Gabriel Garcia de la Torre
ガブリ

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どこにいようがバルセロニスタ
(06/05/10)

2006年5月6日、この日の夜8時に開始されたバルセロナダービー・エスパニョール戦が、バルサの選手として地元ファンの前での最後のプレーとなった。
「来シーズンからどこでプレーするかはまだ決めていないし、シーズンが終了してからいくつか来ているオファーを検討することになる。」
そう、まだガブリは来シーズンからどこでプレーするかは決まっていない、が、プレミアに所属するクラブでプレーしたいという夢はいまだにもっている。コルーニャやフィオレンティーナからのオファーもあるし、皮肉にもカンプノウ最後の試合相手となったエスパニョールという可能性もある。だが、いずれにしてもそれを決めるのはチャンピオンズが終わってからだ。今の段階で唯一決めていること、それは今シーズン終了と共に契約が切れるバルサには残らないということ、それだけだ。

「自分としては一つのサイクルが終わったのだろうと思う。そして“心のクラブ’を離れて、見知らぬクラブで一つの新たなサイクルを作っていきたいと思う。」
“心のクラブ”にやってきたのは今から13年前の1993年、彼が14歳の時だ。つまり、今年で27歳となった彼の人生の半分はバルサ選手生活ということになる。6年間バルサインフェリオールカテゴリーでプレーし、1999−00シーズンにバルサAチーム在籍となっているから、すでに7年間プレーしている。バンガールが彼をデビューさせ、そしてレシャックが彼を一丁前のプロ選手として成長させてくれた監督だ。レシャック監督時代に多くの試合に起用された彼は、その後アンティックに監督が交代されても継続性を持って試合に出場することができた。だがフラン・ライカーの監督就任から状況の変化が生じてくる。2回にわたる負傷も大きく彼の運命を左右し、今シーズンはほとんど起用されることもなくシーズンが終わろうとしている。だがライカー監督に対する不満はまったくないガブリ。
「選手との会話を優先する素晴らしい監督だと思っている。彼が監督としてバルサにやって来たシーズン、実は自分は移籍可能選手リストに入っていたんだ。それを『ガブリは必要な選手』としてリストから外したのがライカーだと聞いている。この3年間、彼への不満を感じたことは一度もないさ。」

それでも、新たなシーズンがやって来てもあまり出番がないことは明らかだし、これまでの“家”を出て新たな環境のもとで新たにスタートするのが最良だと考えるガブリ。まだ27歳、バルサ選手生活だけが人生じゃない。
「この一日の出来事は決して忘れることがないだろう。どこに行こうが心はバルセロニスタ。ビスカ・エル・バルサ!ビスカ・カタルーニャ!」
エスパニョール戦終了後のフィエスタでマイクを持ってそう語るガブリ。彼の親友であるチャビの表情や、胴上げするために一番に駆けつけてきたジョルケラが印象に残るシーンだった。

ルイス・ガルシアやチャビ、そしてプジョーなどと一緒にプレーしていたバルサインフェリオールカテゴリー時代から見てきた選手の1人がまた消えていく。
スエルテ!スエルテ!スエルテ!ガブリ!

「Aチーム」


ガブリへの4つのオファー
(06/03/15)

At.マドリ、ビジャレアル、コルーニャ、フィオレンティーナ、ガブリの代理人の手元にはこの4つのクラブからのオファーが来ている。この中で最も現実味があるのはコルーニャとフィオレンティーナだとも言われている。

今シーズンが終了し6月30日がやって来ればガブリとバルサとの契約は期限切れとなる。彼の第一希望はその日が来るまでにバルサとの新契約を勝ち取ることだ。だがチキ・ベギリスタインからのオファーは今のところやって来ていない。多くのメディアが想像すること、それはチキからのオファーはシーズン終了前にはガブリの代理人の元にやって来るだろうということ、そしてそのオファーの内容は年俸ダウンではないかということだ。だがいずれにしても、今のところ、このオファーがやって来ることやその内容に関しては想像の域をでない。そしてガブリはギリギリのところまでバルサからのオファーを待つつもりだという。

