ペップやルイス・エンリケ、あるいはガブリなどと一緒にこなしてきているメニューだ。
「チャビは泳ぐのが苦手だからこのメニューは嫌がっていたんだが、もう慣れてきている頃だね。もっとも、彼のリハビリにかける意欲は凄いものがあるので、苦手な運動でも笑顔でこなしてきている。リハビリで大切なのは、復帰しようというその意欲。その意欲次第でリハビリ効果はまったく違ってくる。チャビの場合は、もちろんペップやその他の選手もそうだったように、復帰意欲が強いからリハビリメニューの消化が早く進んでいる。半年病と言われているが、そんなにはかからないだろうと思う。」

午後にはいると、もう少しスポーツ選手らしいメニューが待っている。ジムでの筋肉トレーニングやボールを使っての運動メニューがこなされていく。そしてもう少しすれば、走り込みや芝生の上での練習が開始されることになる。ボールを使っての練習もそれほど遠い話ではないし、ワールドカップにはほぼ100%に近いフィジカルを持って望めることはもちろん、リーグ戦にも間に合うかも知れない。だがチャビにしてもエミリ・リカールにしても、その話題には触れない。リハビリのリズムを必要以上にアップしたために、再びダウンしたというスポーツ選手を多く見てきている二人だし、焦ることなしに一つ一つステップを上がっていけば必ず予定時間より早く戻れることを暗黙の了解としている二人だからだ。

「Aチーム」


残念無念今季終了チャビ・エルナンデス
(05/12/03)

昨シーズン悪夢のようにバルサの選手に襲いかかってきたリハビリ半年病“十字靱帯断裂”、それがチャビに向かって飛んできてしまった。雨がシトシトと朝から降り続く金曜日、その日の練習中に起こった不幸な出来事だ。

いつものように軽いランニングから始まったこの日の練習は、恒例のロンドのあと4つのグループに分けてのミニゲームがメインとなっていた。2日後に控えたビジャレアル戦への準備として最も重要な日でもある。マシアのグランド状態は決して良好とは言えない。なぜなら朝から小雨が降り続き普段より柔らかい状態となっていたからだ。それでも選手たちは激しいあたりを繰り返しながらゲームを続けいていく。そしてエドゥミルソンとチャビとの間に不幸な“衝突’が生まれてしまった。

彼の負傷のニュースが流れたのは午後の1時頃。病院での精密検査を待たなければ詳しいことはわからないのの、運が良ければ3〜4週間程度の負傷、最悪の場合は右足膝十字靱帯断裂という可能性もあり、その場合は手術後半年間のリハビリが必要となる、ということはすでに多くのバルセロニスタには経験上よくわかっていること。そして午後におこなわれた検査の結果、その最悪のものとなってしまった。来週にも手術がおこなわれるが、いずれにしても半年リハビリということはリーガの試合出場だけではなく、ワールドカップへの出場もヤバイということになる。まあワールドカップなんぞはどうでもいいとして、チャンピンズの決勝戦に間に合わないというのは彼にとってもバルセロニスタにとっても悲しい話だし、今シーズンはもうカンプノウでも見られないかと思うと残念無念な話だ。チャビが300試合出場達成したときに“故障が少ない選手でいることは大事なことだ”と書いてしまったのがこの故障を生んでしまった原因か・・・。それでは、イニエスタ、そろそろ本領発揮といきますか。がんばれ!

「Aチーム」


300試合出場達成最年少記録樹立
(05/10/17)

10年、あるいは20年前と比べると、ここ何年間で試合数が圧倒的に多くなっている。したがって試合出場数などを過去の記録と比較することはあまり“公平な比較”とはならないものの、それでも記録は記録だから、新たな記録達成はそれなりに意味のあることだ。今週末のコルーニャ戦でバルサ史に刻み込まれるであろう一つの記録が生まれれる。この試合出場でバルサ公式300試合出場達成したチャビは現在25歳と8か月、これまでのバルサ歴代選手の中では最も若い選手として記録されることになる。

チャビ・エルナンデスがバルサAチームでデビューしたのは1998年8月18日、マジョルカ相手のスーペルコパの試合であり彼が18歳の時だった。シーズンで言えば1998−99シーズンで監督はバンガール。もちろんこのデビューを境にして毎試合バルサAチームで出場していたわけではない。ある週はバルサA、翌週はバルサBというようにカンプノウとミニエスタディを行ったり来たりしている。それでもデビューシーズンに26試合に出場したチャビは、翌シーズンには38試合、そして翌々シーズンには36試合とそれなりの出場数字を出している。グアルディオラが抜けカルラス・レシャックが監督となり彼の出番がバンバンとやって来たのは2001−02シーズン。このシーズン以来チャビはほぼ毎試合に出場していると言ってもおおげさではない。

■チャビ300試合出場の記録
1998−99 26試合
1999−00 38試合
2000−01 36試合
2001−02 52試合
2002−03 44試合
2003−04 49試合
2004−05 45試合
2005−06 10試合目(コルーニャ戦)

もはや伝説の選手となったミゲリ、その彼が649試合出場というバルサ歴代選手試合出場最多数を誇っている。この記録に追いつくのは並大抵のことではないが、この数字に近い試合出場数も期待できるチャビ。これまでのすべての監督から厚い信頼感を勝ち取ってきたこともさることながら、やはり故障が少ない選手でいることは大事なことだ、ねっ、ねっ、ねっ、ガブリ君、モッタ君。

「Aチーム」