●試合終了●

バルサ、ベルナベウに踊る

REAL MADRID 0 - 3 FC BARCELONA

0-1(14分) ETO'O
0-2(59分) RONALDINHO
0-3(77分) RONALDINHO

[出場選手]
VALDES
, OLEGUER, PUYOL, MARQUEZ, GIO, EDMILSON, DECO, XAVI, MESSI(INIESTA 69M), RONALDINHO, ETO'O

 2005年11月19日 あと60分
スタメン決定!

バルデス、プジョー、オラゲール、マルケス、ジオ、エドゥミルソン、チャビ、デコ、メッシー、ロナルディーニョ、エトー

バモッ!バモッ!、バモス バルサ!

 2005年11月19日 あと240分
バモス!バルサ!

いつものようにクラシコ前となると多くの“雑音”が奏でられる。今回のクラシコまでは2週間という隙間があったから普段以上のそれが聞こえてくる。中央メディアから伝わってくる“雑音”の的となったのはエトーとメッシーだ。彼らに対する集中攻撃はメディアサイトだけではなく、本来は彼らと同業者であるメレンゲ選手からの発言となっても伝わって来ていた。
「エトーのケースはフィーゴのそれと同じ。したがってベルナベウで大いなるブーイングが起きるのは間違いない。しかも優勝フィエスタでマドリディスタを侮辱したことも我々は忘れていない。」
とオッチョコチョイ・エルゲラが語ればロナルドもアホさ加減を露呈する。
「優勝フィエスタでの発言に見られるように、彼はインテリジェンスに欠けていると思う。そういう人間はそれに相応しい扱いを受けることになるだろう。」
これまで体験してきたクラシコ前の“雑音”は、中央メディアであれカタルーニャメディアであれ、ほぼ100%がジャーナリストが奏でるものだった。もちろんウーゴ・サンチェスだとかウリストだとかいう“熱い選手による熱い発言”があったことも確かだ。それでも彼らの同業者、つまり相手選手に個人攻撃を加えることはなかった。

エトーはクラブから追い出された選手であり、フィーゴはクラブとバルセロニスタにつばを吐いて出て行った選手ということも理解できないオッチョコチョイ・エルゲラ。失言の翌日に記者会見を開いてマドリディスタに謝罪したエトー、その勇気ある行為を無視してインテリジェンスの不足とまで語って攻撃するロナルド。みっともない野郎どもだ、とするのは簡単だが彼らには彼らなりの醜い理由があるのだろう。地元クラシコであるのにこれほど地元不利とされているクラシコは珍しい。200%のモチベーションで戦って初めて強敵バルサとの戦いが同等と考える彼らたち。これらの発言はサンティアゴ・ベルナベウを、怒りを燃やした熱いマドリディスタたちによる熱狂的なスタディアムにさせようという意図かも知れない。

いずれにしても、バルサにとって厳しい90分が待っている。前評判がいかに高かろうがバルサにとっては厳しい試合だ。レアル・マドリが20年間カンプノウでの勝利を知らなかったように、バルサにとってもベルナベウでのクラシコはとてつもなく難しい試合となる。リーガの長い歴史の中で75回のベルナベウクラシコが戦われ、バルサはこれまで13回しか勝利の喜びを得たことがない。個人的にも、20回近いベルナベウクラシコをテレビ観戦してきて、わずか3回の“熱狂の夜”しか過ごしたことがない。果てしなく難しい敵地でのクラシコ、それでも希望だけは常に失わない。14回目の勝利はいつかはやって来るだろうし、個人的な4回目の勝利もやって来るに違いない。そしてそれが今回のクラシコでないとは誰も否定できない。そしてそれがやって来そうな予感のする2005年11月19日。
バモッ!バモッ!、バモス バルサ!

 2005年11月19日 あと10時間
チキートスタメン予想

 

 2005年11月19日 あと21時間
いよいよ敵地に殴り込み!