だが年俸がどうのこうのという前に、ガブリにとって最も大事だと思うことは試合に出場するチャンスが与えられるかどうかということだ。したがってチキからのオファーもさることながら、監督であるフラン・ライカーの来シーズン構想の中にどのくらい彼の存在が入っているのか、そのことが最も関心のあるところとなる。もし今シーズン同様出場チャンスがほとんどない可能性を告げられたなら、ガブリは他のクラブからのオファー検討を開始することになる。そしてその可能性はどう考えても大、とてつもなく大としか考えれらない。なぜなら今シーズンのフラン・ライカーのガブリの起用度を見てもわかるように、彼にはほとんど信頼感を持っていないことは確かだ。しかも冬のマーケットを利用してクラブを去りそうになったときも、決してそれを拒否していない監督でもあった。

バルサAチーム選手登録されてからすでに7シーズンをおくっているが、まだ27歳のガブリ。大方の予想を裏切ってフラン・ライカーが彼を引き留めることになり、もしバルサに残れることになればそれに越したことはない。だが、もしそうならなければ、他のクラブでの可能性を追求するのがプロ選手としてのとる道だろう。すべてのカテゴリーでスペイン代表になった経験を持つ選手でもあるし、これから更に花が開く可能性だってある。いずれにしても、スエルテ!

「Aチーム」


ガブリ、とりあえず今シーズンは残留
(06/02/01)

2月10日にはもう27歳となるガブリにとって、いかにチームカラーを体に染みこませているとはいえ、出場チャンスがほぼないチームに居続ける意味はない。フットボール選手はフットボールをしてこそフットボール選手となる。しかも残り半年で契約が切れるというのにクラブからの正式なオファーはやって来ていない。もっとも、正式なオファーはやって来ていないが、非公式なオファーは彼の代理人のところに一度やって来ている。その代理人が語るには、それはこれまでの年俸の40%減でどうかというものであり、その40%分はタイトル獲得や出場回数などのいわゆるボーナス支給で補われるというものだ。かつてコクーに出されたオファーと似ている内容と言っていい。この“やる気のない”オファーの内容を見るだけでも、クラブ側としては真剣にガブリとの再契約を望んでいるとは思えない、それがガブリ側が出した結論だとしても不思議ではない。

「ひょっとしたらクラブ側は延長契約を結ぶ気がないのではないか?」
ガブリが最初にそういう疑問を抱いたのは1年以上も前のことだという。いわゆる“半年リハビリ病”が蔓延した昨シーズン、同じようにその病に倒れていたラルソンには延長契約のオファーが来たのに彼のもとには来なかった。そしてその“予感”が“確信”へと変化するのがこの夏に負傷した時だと言う。
「8月の末に練習中に負傷し何週間かリハビリをする羽目になったが、その時にもチキ・ベギリスタインからの再契約オファーはやって来なかった。これまで多くの選手、例えばペップやプジョーなどが負傷したときにクラブ側が必ず延長契約を提案してきたのを見てきているが、残念ながら自分のところにはやって来なかった。」
そのガブリが最初に移籍話をコーチ陣に相談したのが昨年の12月、セビージャ戦の後だという。カンプノウでおこなわれたこの試合で、彼は今シーズン初のスタメン出場しているが、一部ファンからのブーイングがでたり、翌日のメディアでは彼のプレー内容に対し厳しい評価があらわれた試合でもあった。冬のマーケット期間を利用してのレンタル、あるいは移籍を要請したガブリに対し、ライカーは国王杯での起用を約束し彼の残留を希望する。

一部ファンからのブーイングやメディア攻勢などは気にならないガブリ。カンテラ育ちの選手には人一倍厳しいバルセロニスタ気質を知っているし、試合出場の継続さえ与えられればそれなりの活躍をすることが可能だと信じているから、メディアの批判も気にはならない。彼にとって唯一ガマンできないこと、それは試合出場チャンスの少なさだった。ライカーが約束した国王杯での試合でもサモラ戦には出場機会があったものの、サラゴサ戦ではベンチ観戦となった。そんな折りに降ってわいてきたイングランドのクラブからのオファーにクラクラっとしてしまうガブリ。思い立ったら一直線ガブリは代理人をイングランドに送り直接交渉を始める。そして1月30日深夜、あるイングランドメディアが次のように伝えている。
「ガブリエル・ガルシア・デ・ラ・トーレ元バルサ選手はすでにドーバー海峡を渡ってきており、明日(1月31日)の午前中にメディカルチェックをおこない午後には入団記者会見をおこなうことになるだろう。」

