アンドニー・スビサレッタさんの巻

ビルバオは今年の9月に会長選挙がおこなわれ新しい人物が会長に誕生している。これまでの会長はハビエル・ウリア、彼の絶対の信頼を勝ち取っていたのがスポーツ・ディレクターのアンドニー・スビサレッタだった。その彼が今回クラブを離れることになった。まだ契約が1年残っているものの、遅すぎる辞任とも言える。なぜなら会長が変わればクラブ方針も変わり、それまでいたスタッフが変わることはよくあることだからだ。例えばハビエル・ウリアが会長に就任しスビがスポーツ・ディレクターとして選ばれたことにより、それまでその職に就いていたアモロルトゥ(現レアル・ソシエダー監督)が辞任に追い込まれたように。

バスク地方で生まれたカンテラ選手だけで構成されるビルバオのチーム、それは良い意味でも悪い意味でも“民族カラー優先”というクラブ方針で成り立っている。したがってバルサのチキが外国人選手の獲得に走ることはあっても、スビにはそういう仕事は存在しない。そして彼がスポーツ・ディレクターになる前のビルバオは他のクラブにいる優秀なバスク人選手の獲得を毎年のようにおこなっていたが、スビはそれさえしなかった。彼がこの職に就いていた4年間、外部からの加入選手はゼロだ。新しい選手はカンテラ組織から上がってきた選手のみとなっている。

スビはバスクという国に対して熱烈な愛国心を持っている人。したがってバルサに入団してきた時も「ビッグクラブでプレーするという、プロ選手としての夢を叶えにきただけであり、自分の魂は常にビルバオにある。」とまで言い切った選手だ。かつての同僚であり同じバスク生まれのチキやバケーロ、そしてサリーナスなどが現役引退後にはバルセロナに居を構えているのとは対照的に、彼はバルサを退団してからというものいっさいバルサとの関係も持っていない。

新会長の誕生、スビの退団、これによってヤバイ立場に立ったのが監督のバルベルデとなるのは仕方がない。カンテラチームの監督した経験しか持っていない彼を一挙に一部チームの監督に昇格させたのは前会長の絶対の信頼を勝ち得ていたスビだからだ。(2004/11/14


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