■バルサ!
バン・ボメルが抜けたことによって空いた一人の招集スペースに誰が入り込むか注目されていたが、それは最終的にガブリとなった。したがって前の試合と同じようにベレッティ、そしてエスケロとマクシがエネルギー充電週末となりバルセロナ居残りとなった。

午前11時から1時間ほどの非公開練習をおこなった選手たちは17時30分にカンプノウに再び集合しバルセロナ・エル・プラット空港へと向かう。18時発マドリッド行きのシャトル便に乗り19時に敵地に到着。空港には200人以上のマドリッド在住バルセロニスタが待ち受けている。さて、いよいよです。

[ 招集選手 ] バルデス、ジョルケラ、プジョー、オラゲール、マルケス、シルビーニョ、ジオ、エドゥミルソン、モッタ、チャビ、デコ、ガブリ、イニエスタ、ジュリー、メッシー、ラルソン、ロナルディーニョ、エトーの18人。

■マ〜ドリ
ボダフォーンが前日の練習で背中が痛いとかで早引きしてメディアを騒がせていたが、何とまあ、イングランドでは有名な癖として知られているようだ。大事な試合の前となると必ず「ここが痛い、あそこが痛い、ああ、こっちも痛い」として練習を切り上げる癖があるそうな。こうしておけば試合で活躍できなくても同情の余地ありということになるし、もし活躍でもすれば「怪我にもめげず、さすがベッカム様!」ということになるらしい。もっとも最近では同僚選手も気が付いてきたようで、このこしゃくな選手に対しロナルドは「いつものことさ」と相手にしていなかったようだ。

それにひきかえカンテラグティはちょいと違う。試合前日の練習で“本当”の負傷をしたらしいが、クソバルサ相手の試合にはどんなことをしてでも出場するとばかりバンデルレイに招集を頼み込み成功している。もっともそんな状態の彼が出てくるようではメレンゲも寂しい限りだ。

[ 招集選手 ] カシージャス、ディエゴ・ロペス、サルガド、ラモス、エルゲーラ、クチカル、パブロ・ガルシア、ディオゴ、ロビーニョ、ボダフォーン、パボン、メヒア、ブラボ、グティ、バティスタ、ロナルド、ジダーン、ラウル、デ・ラ・レ(ってダ・レ?)の19人と早くもオフサイド

 2005年11月19日 あと28時間
ガウチョの予想、勝利あるのみ!

セレソンの親善試合が一つ少なくなったおかげでバルセロナに予定より早く戻ってこられたロナルディーニョ・ガウチョ。週明けにバルセロナに戻ってきた彼はすでに合同練習に参加してきている。大試合になればなるほどその実力を示すクラック選手だけにクラシコにかける意気込みは相当なものと予想されるが、その意気込みは言葉となってはあらわれない。あくまでもグランドの中で情熱を燃やそうとするその心意気は良しとしよう。だがインタビュー自体はいつものごとく面白くも何ともない。

ナイキのCMは特撮だと言ってください・・・

あれ?俺のテクニックを疑ってるの?あの映像は新しい靴を履いてそれを試すところを何気なく撮影しただけのもので、テレビ用なんかに撮影されたものではなかったんだ。ポールに当てることはそれほど特別なことでも何でもなく普段の練習でもよくやっていることさ。あれはもちろん本物だよ・・・と言っておこう。

今回のクラシコでは誰がキーポイントとなるでしょう・・・

多くの人が知っているようにバルサはチームブロックの固さで勝利してきているチーム、したがって誰がどうこうというよりグランドでプレーする11人とベンチで待機する7人すべてがキーポイントといっていいと思う。言い方を変えれば、ここ何試合かのようにチーム総体がうまく機能することが勝利につながるキーポイントさ。

まだ12節で迎えるクラシコですが、もし勝てばリーガ制覇への大前進ということでしょうか・・・

レアル・マドリは最大のライバルだし、クラシコというのは常に特別な試合。したがって他のクラブとの試合とは雰囲気が違うのは否定できないこと。それでも冷静に考えればつまるところ3ポイントを争う試合に過ぎないんだな。クラシコに勝利してもその次の試合に負けてしまったらどうしようもない。だから我々はいつも次の試合に集中しているんだ。相手がレアル・マドリであろうと例えばサンタンデールであろうと、とにかく次の試合が一番重要だと思っている。クラシコという年2回の戦いを勝利してもタイトルがとれなかったら意味がないし、個人的にはクラシコに負けようがリーグ優勝できれば何の問題もないさ。もちろん2回のクラシコに勝利してリーグまでとれればそれにこしたことはないけれど。

