歴史は繰り返す!  秒!

あのとき、カンプノウはゴールにわいた。そして、歴史は繰り返す!

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すべてに“0”(02/11/24)

クルイベルのゴールを無効にした審判、臆病な采配をしたバンガールとデル・ボスケ、空瓶を投げつけたバルサラジカルグループ・ボイショスノイス、そしてそれを正当化しようとしたクラブ会長ガスパー、彼らすべてに“0”採点をつけよう。

誰も成長していないかのようだ。世界中が注目するクラシコ・カンプノウの舞台で、まったく成長していない主人公たちによる“スペクタクル”が展開された。その“スペクタクル”を作り出した最大貢献者はバンガールであるのは間違いない。なぜなら輝かしいバルサのバルサたる所以である攻撃フットボールを放棄したのが彼だからだ。すでに方向性を失った彼にできることは更にノートにしがみつき、試合終了後に自らのチームが生み出したゴールチャンスの多さを誇りそして不運を嘆く。ここ何年かの最低のレアル・マドリ相手に、しかもステージはカンプノウであるというのに、彼が用意したデランテロはクルイベルわずか一人と超消極的なものであった。マドリの選手を見てみよう。サルガド、パボン、マケレレ、ソラーリ、カンビアッソ、グッティ、ブラボ、ミニャンブレス、ラウル・・・・。そして試合終了間際にやっと投入を決意することになるオーベルマルスとサビオラ。デル・ボスケに関してはいまさら語る必要もないだろう。しかも彼はイエロ、ジダーン、そしてロナルドまで失っての試合だ。最初から勝つ気などなかったのかも知れない。

アンダルシア州庁舎に勤める役人メディアーナ・カンタレッホ。彼にももちろん“0”称号を捧げよう。クルイベルのゴールを無効にし、ありもしないいくつかのオフサイドをバルサ選手に贈呈した主審と線審たち。「こうやって、こうやって、マドリは勝つんだ!」というカンプノウではお馴染みのバルセロニスタによる叫びを生ませた戦犯の一人でもある。だがそれだからといって北ゴール裏を陣取っていたボイショスノイスの行動を正当化することはもちろんできない。97.800人のバルセロニスタが怒濤のようなブーイングによってフィーゴを非難していたのに、わずか200人の“物を考える”ことを拒否している若者によって試合が中断される。

そしてその行為を安っぽく正当化しようと試みたガスパーももちろん“0”の王様だ。例え審判のミスやフィーゴの挑発があったとしても決して正当化してはならない彼らの行為。試合後のまだ熱いコメントだったとはいえ、バルサの会長が語ることではない。そしてそのガスパーの言葉に追従したバンガールもお粗末の限りだ。


引き分け、得るものなし(02/11/24)

パッションだけでは試合に勝利することは不可能だった。ゴール、ゴール、それがこの試合に欠けていたもの。誰しもが理解するのに苦労する審判の判断は別としても、ありあまるパッションが存在しながら、やはり決定力に欠けていたバルサを認めないわけにはいかない。

試合前の練習時間にグランドに姿を表したバンガールが観客席を見ながら思わず微笑んでいたのを我々は見逃さなかった。強い雨が降るこの日のバルセロナ。それにも関わらず、大勢のバルセロニスタが試合開始30分前から続々と自分の席につこうとしていた。ガスパーやバンガールによる「お願い」などまったく必要ないいつものクラシコの風景がこの日も繰り返される。会長や監督が「12番目の選手」の必要性を呼びかけなどしなくても、これまでバルセロニスタがバルサを裏切ったことは一度足りとしてなかったではないか。少なくともマドリ戦ではバルセロニスタが裏切ったことなど一度もない。いかに、そう、いかにチームの調子がイマイチであろうが、そしてベンチで指揮をとる監督がいかに気に入らない人物であろうとだ。

バンガールがすることはたった一つ。ひたすら勝利を得るために攻撃的にチーム編成をすることだった。大雨の中をカンプノウに駆けつけた10万バルセロニスタの心意気に応えるためには勝利しかなかった。しかも相手は何人かのクラックが欠場している「宇宙からやって来たチーム」ではないか。イエロはすでにだいぶ前から欠場が決まっていたし、ジダーンは試合前日に欠場が決定し、ロナルドは試合開始前に風邪をひいてすでにマドリッドに向かっていた。「宇宙からやって来たチーム」は、どこにでも転がっているタダのチームとなっていた。

だがバンガールの組み立ては一人のデランテロというものだった。クルイベルが一人相手ゴール前に立つことになる。サビオラはベンチに座っている。健康そうに見えるオーベルマルスもベンチに座っている。メンディエッタもモッタもサイドを切り崩すことなく、ひたすら孤立した状態で一人時間をつぶすクルイベルがゴール前にいる前半となる。

だが後半、バルセロニスタのパッションが選手たちを動かせる。バルセロニスタ最大の敵ナンバーワンのルイス・フィーゴの存在も観客席を熱くさせている。必要以上に熱くさせている。攻撃に向かうバルサの選手たち。だが方向性が保たれていない攻撃はスペクタクルな攻撃と言うよりは、まさにパッションだけによる攻撃となる。最後の最後の詰めが甘いバルサは得点を獲得することができない。幸運を探さないものたちに幸運の女神はやって来ない。0−0、あまりにもさみしいスコアー。得るものはほんの少し、わずか1ポイント。いや、はっきり言った方が良いかも知れない。この結果は何も得たものがないのだと。

