3月31日 水曜日 くもり
 練習だ、練習だ、今日は練習だ。と言っても代表選手がいないからいる選手だけでの紅白戦。パトリックとジオがどんなもんか、それを見るのも重要な紅白戦。一部チームを主体としたAチームにはポルテロにジョルケラ、右ラテラルにペケ、左にジオ、真ん中にマリオとオラゲール、中盤の3人がチャビ、ジェラール、モッタ、そして上にルイス・ガルシア、ルイス・エンリケ、パトリック。後半にはリエラもこのAチームに入れて試してみた。
 前半だけ出場したパトリックが快調に飛ばしてハットトリック。本番ではあり得ないことだが、とにかく体調は戻ってきているようだ。逆に、もう大丈夫と思っていたジオがいまいちの動きをしていたのが気になる。ビジャレアル戦に使えるかどうか、明日と明後日の練習次第だ。モッタとリエラがゴールを決めて、Aチームが5−2で勝利。自宅で何かにつまずいて捻挫していたマリオも珍しく負傷しないで試合を終了したのがニュース。
 明日の木曜日にもすべての選手が揃うわけではなく。ヨーロッパで代表戦に出場した選手は戻ってくるだろうが、ロナルディーニョなどは金曜日にならないと練習に参加できない。したがって試合前日だけがビジャレアル戦に向けた練習日だ。さて、首位狙いとなる4月に入ることだし、ムッキムッキと力を出していこうじゃないか。

 

3月30日 火曜日 あめ
 今日はお休み練習なし。したがって日記も一休み。

 

3月29日 月曜日 はれのちくもり のち あめ
 予想していたとおり、今日の練習は非常にファミリーな感じのもの。12人の選手が代表に持っていかれ、しかもプジョーはもちろん、パトリックとかジオなどは完璧な体調ではないので他の選手と同じペースではやっていけない。それでもパトリックは40分程度みんなと同じ練習をこなすことができた。ジオもほとんどだいじょうぶという感じ。問題は土曜日までにリズムが戻ってくるかどうかということになる。土曜日で思い出したが、ビジャレアル戦用の練習ができるのは試合前日の金曜日だけ。代表選手がすべて揃うのが金曜日の午後となるからだ。
 明日は完全休養日。それでもプジョーは来ると言ってきた。10日から12日間のリハビリが必要だとドクターが言っていたが、彼に関してだけはどうなるか予想できない。ひょっとしたら土曜日の試合には出場すると言うかも知れない。いずれにしても毎日毎日ジムで汗を流しているようだ。
 明後日はバルサB・C連合チームとのミニ試合。この試合でパトリックとジオの様子がわかるだろう。それにしても土曜日の試合は夜の10時開始だと聞いているが、試合が終わったらもう翌日じゃないか。いったいこの国はどうなってるんだ?

 

3月28日 日曜日 セビージャにも雨が降る
 ボールが転がらない、ボールが弾まない、ボールがビショビショ、こんな状態で試合ができるわけがない。もっとも、プロとしての我々はどんな状態でも試合をすることを優先するけれど、技術的に不可能なんだからしょうがない。本当は試合したかったんだけれど・・・でも、これで延期になった試合にはプジョーやジオ、サビオラやパトリックの起用が可能になった。
 さて、明日から代表選手たちがいない練習となる。ダビッツ、オーベルマルス、コクー、レイジゲルのオランダクアルテット、サビオラとマルケス、ロナルディーニョの中南米トリオ、そしてルストゥ、ガブリ、クアレスマ、イニエスタ、セルヒオ・ガルシアもいなくなる。代表戦があるといつものことだが、今週も木曜日までの練習は開店休業状態。さて、リケルメのビデオでもじっくりと見てみよう。

 

3月27日 土曜日 あめ
 インテルはアルゼンチン代表として招集されているサネッティーとキリーをリーグの試合が終わるまで行かないように出発を遅らせたようだ。それじゃあ、我々はなぜサビオラを引き止められなかったのだろうか。このへんの事情がよくわからない。クラブ首脳陣の“押し”の違いなのだろうか。
 故障者が多いので万一のために19人の選手を招集してセビージャに向かう。金曜日におこなわれたバルサBの試合に90分出場したオスカー・ロペスも招集しておいた。マリオは移動中にケガしそうなので呼ばなかった。
 ベティス戦は我々にとって勝利しか意味がないことは明らか。11人のスタメン選手に関しても私の頭の中では明らか、ほんのチョット明らかでないのは“9番”にどちらの選手を選ぶか、それだけだ。