負傷者が多く、最後の最後まで誰が出場できるかわからないクラシコとなりましたが・・・

我々の選手で言えばデコが戻ってこられたと思ったらバン・ボメルが負傷してしまった。試合ごとに調子を上げてきた選手だし、チームを助けてきた重要な選手だけに残念なことだ。一日も早く元気になってチームに戻ってきて欲しいと思う。マドリにも多くの負傷選手がいたそうだが、そして誰が出てくるのか知らないが、いずれにしても両チームとも完全な形で戦えるにこしたことはないね。ロナルドも是非とも出場してきて欲しい。フットボールのためにもね。

クラシコの予想を・・・

こういう試合ではどういう調子で来ているかということはまったく関係ないと思う。例え10ポイント差になっていてもどちらが有利ということにはならないんだ。非常に接戦になることが予想されるけれど楽しい試合になればいい。もちろん勝ちに行く。デコが言うように1−3となるか、ジュリーが予想するように0−2となるかわからないけれど、とにかく勝ちに行く。自分のパスで誰かがゴールを決め、そして自分もゴールが決められて勝利すれば最高だ。

 2005年11月18日 あと34時間
メレンゲ豪華メンバーのカピタン分析

●イケイケ・カシージャス
契約が切れようとしているのに未だに延長契約のお誘いが来ていない不思議なメレンゲ門番。この門番の大活躍と相手門番を襲うロナルドの存在によりどうにかこうにか3位の位置を保っているにも関わらず、フロレンティーノは知らん顔。そのためもうすでにクインズ・イングリッシュの勉強を始めていると言われている。したがって、ひょっとしたらベルナベウクラシコ最後の出場となるかも知れない。じゃあ、グッドバイ!

●ミチェル・サルガド
かつてセルタにいたカルピンと一緒にやっている不動産屋業の合間にフットボールもしている右ラテラル選手。そのカルピン・サルガド不動産屋はセルタのあるビゴの古い町並み地区を大々的に買収しているが、そこは同時に彼にとっては故郷に当たる土地でもある。義理の親父にあたり元メレンゲ会長のロレンソ・サンスがつい最近イタリアはパルマというクラブを買い取ってしまったが、その親父から来年来いとお誘いがかかっているという。同じポジションのシシーニョの入団も決まったことだし、まあ彼にとってもベルナベウクラシコ最後となる可能性があるわけだ。じゃあ、チャオ!

●ロベルト・クチカル
32歳となった左ラテラル選手だが、かつてのクリスタンバールよりはまだスピードがあるかもしれない。だが足の速さはともかく、彼の名が示すとおり舌だけは相変わらずなめらかに動き回る。ベルナベウクラシコを迎えるに当たってはバルサよりも上の順位に来ているだろうとサラゴサ戦の前日に予想したオッチョコチョイ野郎でもある。ロナルドやベッカムなどと同じような銀河系年俸を夢見たがついに実現せず、来年からは石油産出国へと旅立つ可能性も大だ。したがって彼もまたベルナベウクラシコ最後となるかも知れない。じゃあ、アブラカダブラ!

●セルヒオ・ラモス
かつてのメレンゲスキャンダル大好き門番だったパコ・ブーヨ、“インディオ”という愛称でバルセロニスタに親しまれたイバン・サモラーノ、大試合にだけ活躍したダボ・スーケル、そして今のところ大ハズレのバティスタと同じようにセビージャからやって来た選手。アーセナルでプレーしているラウレンやレイジェスと同じようにセビージャのカンテラ育ちだ。彼の目標は我らがカピタン・プジョーらしいが、その目標に追いつくには少なくてもあと5年必要。今回は最初のクラシコとなる。

●イバン・エルゲーラ
アルバセテからローマへ、そしてローマからエスパニョールをトランジットしてレアル・マドリに落ち着いてしまった選手。もともとセントロカンピスタでありながらチーム事情によりデフェンサをやらされている。だが長居してしまった生活もそろそろ終わりが近づいてきたようで、契約が切れる彼に延長契約の話はやって来ていない。イタリア語はすでにローマで常に同室だったトッティ先生の教えによりマスターしているため、カシージャスと一緒にクインズ・イングリッシュを習いにいく毎日。負傷が完治しようが完治しまいが出場してくるだろうが、彼にとってもベルナベウクラシコ最後となる可能性大。じゃあ、チャオグッドバイ!

