どこのクラブでも同じだが、バルサカンテラに関する情報もなかなか知りにくい。メディアチックな話題ではないし、何よりもクラブ側が情報をコントロールしてしまうからだ。確かに10歳程度の、あるいは10代半ばの少年たちをメディアの前に登場させてスポットライトを浴びせてしまうのは、色々な意味で危険なことだ。何か勘違いして天狗になってしまう少年もいるだろうし、余計なプレッシャーを感じてしまう少年もいるかも知れない。ジョバニがプレステージでバルサAチームに同行したときも、インタビューを一切禁じていたが、今でもそれは同じこと。もちろんボージャンに関しても同じ。だが、スペイン代表選手の一人として合宿中などの時は例外となる。クラブの選手としてではなく、スペインを代表する選手の一人としてインタビューに応じる場合がある。試合後に簡単な印象を聞くインタビューは別として、ボージャンはそれ以外のインタビューに応じたことはこれまでない。だがU-17代表選手として招集されていたとき、一度だけインタビューが許可されている。いつの間にか“有名”になってしまったボージャンだが、今年の5月におこなわれた今のところ最初にして最後のインタビュー。8月の誕生日を迎える前におこなわれたインタビューだから、彼はまだ15歳だ。
15歳という年齢でルクセンブルグ相手の試合でU-17代表デビュー、そしてハットトリック、これ以上のデビューはないでしょう?
まさか3回もゴールを決められるとは夢の中でも出てこなかったこと。でもそれ以上にU-17代表選手としてデビューしたことの方が自分にとっては意味あることだ。At.マドリのカマッチョと自分だけがまだ15歳で他の選手はすべて年上。この年代で最も優秀な18人の選手の1人に選ばれたことを光栄に思っている。でも先はまだまだ長い。
バルサカンテラに詳しい人々は、あなたのことを第二のメッシーとして期待していると聞きますが?
彼は18歳で自分は15歳。そして彼はすでに念願のバルサAチームでの道を歩み始めた選手で、自分はまだその入り口にも到達していない選手。比較にはならないと思う。でも自分と同じようにラ・マシア育ちの選手が、憧れのAチームで活躍できるようになったことは非常に嬉しいニュース。彼とは友達だし、自分のことのように嬉しい。
ラ・マシアの話題がでましたが、ここ何年か見事なまでに機能している感じがします。チャビ、バルデス、イニエスタ、セスク、ピケ、そして彼らのあとを追ってジョバニ、フラン、ヤゴ、そしてボージャン。その秘密は何だと思いますか?
特別な秘密はないと思う。伝統的にそうであるように、地方からやって来た少年たちをフットボール選手としてだけではなく、一人前の人間として教育していく施設、それがラ・マシア。毎日の生活は勉強と練習というスケジュールで埋まっていて、午前中にはそれぞれ学校に行き、帰ってきて食事を済ませたあとは、寮内で個人授業をおこなうための先生がやって来る。そして勉強が終了して初めて練習ということになる。自分もそうして育ってきたんだ。
昨日はあなたにとって特別な日だったと思います。U-17代表デビューしただけではなく、バルサがリーグ優勝を決めましたね。あなたは当然ながらバルセロニスタでしょう?
自分は誰よりもバルセロニスタ。もう我々が優勝したことは昨日の夜に連絡が入ってきているから知っているさ。残念なのはその場に立ち会えなかったこと。でもチャンピオンズも優勝してその時にみんなと騒ぐことができればいい。リーグの優勝とチャンピオンズの優勝、両方の祝賀会ができればいい。
私は2年前に初めてセスクという選手のインタビューをしました。フィンランドでおこなわれたU-17代表の大会で彼がデビューした翌日です。その時の彼もまた今のあなたと同じように他の選手より1歳若く、しかもバルサカンテラ育ち。しかも同じように何か輝きを感じる選手でした。
彼がラ・マシアにいる頃から友達だったし、アーセナルに行ってからも時々連絡を取り合っている。彼は彼なりに自分の道を見つけていったけれど、自分も同じように自分の道を進めればいいと思っている。自分の道はあくまでもバルサ、このクラブで成功することのみが自分の道だと思っている。いつの日か、カンプノウでプレーすること、そしてバルサAチームの選手として活躍する日が訪れること、それはあくまでも夢にしか過ぎないけれど、それが自分の道だと信じている。
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