 

3月26日 金曜日 くもり
 引き分けという敗戦の翌日の練習だけに、選手たちに普段の明るさがないのはしょうがない。しかも午前中の練習には多くの選手が負傷を訴えて欠席。ルイス・ガルシア、オラゲール、レイジゲルがそれぞれ問題を抱えているようだし、ジオやパトリック、プジョーは問題を抱えっぱなしだからして練習欠席も驚くべきことではない。
 午後の練習はそれでもチョットだけ雰囲気が違っていた。プジョーがやって来たが30分程度の練習でダウン。やはり痛みが消えないようだ。明るい材料は2か月ぶりにパトリックが合同練習に戻ってきたこと。2週間のリハビリが2か月となってしまったが、ビジャレアル戦には計算できそうだ。午前の練習を休んだルイス・ガルシア、オラゲール、レイジゲルはベティス戦には問題ないという。プジョーがどうなるか、それは医者にもわからないし、私にもわからないし、プジョー以外誰にもわからない。
 UEFAカップの早すぎる敗退は誰にもショックだが、その否定的なことさえ肯定的に考えるとするなら、リーグ戦を戦うにあたって我々はバレンシアやマドリより少しだけ有利になったという事実だな。彼らは週半ばの試合がまだ残っているが我々は週末だけの試合スケジュールなんだから。さて、ベティス戦、勝利あるのみ。
 ところで明日土曜日の深夜2時が3時になって夏時間が始まる。集合時間に遅刻しないように寝る前に時計を進めておこうっと。

 

3月25日 木曜日 はれのちくもり のち おおあめのちはれ
 ツキがなかった、という言い訳はしたくない。負傷者やカード制裁者が多くて理想的な布陣を組めなかったという言い訳もしたくない。なぜならゴールチャンスは180分の試合を通じてたくさんあったのだから。前半90分のグラスゴーでの試合ではサビオラ、ロナルディーニョなどの決定的なゴールチャンスがあったし、カンプノウでの後半90分にもジェラールなどに決めなければならないチャンスがあった。ゴールチャンスをものにできない以上、そう、試合には勝てない。コーニョ!ああ、悔しい。
 明日は11時から練習を始めよう。もうベティス戦は鼻の先だ。

 

3月24日 水曜日 はれ
 リーガの試合であれば試合前日は報道陣をシャットアウトしての秘密練習ができる。だがヨーロッパの試合ともなるとUEFAがいろいろうるさくてそうもいかない。やれ各国から来ているメディアに練習を公開しろ、やれUEFA関係者にカンプノウを見せろ、そういうやれやれがけっこうあって、結局は公開練習になってしまう。
 そこでだ、セルティック戦対応の内容の濃い練習はできないわけだからして、ここはトボけた練習をしてみた。と言っても、実戦で起用することになるかも知れないシステムではある。それはもうとっくの昔に放棄してしまった4−2−3−1という布陣の練習。ドブレピボッテにチャビとコクー、左にオーベル、右にクアレスマ、真ん中にガウーチョ、そしてトップはガッツという形。さて、試合当日の新聞にはどのような予想スタメンが登場するか、なかなか楽しみだ。
 システムは別として、この試合に勝利する三つの重要なことを選手に伝えておいた。一つ、それは焦らないこと、二つ、集中力を持ち続けること、そして三つ、それはゴールを決めること。2点以上とらないと勝利することはできないものの、決して焦ってはいけない。1点を入れられちゃうと困っちゃうから守備と攻撃のバランスをとるために集中力を持続すること、そして最終的には攻撃の精神を忘れてはいけないこと。オー、我ながら何と素晴らしい助言ではないか。

 