●パブロ・ガルシア
もっともメディアチックではない選手でありながら、どういうわけか絶対スタメン選手の一人になりつつある。黄色であれ赤色であれカードなら何でも集めますというカード収集家としてその名が知られている。オサスナ選手時代には毎シーズンにわたって年間カード収集数世界一記録を保ってきていたが、なぜか白いチームに移籍してきてから収集数が減ってきているようだ。レドンドと比較できる選手ではないし、ましてマケレレと比較してはマケレレに失礼にあたるだろう。この選手が絶対スタメンとなっていることが今のメレンゲ軍団の実情を示していると言えるかも知れない。ワールドカップ不出場による心の痛みと長旅の肉体疲労を抱えながら、そしてクラシコに向けての練習に2時間しか参加していないがそれでもバンデルレイは彼を外せない。

●ジネディーン・ジダン
「良い選手だったね、彼は!」と昔を懐かしがって言われるようになったら終わりだ。その終わりの時期が日に日に近づいて来ているジダーン選手。それにしてもクライフがもう1年監督をやっていれば間違いなくバルサに来た選手だけにバルセロニスタにとっても複雑な思いが同居する選手ではある。三十腰と四十肩に悩まされここのところ試合にでていないが、最後のベルナベウクラシコという思いがあるであろう彼は腰を曲げながらも肩をもみながらも出場してくるだろう。いやあ、本当に彼は良い選手だったね。じゃあ、とってもアディオス!

●デイビ・ボダフォーン
男前。

●ロブソン・デ・ソウサ“ロビーニョ”
自転車がないと生きていけないサイクリングマン。ポルテロとの一対一の勝負に勝ち、ゴール前一人になっても自転車芸を見せてくれるか、あるいは一人でピスシーナをしそうな楽しい男だ。そう言えば、デニルソンというブラジルの選手が一昔前に50億ペセタという素っ頓狂な移籍料でベティスに来たが、やはり彼のスタートはこの選手のそれとよく似ている。見た目が派手でクラックっぽい感じが伝わってくる選手だったが、このロビーニョ坊やの将来もデニルソンと同じになるかも知れない。

●ピノキオ・ラウル・ゴンサレス
プロ選手としてのスタートが早かったこともあるし負傷を背負っても出場することも多かったから、まだ28歳とはいえフィジカル的にもメンタル的にもくたびれていても不思議ではない。単に鼻が高いからか、あるいは本来の生意気さからか、ピノキオ・ラウルと呼ばれているメレンゲ軍団のカピタン。不調な時でも中央メディアは「スタメン絶対の選手」としているが、そのカリスマ性をいつまでも持続して欲しいと思うバルセロニスタ。ただ、クラシコとなると妙に活躍する癖があるので要注意。

●ロナルド
かつてのロマリオは特別の存在だから彼を誰かと比較することは許されないし、ましてエトーというまったくタイプの違うデランテロと比べても意味のないことだが、それでももし100%の体調なら間違いなく世界最高のデランテロだと個人的には思っている。負傷をいやして是非とも出場すべし。何としても出場すべし。いずれにしても敗北するであろうメレンゲ軍団だが、ロナルドなしとロナルドありとではマドリディスタが受けるショック度に天と地ほどの差がある。
「ロナルドがいなかったから・・・」
「ロナルドもいたのに!」
元バルセロニスタの意地にかけても是非ライライ〜。この選手も無理矢理出場。

