ガブリ、とりあえず今シーズンは残留
(06/02/01)
2月10日にはもう27歳となるガブリにとって、いかにチームカラーを体に染みこませているとはいえ、出場チャンスがほぼないチームに居続ける意味はない。フットボール選手はフットボールをしてこそフットボール選手となる。しかも残り半年で契約が切れるというのにクラブからの正式なオファーはやって来ていない。もっとも、正式なオファーはやって来ていないが、非公式なオファーは彼の代理人のところに一度やって来ている。その代理人が語るには、それはこれまでの年俸の40%減でどうかというものであり、その40%分はタイトル獲得や出場回数などのいわゆるボーナス支給で補われるというものだ。かつてコクーに出されたオファーと似ている内容と言っていい。この“やる気のない”オファーの内容を見るだけでも、クラブ側としては真剣にガブリとの再契約を望んでいるとは思えない、それがガブリ側が出した結論だとしても不思議ではない。
「ひょっとしたらクラブ側は延長契約を結ぶ気がないのではないか?」
ガブリが最初にそういう疑問を抱いたのは1年以上も前のことだという。いわゆる“半年リハビリ病”が蔓延した昨シーズン、同じようにその病に倒れていたラルソンには延長契約のオファーが来たのに彼のもとには来なかった。そしてその“予感”が“確信”へと変化するのがこの夏に負傷した時だと言う。
「8月の末に練習中に負傷し何週間かリハビリをする羽目になったが、その時にもチキ・ベギリスタインからの再契約オファーはやって来なかった。これまで多くの選手、例えばペップやプジョーなどが負傷したときにクラブ側が必ず延長契約を提案してきたのを見てきているが、残念ながら自分のところにはやって来なかった。」
そのガブリが最初に移籍話をコーチ陣に相談したのが昨年の12月、セビージャ戦の後だという。カンプノウでおこなわれたこの試合で、彼は今シーズン初のスタメン出場しているが、一部ファンからのブーイングがでたり、翌日のメディアでは彼のプレー内容に対し厳しい評価があらわれた試合でもあった。冬のマーケット期間を利用してのレンタル、あるいは移籍を要請したガブリに対し、ライカーは国王杯での起用を約束し彼の残留を希望する。
一部ファンからのブーイングやメディア攻勢などは気にならないガブリ。カンテラ育ちの選手には人一倍厳しいバルセロニスタ気質を知っているし、試合出場の継続さえ与えられればそれなりの活躍をすることが可能だと信じているから、メディアの批判も気にはならない。彼にとって唯一ガマンできないこと、それは試合出場チャンスの少なさだった。ライカーが約束した国王杯での試合でもサモラ戦には出場機会があったものの、サラゴサ戦ではベンチ観戦となった。そんな折りに降ってわいてきたイングランドのクラブからのオファーにクラクラっとしてしまうガブリ。思い立ったら一直線ガブリは代理人をイングランドに送り直接交渉を始める。そして1月30日深夜、あるイングランドメディアが次のように伝えている。
「ガブリエル・ガルシア・デ・ラ・トーレ元バルサ選手はすでにドーバー海峡を渡ってきており、明日(1月31日)の午前中にメディカルチェックをおこない午後には入団記者会見をおこなうことになるだろう。」
そして1月31日、イングランドメディアが伝えるようにガブリエル・ガルシア・デ・ラ・トーレ選手は記者会見をおこなっている。ただイングランドメディアの語ることと違うのは記者会見の場所がバルセロナであったことと、入団記者会見ではなく残留記者会見だったことだ。
「家族や友人たち、そしてチキやライカーと相談した結果、少なくとも今シーズンはバルサに残ることにした。確かに出場チャンスが少ないのが不満ではあるけれど、その総括はシーズン終了後におこなうのがいいとみんなに言われて納得した。」
彼が言う友人とはチャビ、プジョー、ジョルケラ、そしてエウセビオを指す。どうやら家族全員、友人全員がこの時期の移籍に反対だったようだ。というわけで、思い立ったら一直線ガブリは思わぬ反対にあってカーブを描いてバルサ残留という結論をだすことになった。
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