 


挑発者、ルイス・フィーゴ(02/11/24)

2年前に白いユニを着て初めてカンプノウを訪れたルイス・フィーゴ。まだその時には「やましさ」という言葉を知っていたのかも知れない。だが昨日カンプノウに現れた彼は完全に挑発者として変身していた。カンプノウで過ごした何年かの充実した期間をいっさい過去へとおしやり、見事に居直たポルトガル人の姿があった。

かつてバルサ選手としてカンプノウでの主役の座を勝ち取ったルイス・フィーゴが、居直った裏切り者として再びカンプノウでの主役の座を試みた。後半27分、左コーナーキックを蹴りに向かうフィーゴに向かってあらゆる種類のものが投げ込まれる。だが、残念ながらというべきか、このようなシーンは熱い試合ならどこのスペインのグランドでも毎試合見られることだ。フィーゴがしたこと、それは投げられたものを一つ一つ確認するように拾い上げゆっくりゆっくりとコーナーキック地点に向かうこと。そして「これでは蹴れない」とばかり再びグランドの中に戻ってきたことだ。この行為が更にバルセロニスタを熱くする。しかも彼は拾い上げた一つのプラスティックボトルを審判にわざとらしくさしだした。この罠にはまったメディーナ・カンタレッホ。マドリ選手がベンチに引き返していくの見ながら一時的な試合の中止を宣言。試合は10分以上中断されることになる。

だがこの果てしなく裏切り者であり、卑怯にして挑発者と変身したルイス・フィーゴの行為をもってもしても、決して一部のバルセロニスタがおこなった行為を正当化することは不可能だ。不可能どころか決して正当化してはいけないことだ。すべてのバルサソシオが誰をどのように非難しようとそれは彼らの権利であることはもちろんだ。彼らは我がバルサの持ち主でありクラブの存在基盤となる人たちなのだから。しかも、これまでバルセロニスタはフェアープレーの精神を持つファン層として知れられてきたではないか。フィーゴの挑発を認めることはできないと同時に、その挑発に乗ることももちろん否定されなければならない。わずか何百人という一部のバルセロニスタによりクラブの名声に傷をつけることを許してはならない。

■バンガール
攻撃フットボールを信条と語るバンガールバルサだが、ここ3試合で獲得した得点はわずか1点。それもペナルティーによるものだ。だがそんな資料を持ってしてもバンガールは攻撃フットボールを試みているつもりらしい。そうとしか理解できない彼のコメントだ。
「左ラテラルのコクーを使ったのは彼は左ラインからエストレーモとして攻撃に参加できる能力を持っているから。したがって彼の存在をみたデル・ボスケが途中からシステムを変えたことからも私バンガールの戦術の勝利と言って良いだろう。そして我々は試合を支配し合法的な得点も獲得した。そしてガブリ、チャビ、リケルメは中盤で素晴らしい働きをしてくれた。オーベルマルスやサビオラの投入が遅すぎたって?君はいったい何を見ていたのかね。スタメンで出場した選手はほぼパーフェクトな仕事をしていた。いったい誰を彼らと代えろというんだ。彼らを投入してから10分以上の時間が残っていた。決して彼らの投入が遅れたとは思わない。保守的な試合展開だって?いいかい、我々は90分にわたって28回もカシージャスの前に攻撃を繰り返してきたのだ。28回だ。それに比べてマドリはわずか1回。それなのになぜ我々が保守的な試合展開をしたというのか私バンガールには理解できん。前半の残り20分から後半45分にわたってフットボールをするのを心がけたのは私バンガールが率いるバルサだけではなかったか。じゃあなぜ勝てなかったかって?それにはいろいろな理由があるだろう。これからビデオを見て研究して答えを見つけることができるだろう。いずれにしても残念な結果だ。」

もちろん一時的に試合が中止されたことを残念がるバンガール。あの中断でバルサが抱えていた良い雰囲気を壊してしまったと語る。そしてその責任はフィーゴとメディアにあると語るバンガール。
「フィーゴがファンを挑発したのは明らかだ。のろのろとコーナー付近に向かい、そして投げられたものをゆっくりと拾いながら再びコーナー付近に歩き出す。これが挑発行為じゃなくてなんだというのだ。もちろんカタルーニャメディアにも責任がある。試合が始まる何日も前からフィーゴ問題を大々的に扱ってフィーゴ当人とバルセロニスタを挑発した行為も許せない。そして審判も審判だ。フィーゴを退場させるべきだった。しかも我々の合法なゴールを無効にしてくれた。ありもしないオフサイドにも笛を吹いた。私バンガールにとって唯一できないこと、それは審判をコントロールすること。非常に残念だ。」

■プジョー、チャビ
いつもの試合のように90分間にわたってすべてを出し尽くしたプジョーには試合後になるともう余力は残っていない。最後の一滴までのエネルギーを出し尽くして戦ったプジョーにとってこの引き分け試合のあとにできることは残念がること、それだけだ。
「すべての試合に勝ちたいと思っている。しかも今日はマドリ戦なんだから特別その思いは強かった。残念なのは我々が優っていながら勝利できなかったこと。特に後半は完全に我々のペースだった。あの中断がマドリに味方してしまったね。彼らはもう疲れ切っていたんだから。自分は誰にも負けないバルセロニスタという自負があるから彼らがフィーゴに対して叫んだりブーイングをするのはもちろん理解出きる。自分が彼らの席にいればやはり同じことをするだろうとも思う。でもグランドにものを投げちゃいけないよね。間接的とはいえ、その結果バルサが不利な立場になってしまうんだから。」