●ベスティア・バティスタ
ピボッテ役としてセビージャに入団してきた選手だがいつの間にかメディアプンタとしてゴールを稼ぎ大活躍、その活躍が認められて高額な移籍料でメレンゲ軍団の一員となった。もっとも、名のある高給選手はすべてスタメンとして起用することを命じているフロレンティーノだから、すべての選手が適切なポジションでプレーできるとは限らない。このベスティア選手の魅力は、怒濤の勢いでゴール前に上がっていきそのドデカイ顔でポルテロを脅かしながらゴールを決めること。だがポジションを必要以上に下げられていることが多いせいもあり、今のところ彼を一躍有名にしたセビージャ時代のプレーは見られない。それでも顔の大きさはセビージャ時代と同じだ。4週間近くも現場を離れているにもかかわらず、そして負傷が完治したわけでもないのに、この選手も無理矢理出場させられる。

●ホセ・マリア・“グティ”
すでにデビューして10年になるとはとても思えないし、来年でもう30歳になるということも信じられない選手。バルダーノが監督をしていたときにデビューしているが、キャラクター的にもフットボール的にも精神的にも頭脳の重さにも10年前と何ら変化を感じない永遠の悪ガキだ。地元ベルナベウでブーイングされると観客席に向かって中指をたてることも平気でやる良い性格のカンテラ育ち選手であり、マドリインフェリオールカテゴリーで将来を夢見る少年達のアイドルでもある。愛するメレンゲのためなら常に挑発者となりうるし、悪者から超悪者にもなれるクラブカラーを染みこませた数少ない選手の一人。いつものように途中からご出勤となりそう。と書いたところで、試合前日の練習で負傷してしまったようだ。お大事に。

●ジョナサン・ブッドゥゲー
からかう元気もでないほど不幸な星の下に生まれた人。もっとも、負傷していることを知っていながらも高い移籍料を支払ってくれた上に年間2か月程度の仕事しかしないのに懐がアチアチになるほどの高額な年俸を用意してくれるクラブがあるのだから、考えようによっては幸せな人かも知れない。デフェンサの選手でありながらスペクタクルなゴレアドールでもある。自陣に2個、相手チームに1個ゴールを決めている。最初で最後となったかも知れないベルナベウクラシコには残念ながら出場できない。個人的にも彼のオウンゴールが見られないのが寂しい。

●パコ・パボン
パボンというこの選手の名は、彼のプレーがどうこうとか、どのような素晴らしい活躍をしたとか、どんなに男前かとか、そういうこと以前に“ジダーンたちとパボン坊ちゃんたち”というフロレンティーノ作戦によって知られることになった。もっともそれだけの話で、最近は試合には出場していないしフロレンティーノ作戦も崩壊状態であるので、彼の存在は限りなく薄くなってきている。エルゲラの負傷が長引けばクラシコ出場がかなうかも知れないとの前予想だったが、彼にとっては残念ながらエルゲラの出場は間違いない。

●ラウル・ブラボ
一時期この選手がスペイン代表の常連だったと言ったら、最近リーガに興味を持った人からはジョークと受け取られてしまうかも知れない。まだ24歳だからプロ選手としての旬の時期が終わったわけではなく、単にクラブチームでの試合に出場していないから代表でも招集されなくなった。そもそも代表に値する選手だったかどうかということ自体が論議となってもおかしくないだろう。“ジダーンとパボン坊ちゃんたち”作戦を代表する一人だったが、パボンと共に疎外の身となっている。個人的にはなぜか気に入っている選手。

●アルバロ・メヒア
知らん!

●トマス・グラーベセン
笑いを提供してくれる貴重な選手。パブロ・ガルシアという“強烈なライバル’が加入してきたことや、負傷しても薬を飲まず自然治癒にまかせるしかしないことでフロレンティーノの怒りを買ってしまった。そのため冬のマーケット商品となりそうな選手だ。とてつもなく明るい笑顔と、とてつもなく下品なプレーが微妙にミックスして美味しい味をだしていた選手だけに彼の移籍は惜しまれる。でも、グッドバイ!