3月23日 火曜日 はれ
 今日の練習風景を見た限り、ルイス・ガルシアは何の問題もなさそう。合同練習で他の選手と同じような動きができるぐらいだから明後日の試合ではスタメンでいける。ジオはセルティック戦には無理なようだがベティス戦にはいけると見た。問題はいつものようにパトリック、オウッ、パトリック、パトリック、どうしちまったんだい。そんな走り方じゃあベティス戦にも間に合いそうもないな。
 それにしても、どこからどのように情報が漏れてしまったのか、トレセゲと我々との移籍合意内容がメディアに流れてしまった。手取り基本年俸175万ユーロ、各種のボーナスを含めると手取り350万ユーロという細かいことまで発表されてしまっている。クラブが私のところに送ってきた報告書にも同じことが書かれているから間違いないことは間違いないんだが、この情報をクラブが密かに流したということはユーベにプレッシャーをかけようという意味だろうな。まあ、よくあることだ。
 このニュースを知った人が勘違いしないために言っておくが、この基本合意が成立したからといってトレセゲが来ると決まったわけではない。実は私には他に獲得してもらいたい“9番”の選手がいるんだ。その選手が来るかどうか、トレセゲの獲得はそれ次第にしてもらっている。

 

3月22日 月曜日 はれ
 オレーオレー気分を入れかえて今日からセルティック戦の準備に入る。この試合にはいったい誰が起用可能なのか、ややっこしい状況なのでまずその整理だ。ダビッツは残念ながら出場できない。サビオラは2試合の出場停止処分の1試合目となるから彼もダメ。モッタはどうやら1試合の出場停止処分ですんだようだが、いずれにしてもこの試合は出場が無理。だが、次のビジャレアルとのUEFA準決勝戦には出場できそうだ。
 怪我人たち、まずパトリックにドクター許可が下りた。でもドクター許可というのは“医学的に問題はナシ”という意味だけで、フィジカル的にはまだ大いに問題があるパトリック。少なくても1週間の練習をこなさないと以前の彼には戻らない。それでも招集して5分程度だったらプレーできるかもしれない。嬉しいニュースはルイス・ガルシアとジオが思ったより早く戻ってきそうなことで、今日の練習に参加してきた。明日、明後日の合同練習次第とは言え、早ければセルティック戦に間に合いそうだし、遅くてもベティス戦にはOK。プジョーはまだ痛みがとれていないので、今日の練習は休み。もし出場できるとなっても、そして彼は絶対でるというだろうけれど、練習なしでの本番突入試合となりそうだ。

 

3月21日 日曜日 バルセロナはれ、槍が降ってきたマドリッド
 苦しい試合を救ってくれたハッピーバースデー・ロナルディーニョに、ひたすた感謝感謝感謝の気持ちでいっぱいで、それ以上の言葉が思いつかない。グラシアス、ロナルディーニョ!私を名監督にしてくれたロナルディーニョ、グラシアス!

 

3月20日 土曜日 はれ
 多くの人々は知らないだろうが、我々スタッフテクニコの仕事の一つに、対戦するチームの情報を可能な限り細かく入手する仕事がある。リーグに関してはマルティネス・ビジャセカが、UEFAに関してはラモン・アレサンコが、そして相手チームの対戦ビデオはルイス・ラインスがそれぞれ準備してくれている。彼らの完璧な仕事によって最低でも毎週14ページ以上にわたる相手チームの詳細な情報が私の手元に入ってくるというわけだ。明日対戦するソシエダ戦の情報に関しては20ページ前後のものを、ビデオは3本も興味深いものを用意してくれた。
 来シーズンのダビッツのことに関しては個人的に彼と話し合って情報を仕入れている。彼にはいくつかのオファーが来ているというが、個人的にはバルサに残りたいとのこと。まあ、どうでもいいことだが、プジョーと非常に気が合う仲にもなっているようだ。
 マドリがカンタブリア海で沈んだこともあり、メディアを初めとして我々を取り巻く環境は大はしゃぎという雰囲気だが、これは非常に危険な兆候だ。ここのところ調子が落ちていることも少し気になっている。それでも勝ち続けているメリットは大きいものの、気を付けて慎重に明日の試合は戦わなければ。もう首位と6ポイントか・・・、オッと、まだソシエダに勝っていないんだ。それでもひょっとしたらクラシコは我々がリードしている立場になっちゃったりしていて・・・。
 明日はロナルディーニョ24才、クーマン41才の誕生日。フェリシダーデス!