チャビもプジョーと同じように非常に悔しがっている選手の一人だ。そしてエネルギーを消費してしまって疲れ切った表情をしている。
「引き分けという結果は公平じゃないよ。もっともゴールを入れられなかったんだから公平も何もないけれど。ようするに勝利するチームがあったとしたらそれはバルサだったということだね。特に後半は試合を完全に支配したし、いくつかの決定的なゴールチャンスもあった。この結果ははっきり言って2ポイント失ったということだろう。フィーゴの挑発?彼が挑発したのかどうかそれは個人的にはよくわからないけれど、一つ言えることは彼がもう少し協力的だったらあんなことは起きなかったと思う。さっさとコーナーキックをしてしまえばなんの問題もなかったと思うよ。でもそのこととものが投げ入れられることとは別の問題。ああいうことは絶対に正当化してはいけないことだと思う。」

 


バルセロニスタの魂を
すべてカンプノウへ!
(02/11/23)

今日2002年11月23日土曜日21時、ステージはカンプノウ、世界中のフットボールファンが注目するバルサ・マドリによるクラシコの幕が開く。この1週間、カタルーニャの多くの町で、村で、通りで、オフィスで、商店で、学校で、ラジオ・テレビ・新聞等のメディアで、そしてそれぞれのファミリーで、語られてきたクラシコが数時間後に開始される。この世界中が注目する試合に26カ国から700人のジャーナリストがバルセロナに集まっている。ヨーロッパ各国にはもちろん同時中継されるがその他にもイスラエル、アメリカ、アルゼンチン、ブラジル、ベネスエラ、エクアドール、チリ、そして中国や日本などにも中継される予定だ。

バルセロニスタのすべての魂を、カタルーニャやスペインでだけではなく世界中に散らばるバルセロニスタの魂を、すべてカンプノウに結集し“12番目の選手”となりバルサの勝利に貢献しよう。バモス!バルサ!

■100.000人対11人
これまでのカンプノウでのクラシコの戦いに見られたように、今日のカンプノウは10万バルセロニスタによるプレッシャーの固まりとなってマドリを粉砕する試合となる。カンプノウに登場するカラーはたった一つ、それはアスールグラーナのものとなる。10万人の鍛えられた喉から発せられる90分間の大歓声、それがバルサの11人の選手たちに翼を与えることになるだろう。フィーゴやロナルドに対するブーイング以上にバルサの11人の各選手に対する声援を送ろう。彼らに120%の力が出せるように、果てしなく空を飛べる翼をおくろう。その翼が勝利に向かっての精神と闘争心を増加させることを期待しよう。こうして我がバルサはリーグ戦19年間もクラシコの敗北を知らないできたのだ。そして今日もその輝かしい歴史がさらに続くことを期待しよう。

■1984年以来リーグ戦負け知らず
1984−85シーズン以来、カンプノウでのリーグクラシコで敗北を喫したことのないバルサ。これまで15勝0敗4分け、獲得ゴール数42、失点12という記録を残している。バルサの一試合平均2.15ゴールの対し、マドリは0.63ゴールとなっている。

1984/85 バルサ-マドリ 3-2
1985/86 バルサ-マドリ 2-0
1986/87 バルサ-マドリ 3-0
1986/87 バルサ-マドリ 2-1(プレーオフ)
1987/88 バルサ-マドリ 2-0
1988/89 バルサ-マドリ 0-0
1989/90 バルサ-マドリ 3-1
1990/91 バルサ-マドリ 2-1
1991/92 バルサ-マドリ 1-1
1992/93 バルサ-マドリ 2-1
1993/94 バルサ-マドリ 5-0
1994/95 バルサ-マドリ 1-0
1995/96 バルサ-マドリ 3-0
1996/97 バルサ-マドリ 1-0
1997/98 バルサ-マドリ 3-0
1998/99 バルサ-マドリ 3-0
1999/00 バルサ-マドリ 2-2
2000/01 バルサ-マドリ 2-0
2001/02 バルサ-マドリ 1 -1
2002/03 バルサ-マドリ  ?-?

■バンガール対デル・ボスケ
非常に相対的な二人の監督といっていいだろう。バンガールが彼のフィロソフィーを選手たちに植えつけるのに対し、デル・ボスケは自ら認めるようにシステムにはこだわらず選手たち、特にクラックと呼ばれる選手たちに自由にプレーさせることを特徴としている。

バンガールはアヤックスであろうがバルサであろうが、そしてオランダ代表であろうが常に己のフィロソフィーを選手たちに浸透させて戦ってきた監督。したがってチームが勝利することも敗北する(選手に対して集中力や闘争心の欠如とかを批判するが)こともすべてバンガールノート次第となる。
バンガールは記者会見場だけではなく、試合中に座っているベンチ内においてもスペクタクルだ。常にノートを付けているかと思えばゴールのときはベンチを飛び出して大げさに騒ぐ。特に負けているときの彼の苦り切った表情は“詩”そのものだ。試合に生き、試合に死すバンガール。