●カルロス・ディオゴ
この選手がリーベルでプレーしていたということしか知らない人間にとって、彼がレアル・マドリにやって来たのは同じウルグアイ出身のパブロ・ガルシアの関係からのコネ入社としか想像がつかない。チームが抱える複雑な事情からここ何試合か出場してきているが、今回のクラシコでは出番がやって来ないかも知れない。もしメレンゲ捨て試合となった段階で出場してきたとしたら、彼にとって最初で最後のクラシコ出場となる可能性は大だ。

●ディエゴ・ロペス
バルセロニスタならずともバルサの控え門番はジョルケラという宝石屋がいることを知っている人がいるかも知れないが、メレンゲの控え門番としてベンチに誰が入っているか、その名を知っている人は余程の通だ。ましてつい先頃までメレンゲ・カデッテAチームのコーチ補佐をしていた人だなんてことを知っていたら、それは狂気の沙汰だ。

 2005年11月18日 あと46時間
木曜日の練習風景

■バルサ!
クラシコ前ともなるとバルサTVも少しはやる気をだすようで、この日の練習風景を完全実況中継。普段は面白い番組などコレッポチもないチャンネルなのだから、まあこういうときぐらいはバルセロニスタにサービスしないといけません。メッシーやプジョー、チャビまでも参加してきてクラシコに向けた最初のオールメンバーによる練習。もっともお疲れのプジョーとチャビは30分程度で練習を切り上げ早引き退場。ロンドに始まりミニゲームで終わる練習だったが、ロナルディーニョがセントラル、エドゥミルソンがデランテロをやっているようなミニゲームだからクラシコ出場選手の予測は不可能。シルビーニョとロナルディーニョが居残り練習。試合前日となる金曜日午前中の練習はもちろん非公開となる。そして午後、いよいよ敵地へ進入。

[ 参加選手 ] バルデス、ジョルケラ、プジョー、ベレッティ、オラゲール、マルケス、シルビーニョ、ジオ、エドゥミルソン、モッタ、チャビ、デコ、ガブリ、イニエスタ、エスケロ、ジュリー、メッシー、マクシ、ラルソン、ロナルディーニョ、エトーの豪華絢爛メンバー

[ 不参加選手 ] ダミア(一人走り込み)、ボメル

[ クラシコ無理決定選手 ] ダミア、ボメル

■マ〜ドリ
相変わらず濃い霧に包まれた怪しげな場所で昼間だけの練習。スペイン代表組も加わってきてクラシコに出場する選手の80%は揃ってきた。ラウルはまた子供が生まれたので練習はお休み。ベッカムは背中が痛いとかで早引き。金曜日の最後の練習には傷心のパブロ・ガルシアとディオゴが戻ってきて初の練習参加となる予定。
エルゲーラ(99%出場可能)、ジダン(99%出場可能)、バティスタ(90%出場可能)、ロナルド(99%出場可能)、ボダフォーン(99%出場可能)、グティ(99%出場可能、でも監督次第)、グラベーセン(1%出場可能)とカピタン予想。

[ 参加選手 ] カシージャス、サルガド、ラモス、エルゲーラ、クチカル、ロビーニョ、ボダフォーン、パボンちゃん、ブラボちゃん、グティ、バティスタ、ロナルド、グラベーセン、ジダーン

[ 不参加選手 ] ラウル、パブロ・ガルシア、ディオゴ

[ クラシコ無理決定選手 ] ブッドゥゲー

 2005年11月18日 あと52時間
デコの予想、1−3

ヘタフェ戦への招集が決まったときの彼の第一声は次のようなものだった。
「バルサに入団が決まったときのような素晴らしい瞬間だった。」
今シーズンは決して快調に飛ばしてきたわけではない。それどころか昨シーズンのできに比べれば半分程度の調子でやって来ている。プライバシーの問題をメディアに騒がれたことや、調子の悪さを批判するコメントがあらわれたりと決して順調なシーズンとはなっていない。そしてオサスナ戦で思わぬ負傷をし、どん底に落ちたデコだが、しばらくの休養生活がかつてのデコらしさを取り戻すために幸いしたようだ。バルサに入団してきてから初めてといっていい2か月にもわたる辛い時期を、すでに過去のものとして考えられるようになったデコはベルナベウクラシコに初出場する。

どう予想していますか・・・

クラシコは誰にも結果の予想がつかない数少ない試合の一つさ。我々がどんなに相手よりも調子が良くても勝利を約束してくれることにはらない。それは彼らが同じように快調に飛ばしてカンプノウに乗り込んできても同じことが言えるだろう。地元の有利さを考えれば彼らに勝利の可能性があることも確かだし、彼らより実力的に優っている我々が勝利しても不思議ではない。