 

3月19日 金曜日 はれ
 我々一部チームとバルサBチームの関係は単純そうでなかなか複雑。バルサBのシーズン目標は二部Bカテゴリーから二部Aカテゴリーに昇格することだが、クラブとして基本的な目標はカンテラ選手を必要に応じて一部チームに昇格させることであるのは当然だ。だからバルサBの監督にとっては次の試合の準備をすることさえ大変な仕事となる。私が誰々が欲しいと言えば、彼はその選手の抜けた穴を早急に埋めなければならないからだ。したがってバルサBから誰を招集するかということは、そこら辺のバランスも考えないといけない。しかもややっこしいルールもあるんんだ。
 一部チームで10試合以上出場するともう二部チームには戻れないというルールがある。13試合出場したオラゲールはもうバルサBには戻れない。オスカー・ロペスは8試合、セルヒオ・ガルシアは6試合、彼らはバルサBにとってはどうしても二部Aカテゴリー昇格のプレーオフに必要な選手。ラモン・ロスとかジェルケラは一部チームで2試合しか出場していないからだいじょうぶとして、いずれにしてもそこら辺のバランスが難しい。
 試合前々日の今日はいつものようにビデオ鑑賞会。どうやらソシエダはコバセビッチを温存してくるらしい。つまりガチガチに守っていこうということだな。したがって攻撃的にいかなければならない我々としては、右ラテラルに突撃兵ガブリ、右インテリオールに自由ガウチョ、守備的左ラテラルにレイジゲル、左エストレーモにマークという感じでいいんじゃないかな。
 明日の朝7時49分からスペインは春に入るらしい。バルサにもいよいよ春の気配が強くなってくるぞ。

 

3月18日 木曜日 再びモンジュイク晴天
 モンジュイクでの“沈没事件”の翌日となった気分の良い日。久しぶりに本格的な練習をやってみた。スタメン選手は普段の練習メニューをこなしてもらい、夕方からミニエスタディで紅白戦。一部チーム控え選手対バルサB・C合同チームとの練習試合だ。
 当たり前と言ったら当たり前だが、一部チーム控え選手たちの圧勝となった。目立ったのはクアレスマで6点のうち半分を彼が決めた。いわゆるハットトリックっちゅうやつだ。それとメッシーを見たかったのでどちらのチームに入れようかと迷ったのだが、ストイチコフが是非一部チーム控え選手側で試してくれと言うのでそうしてみた。見るたびにスケールが大きくなっている感じがする。UEFA戦に起用してみちゃうか?
 ガブリ、オラゲール、レイジゲルの体調がイマイチ。だが日曜日の試合には出られるだろう。もう諦めているのはパトリック。セルティック戦に出場するのはほとんんど不可能だろう。やはりガッツ・エンリケの出番となりそうだ。ああ、それにしても清々しい陽気で気分も爽快。9連勝の9の文字が見えてきたぞ。

 

3月17日 水曜日 モンジュイク晴天
 今日の練習はスタメン組は完全休暇だから普段の控え選手のみによるもの。ガブリ、モッタは体調がイマイチなのでジムでの調整、ルイス・エンリケはベテラン控え選手だから特別に完全休養を与えた。休みだというのに練習に出て来ちゃう選手、それはいつものようにプジョー。呼んでもいないのに飛んできちゃうスーペル・プジョー。
 モンジュイクの丘で花火と共に散ったレアル・マドリは、今週末はビルバオのカンタブリア海の奥深くにドボドボと沈んでいくだろうから、ソシエダ戦に勝利することになる我々とは6ポイント差だ。その前に明日は景気づけの意味も込めて一部チーム対バルサB・C連合チームとの練習試合をおこなおう。

 

3月16日 火曜日 はれ
 今日は練習なし。したがって日記に書くとこもなし。それでも連勝街道ばく進は休みなし。次の試合に勝てば9連勝。首位のチームが負けて6ポイント差。ほとんどポイント差なし。それでは明日。

 