デル・ボスケは彼のフィロソフィーに決まったシステムがあるのかどうかは別として、システムそのものにはこだわらない監督。クラック選手に与えられた完全な自由さにより彼らにとって“良い日”であれば圧勝するし、彼らにとって“悪い日”であればもちろん結果は見えている、
デル・ボスケはその顔からもわかるようにスペクタクルな監督ではない。氷のように冷たい表情を持つ男デル・ボスケ、彼はどのような挑発があろうと否定的な状況を迎えていようと常に表情は同じ。決して主役になることを好まず、いつも準主役程度で良いと考える。心の中で試合に生き、そして心の中で死す。

■クルイベル対ロナルド
バルサの9番クルイベルとマドリの11番ロナルド。二人とも水曜日におこなわれたそれぞれの代表の試合でゴールを決めてモチベーションは非常に高いものとなっている。クルイベルは2ゴールを決めれば100ゴール達成。一方ロナルドはカンプノウに戻ってきてのクラブ単位では初の試合となることもあるし、バンガールとの対立もあったことによりどうしてもゴールを狙いたい。だが無理だろう。

■リケルメ対ラウル
創造性を持つ二人のアーチスト。それがバルサ・リケルメであり、マドリ・ラウルだ。彼らはグランドにファンタジーを注ぎ、スペクタクルをファンに贈る。リケルメはトヨタカップでマドリに勝利しており、この試合にも普段以上の精神統一をはかっている。ラウルとしては東京での借りを是非とも返したいところ。だが無理だろう。

■プジョー対フィーゴ
2年ぶりに見られることになるだろう絶妙コンビ。バルセロニスタ・スーパープジョーがペセテロ・フィーゴを完全にマークするシーンが今日再現されることになる。すべてはバルサクラブ首脳陣の責任と完全に開き直っているフィーゴは10万バルセロニスタの前で2年前の復讐を誓う。だが、まったく無理だろう。

■メンディエタ対マケレレ
両チームのそれぞれの“肺”に当たる二人の選手、それがメンディエタでありマケレレだ。90分間すべてのエネルギーを消費して3キロは痩せるといわれる彼らの働きは注目の的でもある。メンディエタはロベルト・カルロスの影となるだろう。一方、マケレレはリケルメを無効にしようと努力することになる。だが、もちろん無理だろう。


フィーゴには熱烈歓迎、ロナルドには無視(02/11/23)

マドリッド空港を飛びだったマドリ御一行は昨日の午後8時にバルセロナに到着。今日の試合に備えてバルセロナのホテルに宿泊し、緊張の一夜を過ごした。バルセロナの空港にはカタルーニャに住む多くのマドリディスタが迎えに、そして彼らが宿泊したホテルにはバルセロニスタが、それぞれ彼らなりの歓迎風景を。

■バルセロナ空港 マドリディスタ1000人
マドリ選手の到着予定時間は20時。だが2時間前からバルセロナ空港Bターミナルには多くのメレンゲが集まり気勢をあげていた。約1000人のカタルーニャに住むメレンゲ。その中には何人かの日本人がジダーンのユニを持ってサインをもらおうとしている。
時間通りにシャトル便が到着。多くの選手が下を向いて無表情で到着出口から出てくる。いっせいに上がるフィーゴコール。まだフィーゴは登場してきてはいないが申し合わせたようにフィーゴコールだ。
“フィーゴ! フィーゴ! フィーゴ!”
“糞バルサ! 糞バルサ! 糞バルサ!”
フィーゴがラウルと並んで登場。笑顔はいっさい見られず緊張した表情を保ちながらフィーゴコールを受けている。だがホテルに向かうバスに乗るまでついに笑顔は見られなかったし、メレンゲに挨拶するシーンも見られなかった。ロナルド?誰もロナルドの名前は叫ばない。メレンゲに完全に無視されてしまったロナルドだ。

■ディプロマティック・ホテル バルセロニスタ300人
空港から選手を乗せたバスは30分ほどで街の真ん中にあるホテルへ到着した。ホテル前には空港でのそれとは比べものにならないほど少ない数のファンが、それでも300人程度のファンが彼らを待ち受けている。ここはバルセロニスタの領域だ。
「ペセテロはどこだ?」
「ユダはどこにいる?」
「裏切り者はどこにいる?」
やはりすべてのマドリ選手はうつむき加減でバスをおり、警察官が作る壁を利用してホテルの入り口に向かっていく。フィーゴはまだ降りてこない。最後に、そう最後に降りてきたのが注目の的フィーゴだった。やはりラウルと一緒だ。
“ユッダ! ユッダ! ユッダ!”
“ペセテーロ! ペセテーロ! ペセテーロ!”
フィーゴの対する熱烈な歓迎風景はホテル前でも繰り返された。空港から出てきたときと同じように緊張した表情を崩さないフィーゴ。顔色はどちらかというと青白い。彼より先にバスを降りてきたロナルドにはいっさい無関心の歓迎だった。


いよいよ今日です(02/11/23)