3ポイントを争うだけの試合ではないといつも言われますが・・・

他の試合と同じように3ポイントを争う試合に過ぎない、と語るのは簡単なことだが実際はそうじゃない。クラブの威信をかけたものであり、選手の自尊心をかけたものであり、ファンにとっては日常生活を一時的にストップさせるほどの試合でもある。それがクラシコの重みだと思う。誰が何と言おうと特別な試合であり世界中が注目する中での異常な雰囲気でおこなわれる試合だ。

そう言う世界が注目する試合で勝利することでバルサも本調子に戻るかも知れない・・・

いや、我々には今さら特別な試合は必要ないさ。これまで難しい状況があっても試合を重ねるごとに乗り越えてきたし、それは昨シーズンでも今シーズンでも同じこと。シーズンの最初のころはイマイチなバルサという評判がたったこともあったけれど、今のバルサを見ればわかるようにそんな状況はすでに乗り越えてきている。だから普段通りの姿勢、つまりクラシコに勝利し3ポイント獲得するという姿勢でマドリッドに行けばいい。そしてクラシコに勝ったら次の試合に勝つこと、次の試合に勝ったら次の次の試合に勝つこと、それが今まで我々が目標としてきたことでありその姿勢に変化はない。

バルサ、マドリ、それぞれが優っていること・・・

我々はマドリよりチームブロックがしっかりとできあがっているチーム。しかも負傷だとかカード制裁で誰かが抜けたとしても、代わりに入ってくる選手がしっかりとその穴を埋め同じようにブロックを形成することができる。マドリが我々より優っていること・・・すでに可能な限りのタイトルをとった選手が多いということかな。もっともこれが今回の試合に関して良いことだか悪いことだかわからないが。

負傷というのは誰もが望まないことですが、あなたはオサスナ戦で倒れたとき泣いていましたね。そして今回のボメルの負傷・・・

プライベートな問題で一部のメディアに騒がれていたし、個人的に辛いときだったこともあり、グランドの中が唯一エンジョイできる場所だったんだ。負傷したと気がついたとき頭の中が真っ白になった。グランドの中で涙を流したのはあれが初めてだと思う。ボメルも辛いだろうができる限り早く戻ってこれることを祈るばかりだ。これまでの彼の活躍を見ればスタメンに相応しい選手であることは間違いないからね。

スタメンといえばメッシーもスタメンに相応しい選手だと思いますか・・・

彼はいつでもスタメンに相応しい選手さ。ワールドカップの決勝戦であろうともスタメンで出てきていい選手だ。なぜなら、あの年で、まだ18歳になったばかりだというのに、まるで激戦を経験してきたベテラン選手のような雰囲気をもってプレーしているじゃないか。あの年齢の選手であれほど落ち着いた雰囲気を持っているガキを今まで見たことがない。いつも冗談で言うのさ、あんたは30歳のオッサンみたいだって。

最後にもう一度、クラシコの“個人的”な正直な予想を・・・

勝負だから結果はどう転ぶかわからないが、我々が有利なのは明らかだ。なぜなら昨シーズンの優勝チームだし、チームブロックという面を見れば我々が優っているのは疑いのないところ。もし実力差どおりの結果がでるとすれば1−3という結果になると思う。

 2005年11月17日 あと58時間
バンデルレイ監督、フォーエバー!

バンデルレイ・ルクセンブルゴ監督がレアル・マドリの監督に就任してきたのは去年の暮れだから、もうそろそろ1年という月日がたつことになる。そして多くの予想を裏切り、彼は彼なりの結果を出してきている。フロレンティーノのいくつかの重大な誤りがありながらも、必要な駒を必要な箇所に適当に配してそれなりの結果を出してきている監督だ。昨シーズンは最終的に我らがバルサを抜くことはできなかったものの、「私が監督に就任してきてから獲得したポイント数はバルサより多い」という彼の自慢話を事あるごとに聞く。確かに数字を見る限り彼の自慢話は間違いではないようだ。そう、彼は少なくとも結果だけは出してきている監督。まるでカルッチオのチームを見ているように、あるいは年間予算が100万ユーロにしか満たないチームのように、バンデルレイ・メレンゲは素晴らしいカウンターアタックで結果を出してきている。