3月15日 月曜日 はれ
 これまでスタメン11人選手がはっきりと決まったシステムでやってきたから彼らの中に疲労がたまってくるのはしょうがないことだ。今週は日曜日の試合しかないからゆっくりと休ませようと思う。今日は軽い練習、明日はスタメン組は休み、そして明後日から本格的な練習に入ろう。
 試合翌日のコクー、ロナルディーニョはいつものようにジムでの調整。ガブリとレイジゲルは傷だらけなのでトレーナーとの走り込みのみ。そして明日の夕方4時から始める練習には普段スタメンのチャンスが少ない選手のみでおこなう。イニエスタ、ジェラール、モッタ、マリオ、オスカー・ロペス、オーベルマルス、ロス、セルヒオ・ガルシア、ルストゥ、ジョルケラ、クアレスマ、ルイス・エンリケ、マルケス、そしてガブリを含めた14人の選手たちのみ。
 次のセルティック戦には多くの選手が出場できない。サビオラ、ダビッツ、ジオ、ルイス・ガルシアは決定的、モッタの場合はクラブがUEFAと交渉に入ると言うが、まあたぶん出場は無理だろう。そして問題はパトリックだ。全治2週間と言われた彼がなにゆえ7週間もダウンしているのか私にはよくわからないが、とにかく彼の出場が望まれるセルティック戦。今日はなにやら走り込みを始めていたが、とってもじゃないがソシエダ戦には間に合わない。運がよくてセルティック戦に間に合うかどうか、そういう感じだな。

 

3月14日 日曜日 くもり
 決して良い試合でもなかったしもちろん納得もいかない内容だった。それでも勝利することができるところが強豪バルサと呼ばれる所以だろう。シロウトは気がつかないだろうが、こういうややっこしい試合では監督の微妙な采配も関係してくるんだ。
 前半にルイス・ガルシアが負傷したので急きょオーベルマルスを投入してみた。ところがこれが全然ダメ。彼はやはり左の方が向いていると判断し、後半に入ってからシステムを大幅にいじくり回してみた。これが勝利の一つの原因だと自認している。ダラダラとした試合だったので、まずカツを入れるために3人ディフェンスにした。右にレイジゲル、真ん中にプジョー、そして左にオラゲール。そして右インテリオールにガブリ、左にオーベルマルスという攻撃的な布陣。いわゆる3−5−2システムというやつだな。そして0−2と落ち着いたところでダビッツの代わりにマルケスを入れディフェンスを4人にしシステムを4−3−3に戻した。監督の采配としては完璧であったのであった。
 ルイス・ガルシアの負傷がハーフタイムにおこなったドクター診断によれば全治3〜4週間ということだったが、帰りの飛行機の中で再度おこなったところ2週間もあればOKではないかという診断に変わった。いずれにしても明日の精密検査次第だが、重傷ではないようだ。

 

3月13日 土曜日 くもり
 いろいろな考えがあるだろうが、個人的にはUEFAの試合も明日のムルシア戦もおこなうべきではなかったと思っている。こういう悲惨な事件が起きたばかりの状況の中でフットボールは決して社会状況と無関係でいるわけにはいかないと思うからだ。だがフットボール関係者が試合続行という判断を下しクラブもそれに従っている以上、我々は義務を果たさなければならない。プロとしての義務を果たさなければならない。それにしても、明日の試合にどれくらいの人々が関心を示すのだろうか。

 

3月12日 金曜日 天気は快晴、人々の心はうすぐもり
 クラブ職員は昨日と同じように12時から15分間の黙祷に入っている。我々はそうもしていられないので練習中に1分間の黙祷。カタルーニャ広場でおこなわれた集会にラポルタ会長と共に出席。その数なんと150万人。
 選手の気持ちを代表してカピタン・ルイス・エンリケが公式声明をだしている。
 「マドリッド市内でおこったテロ行為により犠牲となった人々に対し、フットボール・クルブ・バルセロナのすべての選手を代表してお悔やみを申し上げます。被害者だけではなく多くのマドリッド市民が困難な状況を迎えている今、我々は彼らに対して固い団結の意思表示をしたいと思います。我々フットボール・クルブ・バルセロナのすべての選手の願い、それは二度と再びこのような声明を発表する必要のない社会を作り上げることであり、微力ながらも少しでも我々の力が役に立つことを希望します。200人近い方が容赦のないテロ行為によって亡くなった今の状況において、我々選手にとってもフットボールというものが二の次になることをフットボール関係者は知るべきでしょう。なぜならあの事件を知った瞬間から我々の気持ちはグランドにあるのではなく、彼ら被害者たちやその家族の側にあるのですから。」

