ウリスト・ストイチコフ監督の巻

いったいいつブルガリアにいて、いつバルセロナにいるのかよくわからないウリスト・ストイチコフ・ブルガリア代表監督。気がつくとカンプノウのパルコにいるし地元テレビにもよくでているし、ほとんどバルセロナにいる期間の方が多い印象を受ける。が、でもまあよく考えてみれば代表監督は常に自国にいる必要もないわけで、ふだんは自宅のあるバルセロナにいたとしても不思議ではないのだ。

彼が現役選手として代表でプレーしていた時代には、ブルガリア代表の最も“旬”を迎えた時期。だがそのブルガリア代表も急激な下降線をたどり、すでに再起不可能かとまで言われたところに我らがウリスト・ストイチコフが監督に就任。そして2006年ワールドカップ予選の結果を見る限り、ブルガリアは見事に再起してきている。今年の7月26日、ウリストが監督就任契約書にサインをし誇らしげに頭を上げて記者会見に登場して以来、ブルガリア代表も徐々に頭を上げ始めた。彼が監督になってから親善試合・本番試合を含めて6戦無敗。素晴らしい。

わずか5か月弱のうちに彼の持っている勝利者のスピリットをすでに選手に植え付け始めている。その証拠に現在ウリスト監督が起用している選手はほとんどがユーロ2002に出場したメンバーと同じ。あの3試合3敗というユーロ2002の大会に悲惨な成績を残して大会会場裏口から出て行ったブルガリア代表選手たちとほぼ同じメンバーであり、彼らが息を吹き返してきたのはウリスト魔術のおかげなのだ。

その“負けなさぶり”がいかにもウリスト精神をあらわしている。これまでの6戦でいくつかのものは先制された試合をひっくり返したり、あるいはロスタイムで同点に追いついたりというもの。決して最後まで勝負を諦めないウリスト精神がブルガリア代表選手に乗り移っているようだ。(2004/12/14


 目次