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ココ Coco

フランチェスコ・ココはシシリア生まれだ。マリオ・プソーが描いた「ゴッド・ファーザー」の世界で知られるシシリアで生まれた。もちろん今はあの映画のようなことはない。だがシシリアという土地に伝わる古くからの習慣の一つに、彼ら独自の「別れ方」はまだ生きている。

シーズンが終わりココはワールドカップ代表の合宿に参加するための用意をしていた。この時点で彼の来シーズンバルサ残留はかなり可能性の低いものとなっているのをすでに自覚している。イタリアに住む彼の両親や祖父たちと連絡をとり、万一のためにシシリア式の「お別れの儀式」をしておかなければならない。この大好きになったバルセロナの街に。

彼の祖父であるノノはすでに81歳をむかえている。イタリア南部の土地の人間に見られる彫りの深い顔立ちにどこまでも黒い目。まさに典型的な南部生まれ、特にシシリア生まれの顔立ちをしている。彼と80歳になる奥さんは4年前にシシリアを離れ、ミランに住んでいた。ココはこの祖父たちに非常にかわいがられている。そして今、ココの呼びかけに家族総出でバルセロナに来ていた。シシリアに長く伝わる土地との別れの儀式は、家族全員が集まり皆で旅立つ人物の荷物を持ちながら土地を離れること。みんな一緒になって、家族の一員が住んでいた土地にサヨナラを告げることだった。

ココはイタリアに戻る際に、何と26枚の自分の名前入りユニフォームを持ち帰っている。そして一つのCD、それはバルサイムノが入っているCDだ。
「この26枚のユニは今年の記念。俺がバルサにいたことを証明する記念品だ。それとこのCDはリズムが好きなことと、バルセロニスタのセンチメンタルな部分がよく伝わってくるところが気に入っているんだ。」

ココは100年の歴史を持つバルサというクラブでの最初のイタリア人選手だということを非常に誇りに思っているという。そしてバルセロニスタが彼のことにとても親しみを持っていることも知っている。バルセロナの街も素晴らしいと感じているココだ。彼にとってはたった1年の期間であったとはいえ、今では第二の故郷だとも言う。だから彼はバルサでプレーすることはなくなったとしても、バルセロナには時間が許せばいつでも訪れたいと思う。クライハートとばか話をしに、プジョーと友情を暖めに、そしてルイス・エンリケとファッションの話で盛り上がるために。

6月22日、彼はクーペル率いるインテルへの正式加入記者会見を開いた。1994年にミランに入団し、その後ビチェンサ、トリノ、バルサとレンタル移籍を繰り返して来たココ。だがインテルには完全移籍という形で入団している。
「バルサでのプレーは1年だけになってしまったけれど、この経験は非常に大きいものだったと思っている。プロ選手として良い経験を積んだということだけにとどまらず、人間的にも大きく成長させてくれたクラブだ。」
彼に予定されている背番号は95となっている。

バルサとバルセロニスタは一人の親友を失った。一人の本物のシシリア人。ブエナ・スエルテ、ココ。我々バルセロニスタは君のことを決して忘れない。グラシアス、ココ。