試合前日(22日)の記者会見でお茶目ぶりを発揮したバンガール。これまで通りマンマークをつけての戦いになるだろうが、誰を誰につけるのかと聞かれて次のように答えている。
「私バンガールはこれまでマンマークシステムというのをしたことがない。アヤックスでもバルサでもオランダ代表でもそんなことをしたことはない。私バンガールはいつもゾーンディフェンスシステムを使っている。」
彼の冗談は、あの常に固まっている顔が顔だけにナカナカわかりにくい。面白い冗談だと理解したジャーナリストが笑いだしたのを見て怒り出してしまう、とことんお茶目なバンガールだ。
「私バンガールは冗談言わない。これ、ほんとうのこと。」
どうやらバンガールは本気でそう語っているようだ。マンマークなんぞマドリ相手にも決してつけずゾーンディフェンスで守っていくという彼バンガールだが、それでも何人かの「特別に注意を払う」選手を用意しているようだ。

メンディエタが右サイドにくることが決まれば彼はロベカルに特別な注意を払う選手となる。くっつき放しで下から上までご一緒の選手となる。ジダーンが来なくなったことにより彼への注意係と用意されたコクーは他の選手に注意を払うことになる。試合前日の報道陣シャットアウトの練習で「見られた」バルサのディフェンス布陣は左ラテラルにプジョー。これが意味するものは一昨年と同じようにフィーゴに超接近しての注意を払う仕事をプジョーがすることになりそうだ。セントラルの二人はデ・ボエルとガブリが担当し、ラウルとロナルドに注意を払うことになる。

この4−2−3−1システムで唯一あやふやなところは、スタメンにモッタを起用するかあるいはサビオラを試合開始から起用するかというとこだろう。もしモッタがスタメンで出場するのであればいつも通り左サイドにつき、メンディエタが右サイドとなる。だがサビオラがスタメンで出場した場合、メンディエタは左サイドに配置換えということになるだろう。

●バルサ召集選手(スタメン候補
ボナノ、レイジゲル、プジョー、デ・ボエル、ガブリ、チャビ、コクー、モッタ、メンディエタ、リケルメ、クルイベルト、エンケ、ジェラール、ジェオバンニ、ロッケンバック、ダニ、サビオラ、オーベルマルス
●負傷中
アンデルソン、クリスタンバール、ルイス・エンリケ、
●カード制裁
ナバーロ

●レアル・マドリ召集選手(スタメン候補
カシージャス、サルガド、エルゲラ、パボン、ロベカル、マケレレ、カンビアッソ、フィゴ、ラウル、ソラーリ、ロナルド、セサー、ルーベン、ブラボ、グッティ、フラービオ、ポルティージョ、モリエンテス、マクマナマン、ミニャンブレス

●負傷中
ジダーン、イエロ


連載・今日のオーベル(02/11/22)

ふつ〜の朝を迎え、ふつ〜の朝食を済まし、ふつ〜にカンプノウまで車で到着。そしてふつ〜に練習に参加し、ふつ〜に練習を終え、どこでも転ぶこともなく、どこにも頭をぶつけることもなく、お腹も足も痛めないまま、自宅に帰り昼食を無事に終了。そして午後には今夜のねぐらとなるホテルに。よし、ここまでは何もなく明日の試合を迎えることができるぞ。
今夜から明日カンプノウに行くまでは缶詰状態。ワールドカップ欠場したどこかのキーパーみたいにホテルのコップを足に落としたり、ベッドから落っこちなければ、そう、いよいよ韋駄天オーベルがカンプノウ狭しと走り回る明日がやって来る。あとわずか24時間、オーベル、慎重に、慎重に、くれぐれも慎重に生きるのだ!


クラシコにおけるメディア(02/11/22)

カタルーニャメディアやマドリメディアもそれぞれの戦いを始めている。バルサ・マドリとも会長がかわってからというもの、紳士協定とかなんとかでいやらしい関係が続き、選手たちも常識家が多くなったようでお互いを非難するようなコメントは少なくなった。それでもメディアの間では連日のように各地方で独自の戦いを続けている。もちろんカタルーニャメディアはバルサの勝利を信じ、マドリメディアはマドリの勝利を予想する。

■カタルーニャメディア
Emilio Perez De Rozas(El Periodico De Catalunya)
試合予想 2−1
バルサが有利。だがもしマドリがソシエダー戦のような戦い方をするとバルサも厳しい。バルサではメンディエタとクルイベル、マドリではラウルとジダーンがキーポイントなるだろう。

Ramon Besa(El Pais En Catalunya)
試合予想 2−0

バルサが有利。今回のクラシコでバルセロニスタがどのような反応を示すかにもよるが、歴史的に見ればカンプノウでのリーグ戦でマドリが良い試合をした試しがない。リケルメとプジョーがキーポイント。

Enric Ban~eres(La Vanguardia)
試合予想 3−1

バルサが有利。チームブロックという観点から見ればバルサの方が優っているし、なんと言ってもカンプノウでの試合だ。ダークな主役はもちろんフィーゴ、そして本当の意味での主役はクルイベルとなる。

Lluis Canut(TV3)
試合予想 2−1

バルサが有利。両クラブともたいしたことをしてきていない今シーズン、アウエーでのマドリの成績はひどいものとなっている。クルイベルがキーポイント、そしてリケルメ・サビオラ・クルイベルトリオが爆発すればスペクタクルなクラシコとなる。

