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アベラルド Abelardo
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「俺はスポルティング・ヒホン出身の選手であり、同時に誰にも負けないバルセロニスタ。それを隠そうとは思わない。だからバルサを去った後も、このユニのカラーを心に刻みつけていくんだ。」
2002年5月24日、涙の「退団記者会見」をおこなった後に彼はそう語っている。彼は人前で泣き顔を見せるタイプではない。常に物事をそのまま受け入れ、冷静に運命に従うタイプ。決して大げさに物事を考えないことを良しとするアベラルド。したがって「男は人前で涙を見せない」そう彼が語っても何の不思議もない感じがする。だが退団の記者会見では彼の予想通りにもの事は運ばなかった。 これまで新たなシーズンが開始されると、常に控え選手候補と噂されたアベラルドだ。だが試合が消化されていくに従い、いつの間にかスタメン出場を勝ち取ってきていた。ゼロからのスタートであれば、競争を許されるものであるのならば、来シーズンもスタメンを勝ち取る可能性を信じている。だが今回はゼロどころかかなりのマイナスからのスタートとなることがわかっていた。いや、スタートさえ切らせてもらえない可能性だってあるようだった。バンガールは彼をまったくの構想外としていることを第三者を通じて告げているからだ。 これまでそうであったように、アベラルドはクラブを去るときもプロ精神を貫き通していく。そして彼はプロ選手である以上に、感謝という言葉を知っている人物だった。 1994年にバルサに入団したアベラルドは8年間の在籍中に8つのタイトルを獲得している。それもほとんどの試合をスタメン出場しながらのタイトル獲得だった。彼の最初の契約は3年という期間だった。だが結局8年間も常に一線で活躍することになる。 バルセロニスタにとって彼がバルサカンテラ育ちではないことなどはどうでもいいことだろう。そう、多くのバルセロニスタにとってそんなことはどうでもいいことだ。これまで彼がいかにクラブに貢献してきてくれたかが問題であって、そして彼の心がバルセロニスタと共にあることが問題なのであって、どこの出身かは決して問題ではない。だからアベラルドがバルセロナの街を歩いているところを見た人がいるなら、多くのファンが彼と共にあることを理解できるだろう。彼とすれ違うほとんどの人々が「ブエナ・スエルテ!」と声をかけてくる。それはもちろん街の人だけではなく、他のセクションのバルサ選手やバルサ職員にしてもそうだ。「ほとんどの人々」ではなくすべての人々が彼に声をかけてくる。そして同時に「クラブを離れないですむ方法はないのか?」とも聞いてくる。アベラルドはそれらの人々に常に笑顔で挨拶し「いつか戻ってくるよ」と答えている。 だがバルセロニスタにとってアベラルドは決して戻ってこない。いや、正しい言い方をすれば、決して去ったわけではないのだから戻る戻らないの問題ではない。アベラルドが彼の心の中にバルサカラーを染みつけたように、彼らの心の中にはアベラルドはこれからも存在し続けるのだから。 |
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