そして1月31日、イングランドメディアが伝えるようにガブリエル・ガルシア・デ・ラ・トーレ選手は記者会見をおこなっている。ただイングランドメディアの語ることと違うのは記者会見の場所がバルセロナであったことと、入団記者会見ではなく残留記者会見だったことだ。
「家族や友人たち、そしてチキやライカーと相談した結果、少なくとも今シーズンはバルサに残ることにした。確かに出場チャンスが少ないのが不満ではあるけれど、その総括はシーズン終了後におこなうのがいいとみんなに言われて納得した。」
彼が言う友人とはチャビ、プジョー、ジョルケラ、そしてエウセビオを指す。どうやら家族全員、友人全員がこの時期の移籍に反対だったようだ。というわけで、思い立ったら一直線ガブリは思わぬ反対にあってカーブを描いてバルサ残留という結論をだすことになった。

「Aチーム」


ガブリ、リーグ戦初スタメン
(05/12/14)

11連勝を記録したセビージャ戦でガブリが今シーズンのリーグ戦初スタメン出場を記録している。そのガブリのプレー内容に対して厳しい評価をするメディアも登場したし、観客席のほんの一部からささやかなブーイングが送られたシーンもあった。確かにこの日のガブリは“最高”のできではなかった。だがそれでもブーイングをされたり批判の対象となるほどのひどいものでもなかっただろう。どこの世界にも“弱い者いじめ”を好む人たちはいるものだ。もし、エトーやロナルディーニョがゴールを最後まで決められずバルサが負けていたとしたら、試合中何回も見られたエトーの異常なまでの個人プレーや、いつも以上にスタンドプレーが目立ち必要以上にボールを奪われていたロナルディーニョを批判するメディアが登場しただろうか。メッシーも残念ながらこの試合に関してはイマイチの感じだったが、彼を批判するほど根性あるカタランメディアは存在しない。

かつてバルサBを二部Aから二部Bに落としてくれたフアンデ・ラモス監督が指揮するセビージャというチームは、これまで8失点しか許していない超守備的なチームだ。そしてフアンデ・ラモス監督のチーム作りの基本的なアイデアは中盤を人数的に制すること。それはこれまでどこのクラブにいっても同じであり、もちろんこのセビージャというチームでも同じ。5人や6人もの選手で形成するセビージャの中盤は試合開始からほぼ常に数的優位をバルサから勝ち取ることに成功していた。そういう状況で一人発奮して動き回り二人分の仕事をしていたのがガブリだった。少なくともカンプノウ観客席最上階からはそう見えたし、理にかなったプレーをしているようにうつった。動きの少ないロナルディーニョやメッシーの裏をカバーし、どこにでも顔をだしていた唯一の選手ガブリはデコにも負けない運動量があった。いずれにしてもバルサ中盤の人数的不利ということもありチームそのものが機能することができなかったのは彼の責任ではない。チャビとデコがいようが同じ状況となっていただろうと思うし、今シーズンこれまでカンプノウを訪れたチームの中で最も中盤の強固なチームとうつったのがこのセビージャだ。

ガブリは負傷続きだったこともあるし、バルサには多くの素晴らしいセントロカンピスタがいることもあり、いずれにしてもこれまで継続性を持っては起用されていない。それでも例えば、久しぶりにスタメン出場してきたカンプノウでのブレーメン戦での活躍はまだ記憶に新しいし、アウエーでのウディネセ戦でもそれなりに与えられた任務をきっちりと果たしていた。
「ガブリは私が与えた仕事の役割をキッチリとこなしてくれた。イニエスタと共にこの難しい試合での殊勲選手の一人だと思っている。」
試合後にそう語るフラン・ライカー。ボールを持っている選手ではなくパスを受けるであろう相手選手へのプレッシャーや、自陣の空いてしまったスペースを埋めようとする動きは残念ながらテレビ画面には入らない。たぶんガブリを批判したジャーナリストはガブリの動きよりも何回かあったパスミスしか目に入らなかったのか、あるいはソファーに横になりながらテレビ画面を見てコメントを書いたのだろう。そう言えば、エドゥミルソンも今から2か月ぐらい前には同じように不本意な批判をされていたが、今ではそういう批判の声は聞こえない。まあ、そんなもんだ、その選手の持つ“良さ”を見ることなしに“ミス”ばかりを追求する勘違いな人々はどこにでもいる。できる限り負傷せず、地味でもいいからそれなりに仕事をこなし、ブーイング生き甲斐の一部バルセロニスタを無視し、そしてそして、来シーズンもバルサユニを着たガブリが見られますよう。