Jordi Baste(Catalunya Radio)
試合予想 3−1

バルサが有利。地元有利という状況はベルナベウのそれよりカンプノウの方が圧倒的なものとなっている。リケルメの大活躍を期待、そしてチャビ、プジョーの働きもキーポイント。

Christian Garcia(Ona Catalunya)
試合予想 2−1

どちらとも言えない。非常に「戦術的」な試合となりそう。お互いの長所をつぶし合うつまらない試合となる可能性が強い。ルイス・エンリケとイエロの欠場が痛い。

■マドリメディア
De La Morena(Cadena Ser)
試合予想 1−1

どちらが有利とも言えない。両チームとも決して調子が良いとは言えないし、どっちもどっちという感じの試合。バルサはリケルメ、マドリはロナルドがキーポイントを握るだろう。

Antonio Abellan(Cadena Cope)
試合予想 2−2

どちらが有利とも言えない。マドリやバルサが2点ぐらいずつ入れて引き分けとなるような気がする。フットボール界屈指の二人の選手、リケルメとジダーン次第となるだろう。

Gaspar Rosety(Onda Cero)
試合予想 ?−?

どちらが有利とも言えない。歴史的に見れば確かにバルサが圧倒的に有利となっているが毎試合違うものだ。バンガールが選手を自由にプレーさせればバルサ有利。クルイベル、ラウルがキーポイント。

Elias Israel(Marca)
試合予想 0−1

マドリが有利。両チームとも似たような調子でここまで来ているが、個人技に優るマドリが有利とみた。バルサディフェンスとラウル・ロナルドの戦いとなるだろう。

Alfredo Relan~o(As)
試合予想 1−2

マドリが有利。もういい加減マドリがカンプノウで勝利する日がやって来るような気がする。それが明日だ。バルサはリケルメ、マドリはジダーンの活躍がキーポイント。

Enrique Ortego(Abc)
試合予想 0−1

マドリが有利。マドリがマドリであれば楽勝。これまでアウエーで見られただらしないマドリだったら危ない。ボール支配率が勝負の分け目となるだろう。


サビオラ、新しい靴で勝負!(02/11/22)

奇しくも明日のクラシコが新しいシューズを履いての初めての試合となるサビオラ。ベッカムやクルイベル、チャビなどと同じアディダス仲間となって登場だ。日本での親善試合を終えて昨日の夕方にバルセロナに到着したサビオラはボナノと一緒にカンプノウに直行。19時30分から開始された練習に元気に参加している。
「マドリ戦はクラシコと呼ばれる世界中の重要な試合の中でも特別な試合。ボカとリーベルとのクラシコを経験している自分が言うんだから間違いないよ。この試合はあらゆる意味で特別だと思う。長い時間の旅の疲れより時差が最大の敵という感じだけれど、こんな試合に出場できるのだったらそんなことは言っていられない。体調が完璧であろうとなんであろうと絶対スタメンで試合に出たい。」

彼もまたこの試合に勝利するための重要な要素はソシオが握っていると考える一人だ。
「いつにも増してソシオの助けが必要な試合さ。カンプノウが10万観衆で埋められて最初から最後まで我々を応援してくれればより勝利の可能性が大となる。そしてゴールを決められたら最高だね。」


ジダーン欠場!!!!!!!!!!!!!(02/11/22)

ジダーンのクラシコ欠場が決定。背中の痛みがとれずクラシコどころではないようだ。したがって彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来ない。彼はカンプノウに来な〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!!!!!!!!!!


クルイベル、ゴールの予感(02/11/22)

アラベス戦でハットトリック・クルイベルとなり、100ゴールまであと2ゴールと近づいたクルービー。だがそれからなかなかゴール運に見舞われていない。それでも水曜日のドイツ代表との親善試合で先制点を決め、久しぶりにゴールの味を噛みしめた。
「親善試合とはいえ、ゴールを決めるのは嬉しいことだ。でもやはり親善試合は親善試合。なんといっても本番試合でゴールを決めたいね。そして本番は明日だよ、明日の試合。ここでガッツッンと2ゴール決めて100ゴールを達成したら、俺は世界中で一番幸せな男となるだろうね。」

だがもちろんそんな個人的なことよりもっとも重要なことは誰がゴールを決めようがバルサが勝利することだ。そのためにはバルセロニスタの役割も大きなものとなるだろうと語るクルービー。
「クラシコは誰がなんと言おうと3ポイント以上の価値がある試合さ。その後に多大な精神的影響を与えるだろうからね。我々選手の立場から言えば、ひたすら攻撃するパターンで試合をしないとダメだ。バルセロニスタの役割は俺たちを試合開始1分から盛り上げてくれること。もちろんフィーゴやロナルドに対するブーイングは凄いだろうと思うけれど、大事なのは俺たちに対する声援だ。これがあれば勝ったも同然。それは歴史が証明してるじゃないか。」


ガッツ、明日はバルセロニスタの一人として(02/11/22)

メレンゲにとってもっとも恐ろしいバルサの選手、それはルイス・エンリケに違いない。これまでのクラシコで何回となくゴールを決めてきた我らがカピタン。だが明日のクラシコではグランドの中で彼の姿は見られない。この試合に出場することを目標におこなってきたリハビリもついに間に合うことなく今日に至っている。残念、と彼は言う。