 

3月11日 木曜日 はれ
 希望していたゴール獲得はならず、願望だった勝利もできなかったわけだが、1−0という結果は、まあ、良しとしよう。このチーム相手だったらカンプノウで3点は計算できるし、次のステップに行けることは間違いないだろう。だから結果は良しとしよう、だが良しとできないのは試合を遂行したことだ。
 これだけ多くの犠牲者をだしたテロ事件があった日に、なにゆえフットボールの試合などしなくてはならないのか。選手達も人間だということをフットボール関係者は忘れているんではないか。いろいろな意見があるだろうが、私個人としてはこういう日には試合など中止にすべきだと思う。
 とにかくあらゆる意味で今日のことは忘れよう。選手控え室に通じる通路でセルティックのポルテロがモッタに暴力を加えようとしたのを私は目撃している。彼はそれに対し抵抗しただけなのに審判によって退場処分とされてしまった。モッタには罪はない。だがサビオラのファールはいかん。今日はゴールチャンスをものにできなかったのでナーバスになりすぎていた。反省を求めよう。とにかく今日のことは忘れて明々後日のムルシア戦のことに集中しよう。

 

3月10日 水曜日 はれ
 リーガで7連勝することと、スコットランドリーグで地元73試合負け知らずという記録、これのどちらに価値があるかと聞かれれば私は瞬時にリーガ7連勝と答えるだろう。だから明日の試合はそれほど心配していない。実力的には間違いなく我々の方が上だ。
 勝利することは大事なことだが、この180分間の試合に限って言えば、セルティック・パークでゴールを決めること、例えここでの90分間の試合に負けることになったとしてもゴールを決めておけば、それはそれで満足ということにしようと思う。セルティック・パークから一歩足を踏み出してしまえば結果のでないチームだと聞いているし、我々の目的はあくまでも180分間の試合で勝利すること。カンプノウでの勝利は間違いないのだから。
 可能な限りのビデオを見たし、可能な限りの資料も検討したし、セルティックがどういう戦いをしてくるか、もうそれは研究済みだ。我々にとって大事なこと、それはボール支配を徹底すること、つまりバルサというクラブカラーの神髄を発揮すれば問題はナシ。セルティック・パークに集まるインチャどもに、魅力あるフットボールとはどういうものかを示してやる良いチャンスだ。我々はシンライカーの固まり、ゴールを狙っていこう!

 

3月9日 火曜日 はれ
 昨日の午前中にビデオ鑑賞会をやった結論、それは高いボールとセットプレーに注意ということ。さっそく、デ・ボエル兄弟に電話して詳しいことを聞いてみた。彼らもやはり同じことを言っていた。つまりマジョルカ戦の前半のようにコーナーキックを8回も与えるようなマネをしてはいけないということだな。デ・ボエル兄弟が言うには実力的にはバルサに何の問題もない試合だという。だがホームでは異常な強みを持っているということだし、彼らが戦ったダービー戦ではバルサ・マドリのそれとは比較にならないほど盛り上がるらしい。宗教とは恐ろしいものなり。
 ジオのかわりにはガブリを入れとけばいいだろう。あんまりゴチャゴチャといじくり回さない方がいい。ダビッツのかわりにはもちろんモッタでオッケー。明日は9時30分にカンプノウに集合し、11時の飛行機でグラスゴーに向かう。12時30分には到着というから1時間半しか飛ばないのかと思ったら1時間の時差があるようだ。
 地元では何十試合も無敗という記録を作っているらしいが、アウエーではほとんど勝利したことのないチームだと聞く。所詮、スコットランドのチームだ、メディアがどんなに大げさに騒ごうと、我々は天下のバルサ、問題はないだろう。また、勝っちゃうな。

 