「Aチーム」


私をお忘れなく!
(05/11/25)

ブレーメンを相手にしてのチャンピオンズの試合で今シーズン初めてスタメン出場、しかも地元カンプノウでの試合であり、おまけに2年ぶりのゴールまで決めてしまったガブリエル・ガブリ選手。その彼が前半43分足首を押さえてうずくまったとき、カンプノウは一瞬シーンとなった。また長期間のリハビリが必要とする大負傷となるのか、ヒョッとしたらこの試合が今シーズン唯一出場したものとなり、このゴールが今シーズン唯一獲得したものと終わるのか、と思われた瞬間、ガブリはスクッと立ち上がりプレーを続行し始めた。後半に入りイニエスタと交代するまでガブリ会心の試合と言っていいブレーメン戦だった。ゴールを決めたあと、正面スタンドに席をとっていた母親のカルメンに向かって親指を立てている。負傷からの復帰と久しぶりのゴールをカルメンと共に喜び合うガブリ。

「カンテラ育ちの選手だからとか、負傷している期間が長かったからとか、そういう理由で契約の延長オファーがやって来たとしたら、それは自分としては不本意なことだと思っている。今の自分の立場に関して誰にも同情なんかされたくないし、自分は一人のプロの選手として評価されたいだけだ。来年の6月末でバルサとの契約が切れることになるが、いずれにしても自分のプレーを評価された上で延長契約のオファーがくることを祈っている。だが、決して同情されてのものでないことを期待している。」
そう語るガブリにまだ延長契約の話は来ていない。ディレクターのチキ・ベギリスタインとしては負傷後のガブリがどのくらいの仕事ができるか、それを確認してからオファーの検討をしたいとメディアに語っているが、ガブリにとっては、そういう意味でもこれからがいよいよ延長契約を勝ち取るかどうかの正念場となる。スエルテ!

「Aチーム」


ガブリ、オサスナ戦にむけて
(05/10/08)

8月30日の練習中にファイト100%バスク人エスケロと衝突して左足を負傷したガブリ、その彼のリハビリはそれなりに順調に進んでいて、10月中旬には再び合同練習に参加できる見通しがついたようだ。

バルサドクターではなく、彼の主治医と言ってもいいラモン・クガット医師の治療を受けることを決意した彼は負傷後2週間にわたってギブスをはめている。そしてギブスがとれた9月の中旬からフアンホ・ブラウ・フィジカルトレーナーの指示のもとにリハビリが開始されることになった。長期負傷伝染病にかかった昨シーズンと同じように、そのリハビリはクラブのジムだけでのものではなく山を走ったり砂浜を走ったりするもの。そしてその効果があらわれてカンプノウでの練習ができるようになったのが10月の初め。このまま順調にリハビリが進んでいくとすれば、10月22日におこなわれるオサスナ戦への招集もあり得るかも知れない。ベレッティをベンチに追いやり、そしてオラゲールではなく、ガブリが右ラテラルとしてプレーすること、それがもともとフラン・ライカーが望んでいたこと。待ちに待ったガブリの復帰は時間の問題となってきた。

「Aチーム」


ガブリショック!
(05/08/31)

二日間のフィエスタが終わりバルサAチームは火曜日から練習再開。もっとも多くの選手が代表にとられているため、限りある選手だけの練習となった。モッタも元気に顔を出し、ようやく彼にも春がやって来そうという風景の中に・・・今シーズン初の負傷者があらわれた。

プレステージではエンジン全開で大張り切りだったガブリエル・ガブリが今シーズン初の負傷者となった。今シーズン加入してきたある選手と衝突し左足首捻挫全治4週間から6週間と診断されている。再び苦しい苦しいリハビリが再開されることになる彼だが、去年のことを考えればたった1か月程度のリハビリなんぞガバー!と乗り越えて頑張って欲しい。今シーズン終了をもってクラブとの契約が切れるガブリにまだチキからのお声はかかっていないが、こういう厳しい状況を迎えている時にこそ契約延長のオファーをだして欲しいもんだ。

「Aチーム」