それでもシーズンは長いことも知っているガッツ。明日はソシオの一人として観客席に陣取り、力の限り同僚を応援していこうと思う。心にバルサカピタンマークをしまい込み、10万ソシオの一人として「12番目の選手」として90分間一生懸命応援し続けようとするガッツ。
「プロの選手が負傷すること自体情けないと思うけれど、こういう試合に出場できない自分がよけい情けなく思う。だがそれは運命というもの。そういう状況に置かれてしまったのだから運命を嘆いてもしょうがない。一人のバルサの選手として、一人のバルセロニスタとして、そして一人のソシオとして明日はできる限りの応援をすることが唯一いまの自分にできること。不運を嘆いていてもしょうがない、ここはいっちょ、全身全霊を込めて同僚たちを応援するんだ」

マドリではイエロが負傷欠場、バルサでは彼以外にもアンデルソンとかクリスタンバールとかが長い負傷生活を送っていて試合に出場できない。だがそんなことをとやかく言ってもしょうがないと語るガッツ。
「俺も含めて出られないヤツのことを言ってもしょうがない。バルサは誰が故障してもそれを補う選手がいるということを忘れちゃあいけない。俺やその他の故障選手の代わりに出場する選手は俺たちと同じかそれ以上のプレーをしてくれると思う。それはマドリにしたって同じさ。バルサとかマドリには偉大な選手が山ほどいるんだから。だがいずれにしても明日の勝負は俺たちの勝ちだ。リーグ戦では19試合カンプノウで負け知らずなんだ。ユーロクラシコで負けたじゃないかというヤツがいるけれど、リーグ戦とチャンピオンズはまったく種類の違う勝負。18年間、19試合にわたってバルサはマドリに負けていないということは、やはりそれなりの理由があるんだろうと思う。その一つは、そう、間違いなく『12番目の選手』のパワーだろうね。だから明日の試合も間違いなく勝ちだ!」


メンディーナ・カンタレホ審判(02/11/22)

明日のクラシコを吹くメンディーナ・カンタレホ主審は、セビリア生まれ38歳、父も祖父も審判という家系。1998年から1部リーグの審判をつとめる彼は、昨シーズンは最優秀審判に選ばれており、今年の1月からは国際審判としてUEFAに登録されている。

昨シーズンは16試合審判を務め、カードは1試合平均5.38枚。そして結果は地元チームの8勝1分け7敗。しかし今シーズンは今までに5試合審判を務め、地元チームの3勝2分けで、地元負け知らず。

これで4シーズン目に入ったカンタレホ審判の評判は、ペナルティーエリア内でのファールに厳しく、PKを吹くことに躊躇しないということ。そしてそれはまた論議の中心になる審判であるということも意味する。昨シーズンのガリシアダービーを吹いたカンタレホは、それ以後セルタの一番の敵と見なされているし、今シーズンはラーヨ対ラーシングで、50のファール、9枚のカード、1人の退場、3つのPKを吹くスキャンダラスな試合展開をみせている。


スーパーリケルメの登場か(02/11/22)

このクラシココーナーが始まってから、リケルメのコメントはいっさい見つからない。それどころか彼はデポルティーボの試合が終わってからいっさいメディアとの関係を絶っている。大勢の代表選手が旅だった最中におこなわれた練習後の記者会見にもリケルメは呼ばれなかった。メディアも彼にコメントを求めないし、クラブ側も彼に記者会見に出席しろとは言わない。

大試合の前には精神統一をはかるために、リケルメはいっさいのメディアとの関係を絶つことで知られている。アルゼンチンにいるときも、リーベルとの試合がある週はいっさいメディアの前に登場していない。メディアもこの時期となると彼にコメントを求めない。バルセロナメディアもそのことを知っているから彼にはコメントを求めないのだ。だからマドリ戦の前には彼のコメントはいっさい存在しないことになる。

精神統一をし集中力を高めるリケルメ。彼のスタメン出場は100%間違いない。ポジションもボカ時代のような“エンガンチェ”、つまりメディアプンタの真ん中という位置で自由に動けるプレーとなるだろう。この試合だけは彼の特性を最大限に活かして勝負にでようとするバンガールシステムが予想される。

この予想は単なる空想ではなく、ある程度根拠のある話だ。デポルティーボ戦が終了した翌日、クラブ首脳陣はバンガールを呼び出し試合の「総括と反省」というテーマで話し合っている。その席でバンガールが語りだしたことは誰もが驚くことであったという。なぜなら、リケルメの不在が一番の大きな原因だったと語ったのだ。ビッグチームとの大試合にはリケルメの存在が必要不可欠と考えるバンガール。それを知ってか知らずか、リケルメはいつもの大試合の前のように精神統一をはかって、スーパーリケルメに変身しようとしている。クラシコ、リケルメに期待していい。


仲間割れでござりまする(02/11/22)

ディフェンスの選手とデランテロの選手はやはりお互いをマークし合う仲となるらしい。それは同じチームに在籍していても同じようだ。
ロナルドが韓国戦のあと、セレソンの印象を聞かれて次のように語っている。
「セレソンの選手は自分がどうプレーするかわかっているからやりやすい」