3月8日 月曜日 はれ
 木曜日がセルティック戦だから普通だったらその前日の水曜日が報道陣をシャットアウトしての秘密練習になる。だがマジョルカ戦での2失点が気のゆるみにあることに気がついた賢い私は少し手綱を絞めようと思い、明日から、つまり火曜日から秘密練習に入ることにした。メディアの反感を買うかも知れないが、まあ、しょうがない。明日はいつもより早い10時に集合し、みんなでビデオ鑑賞会。もちろんセルティックの試合を見るんだ。彼らの二人のセントラルは1m96cmという身長らしいから、画面に頭が入っているかどうか、そういうことも楽しみだ。サビオラが彼らの間に入ったらいったいどういう風景になるのか、それは帰ってきてからのビデオ鑑賞会での楽しみでもある。
 11才になる私の息子マイケルが来シーズンからバルサの選手になることが決まった。アレビンカテゴリーでスタートだそうだ。親の私が言うのもなんだけれど、この子のテクニックは凄いんだなあ。来シーズンからさっそく“カンテラ 明日のキラキラ星”の選手紹介に入れてもらおうっと。

 

3月7日 日曜日 はれ
 最後の最後になって決められたマジョルカの2ゴールはまったくもって余計な失点だったけれど、まあ、考えようによっちゃあ、薬というかお灸というかお説教というか、その、なんだ、そんなもんだ。強固なチームブロックを武器とするチームにとって、その一角が、例えば余裕だとか緊張感の喪失だとか、そういうもので崩れるとタダのチームになってしまうといういい見本。これはセルティック戦に備えての神様のお告げとして、ありがたく頂戴しておこう。
 二人のルイスにおめでとうと言っておこう。若手ルイスの方は2ゴールも決めた。が、まったく注文がないわけではない。試合の流れを読む勉強、周囲の状況を確認することの勉強、彼の課題はまだまだあるが、それでも合格点。若くないルイスの方はベテランの味をいかしてくれた。徐々にでもいいから調子を戻してくれればいいだろう。
 さて、明日からグラスゴーへ向けての練習。ダビッツや若くないルイスはもちろん、ジオも出場できないセルティック戦。キビシー! トッテモ・キビシー!

 

3月6日 土曜日 はれのあとあめ
 今日の記者会見はバルサに入団してから70数回目のものとなった。もう正確な回数は覚えていない。が、今日の記者会見はこれまでのどのものより短い時間で終わった。わずか7分、たったこれだけの記者会見時間。サミシ〜という感じもあるが、メディアの連中も私にシンライカー寄せてきているようで質問もあまりないのだろう。
 いくつかの質問の中でトゲがあるものが一つ。セルヒオ・ガルシアをなぜ招集しなかったかというものだ。プレスのおこなったアンケートではサビオラ、パトリックがいない今、ファンが一番に期待するデランテロはセルヒオ・ガルシアだったそうだ。ふむ、ふむ、シロウトにはシロウトなりの意見もあるだろうからありがたく参考にさせてもらおう。だが私が監督だということも忘れないで欲しい。私のアイデアは次のようなものだ。ここのところ非常に順調にいっているチームの雰囲気を壊すことをしたくないこと。それはスタメン選手の変更をしないということだけではなく、選手控え室に集まるグループの変更もしたくないということを意味する。今の暖かい雰囲気を壊さないように、ソ〜と、ソ〜と、ブロックを守っていかなくてはならない。したがって、いまさら新しい選手を呼ぶことは避けたかったんだ。しかも我々にはもっと頑張ってもらわないといけないガッツという選手がいるんだから。というわけで、セルヒオ君、がっかりしないで次の次の次ぎあたりまで我慢してちょ。

 

3月5日 金曜日 はれ
 日増しに暖かくなってきたバルセロナ。陽もだいぶ伸びているようで7時ぐらいに暗くなる。したがって日曜日の試合は明るいカンプノウで試合をすることになりそうだ。
 普段は試合前日の報道陣シャットアウトの時にしかしない実戦用ミニゲームを今日はやってみた。これはもう我々にテストは必要ナシという良い兆候のあらわれだと思う。スタメン組にビクトル、ジオ、プジョー、オラゲール、コクー、チャビ、ダビッツ、ロナルディーニョ、ルイス・ガルシア、そしてトップにルイス・エンリケ。今のところセルヒオ・ガルシアは計算に入れていない。彼は明日のバルサBの試合で頑張ってもらわなければ。バルサBと言えば、明日の試合にはメッシーが初登場するらしい。ぜひ観察しに行かなくては。
 ルイス・エンリケ、ロナルディーニョがそれぞれ2ゴール、コクーのゴラッソとプジョーのゴールで合計6点、控え組はクアレスマが気持ちのいいゴールを決めていた。これで準備は万端過ぎるほど万端。連勝街道を走りまくってしまおう。何はなくともシンライカー。