これをブルガリア戦後に聞いたマドリ陸上部所属のサルガドが怒りを表して同僚を批判している。
「ブラジル選手に限らずどこの外国人選手であれスペインにいないときはいつもいい加減な発言をする。もしその発言が本当にロナルドのものだとしたら、話にならない。ヤツにはマドリの選手としてゴールを決めろ、こう言ってやりたいね。」
はい、その意見はもっともですが、それは無理でござりまする。


観客席から望むもの(02/11/22)

Carlos Perez De Rozas
(La Vanguardia紙 記者)

ガブリがロナルドに、プジョーがジダーンに、レイジンゲルがフィーゴに、チャビがラウルに、そう、クラシコが近づいてくるにしたがい明らかにされていくバルサの個人マーク。だが、相手をつぶしにかかる個人マークの話しが聞けても創造的な攻撃の話は聞こえてこない。どのように攻撃を組み立てて、何点を狙っていくのか。そんな話はまだ一度も聞いたことがない。

観客席に座る我々が見たいクラシコ、それは5−4という試合。スペクタクルであり、スリルに満ち満ちている試合。だが残念ながらバンガールのノートにはどのようにして5点を獲得していくかということは書かれてはいないし検討されてもいないだろう。過去のマドリが戦った試合を何回も何回も見ながらノート作りをしているバンガールからはそのようなアイデアが生まれるわけがない。そして彼がノート作りにいそしむのであれば、試合まですることのないバルセロニスタの我々もノートを作ってみようではないか。

1.クルイベルに対する禁止事項として、ボナノには極力近づかないこと。できればハーフラインも踏んではいけない。ひたすらカシージャへのプレッシャーを心がけよう。

2.審判が試合開始の笛を吹いた瞬間、グラウンドにサビオラとリケルメがいること。若いサビオラに疲れているなどということを言わしてはいけない。途中交代からではなく、最初の1分からカンプノウに立っていること。

3.このお祭り試合ぐらいリケルメに限りない自由を与えよう。一つの駒として彼をしばるようなマネはしないで欲しい。彼の思うままのプレーをさせるべし。それが我々が楽しむ条件でもある。

4.自陣での“ロンド”の悪習をやめよう。もし素速いボール回しがしたいのなら、相手ゴールにより近いところでおこなうべきだ。そうでなければ“ロンド”は練習場のミニエスタディでおこなう方が良い。

5.ゴールの可能性のある試合が見たい。横パスの団子試合より縦パスの素速い試合を期待したい。もしメンディエタが縦に切り込めないのであればロッケンバックを出すべきだ。そしてどこからでもシュートを狙わせよう、シュート、シュート、シュートなくしてゴールは入らない。

6.できるなら15分おきのゴールを望もう。15分おき、つまり90分で6点。だがそのうちの一つはクルイベルのオフサイド(そう、彼は常に相手ゴール近くにいなければならない)で無効になってもかまわない。だから5−0の試合となる。

7.個人マークなんかクソ食らえだ。そんなことは忘れて、ガブリ、プジョー、レイジンゲル、そしてチャビたちをすべて攻撃に走らせよう。攻撃の補助として彼らを前にやろう。年寄りジダーンやフィーゴ、恩知らずロナルドのことなどは忘れてしまえ。

8.そのロナルドが、なにかの間違いで4点入れたとしても問題にはならない。なぜなら我々は5点入れているのだから。

これらのことが可能となるためには最低限必要となることがある。それはバンガールが風邪をひいてベンチに入れず、貴賓席でガスパーと一緒に座って試合観戦となる状況だ。


バルセロニスタ・ココ(02/11/22)

インテルのディフェンスとして活躍しているフランチェスコ・ココ。彼もまたバルサの選手たちと同じように今週の土曜日にはミランとのダービー戦が控えている。だが彼の頭の中の半分はバルサ・マドリのクラシコ戦にあるようだ。
「もう電話で何人かのバルサの友達と話をしたよ。もちろんなにがなんでも勝って欲しいということを伝えるためさ。バルサ・マドリのダービー戦は自分が経験した中でも最高のダービーという感じだね。まったく違うんだ他のダービーとは。ライバルとしてのクラブ同士の戦いというよりは、もう社会的なというか地域的な戦争だね、あれは。カタルーニャとスペインの戦争だよ。そして俺はカタルーニャのチームが好きだし、たくさんの友達がいるからこの戦争はどうしてもカタルーニャに勝って欲しいんだ。」
ブラボー、ココ!


バルサカーラーで埋め尽くせ(02/11/22)

イムノと共に選手がグラウンドに登場する瞬間、98,260席が、バルサカラーのアスール(青)グラーナ(赤)のモザイクで埋め尽くされることになる明日のカンプノウだ。

カンプノウに入っていったバルセロニスタは、自分の椅子席の上にアスールグラーナの紙が置かれているのを見つけ事になる。それは、バルサの選手がグラウンドに入場してくるとき、全員で一斉に掲げ、カンプノウをバルサカラーのモザイクで埋めるためだ。掲げた紙の裏には一緒に歌うイムノの歌詞が印刷されている。そして、そのモザイクが現れるのは1回だけではない。バルサがゴールを決めるたびに浮き上がるのだ。

今まで何試合かこのモザイクはつくられてきた。例えば、ここでも93-94の5-0のムービーのなかでも見ることができる。ただし、その時は6万枚のモザイクだった。今回は全席だ。カンプノウがアスールグラーナの色に何度も何度も埋め尽くされるのが楽しみだ。