 

3月4日 木曜日 はれ
 FIFA誕生百周年記念とかで今日はロンドンに行かなければならなかった。何でも引退組現役組を問わず、有名どころが招待されてパーティーをおこなうという。でも私は昨日から風邪を引いてダウン。一緒に行くことになっていたヨハンに電話したら、彼もまた風邪を引いてベッドの中だった。う〜ん、天災は、じゃなくて天才はこういうときにも同じ行動をとるのであった。練習はお休み、ロンドン行きもお休み。1日ベッドの中。セルティック、セルティック、セルティック、まあ問題はナシ。

 

3月3日 水曜日 はれ
 まあ試合前にこんなことを言っちゃうと問題になるから言わなかったけれど、ブロンビーとの試合は消化試合みたいなものだった。カンプノウでの大敗を避けるというのが彼らの目標みたいな試合だったから、当然ながらディフェンスを固めての展開となることは前もってわかっていた。そして事実その通りになっての退屈な試合。スペクタクルな試合というのは二つのチームが勝利を競い合って初めて可能となるものだから、この試合が退屈なものになってもしょうがない。そこらへんをファンの人たちが理解してくれると私としては嬉しい。
 マルセーユ、オセール、ベンフィカ、ブルッハス、セルティック、ニューキャッスル、そしてトルコの何とかというチームが次の対戦可能相手となるらしい。我々の目標は優勝することだからして、どこのチームと当たっても問題ないな。それでもブルッハスあたりが楽でいいかも知れないけれど。

 

3月2日 火曜日 はれ
 好調の原因は何でしょうか、これがここ最近よく私に向けられる質問だ。その度に私はこう答えている。
「それはすべて選手のおかげ。グランドで戦うのは選手たちであり、彼らが試合の重要さを認識していればこそ、この結果がでているということだ。」
 これは本心からの言葉。コーチングスタッフたちのできることなんかたかが知れているものだと思っている。かつてヨハンがバルサの監督に就任したときに語った言葉を今でも覚えている。
「新しい監督がチームにできること、それは大したことじゃない。せいぜい順位を一つあげることぐらいのものだし、もしそれができれば成功だと思って言い。したがって今の私の仕事は、万年2位のバルサを1位にすることぐらいのものだ。」
 そう、だから今の私がしようとしている仕事は4位のバルサを3位にすること、3位になったら2位にすること、そして2位になったら1位を狙うこと。だがそれよりも大事なのは明日の試合だ。多くの人々がこの試合を簡単な試合と見て、そろそろ大事な選手を休ませるべきじゃないか、そう言っているのを知っている。だが我々にはそんな余裕はないし、まして選手たちに疲労もない。勝利あるのみ、それも1−0なんていうセコイ勝ち方じゃなくて、5−0と言いたいところだが、相手のベンチにはラウドゥルップがいるから3−0ぐらいで良しとしよう。

 

3月1日 月曜日 はれ
 今日の練習はテン・カテに見てもらって、私はオフィス詰め。ビデオを見たり日記をつけたりカレンダーをのぞいたり・・・、う〜ん?今月はリーグ戦4試合か。カンプノウでマジョルカとソシエダー、アウエーでムルシアとベティス、ありゃ、こりゃまた全勝じゃないかな!
“フラン・ライカー・バルサ、驚異のリーグ戦10連勝!”
3月に入ったばかりだというのに早くも月末の新聞の見出しが頭の中にチラホラチラホラ。参ったね、突如の名監督誕生だ。
 トッテモ・シン・ライカー、新しく生まれ変わったライカーなのか、あるいは信頼感にあふれるライカーなのか、そこらへんがよくわからないけれど、絵が気に入ったから何でもいいや。いざ、勝負!、我ながらなかなかカッコいい。