その戦いぶりは非常事態が生んだ産物として中央メディアも“仕方なく”納得してきたのだろう。あの20世紀最高と内外から絶賛されるクラブが、あるいは攻撃的なフットボールを展開することで魅力あるものとして評価されているリーガのビッグクラブが、そして銀河系軍団として中央メディアに持ち上げられてきた王冠クラブが、5人のデフェンサや多いときには7人ものデフェンサで防御壁を作りだしてのカウンターアタックで結果を出してきたのだ。その効果はシーズンが終了してみれば予想よりかなり少ないポイント差でバルサのリーグ優勝という結果となった。もっとも、バルサにしてみれば早いところ優勝が決まってしまったのでポイントを稼ぐ必要もなかったわけだが・・・。

そしてバンデルレイ監督率いるメレンゲ軍団は新たなシーズンに突入する。獲得ポイントゼロからの出発であり、彼が本来好んでいると言われる攻撃的なフットボール、そして伝統のメレンゲフットボールが展開されるはずだった、そう、はずだった。パブロ・ガルシア、ディオゴ、ロビーニョ、バティスタ、セルヒオ・ラモスの獲得に1億ユーロ近くを費やし「見せるフットボールを展開したい」といつものように強いポルトガル訛りのスペイン語で記者会見するバンデルレイ監督。だが、これまで見てきたところ、昨シーズンとの変化はコレッポッチもないようだ。多くの負傷者を抱えてしまったメレンゲ軍団のベンチにはこれといった控え選手はいない。それでもバンデルレイ監督は得意の“緊急しのぎ”で結果を出すことに成功している。我らがバルサにたった1ポイント差しかつけられていないのだ。

だが、このままではやっていけないことはバンデルレイ監督にもわかっているようだ。冬のメルカード解禁を待ってフロレンティーノにすでに4人の補強を要請している。ラテラル選手シシーニョ(サンパウロ)、セントロカンピスタ選手アレックス(フェネルバッチェ)、同じくセントロカンピスタ選手リカルディーニョ(サントス)、そしてデランテロ選手ランドゥサー(AZ)。

カペーロのつまらないフットボールにはどうにかこうにか我慢できたマドリディスタ。あのシーズンは結果だけが大事なものとなっていたからだ。UEFAカップにさえ出場できない1年だったからリーグ優勝は絶対に必要なシーズンだった。しかもつまらないながらも規律とアイデアが感じられたカペーロメレンゲだった。だが今のチームには規律もなければアイデアもなく、あるのはロナルドのゴールとカシージャスの神がかり的なセーブ、そしてほんの少しの結果だけだ。マドリディスタが愛するカンテラ育ちの選手も出てこない。

もしシーズンを通じてバルサより良い結果がでなかったとしたら、もちろんレアル・マドリはリーグ優勝はできない。危機感を感じるマドリディスタにとってこのクラシコはどうしても勝利しなければならないものとなっている。それは試合10日前にすでにチケットが売り切れ状態であることを見れば明らかとなる。もちろんバンデルレイ監督にとっても何のタイトルもとれない可能性があるこのシーズンを救うクラシコ勝利がどうしても必要だ。そしてもし敗北するようなことがあれば、クリスマスは故郷で迎えることになる可能性も秘めている。

だが、それは避けたいと思うお節介なバルセロニスタ。ジョアン・ガスパーにできる限り長くバルサの会長を務めて欲しいという正しくも納得いく思いを持った多くのマドリディスタがいたように、今は多くのバルセロニスタが同じような思いをこの監督に抱いている。そう、例え、多くのフットボール関係者が予想するように、メレンゲがこのクラシコで0−5で負けることがあっても決してルクセンブルゴ監督をクビにするような事態になりませんように。彼にはできる限り長くベンチにいて欲しいと思うバルセロニスタ。例え我々が0−7で勝利しようとも是非ともバンデルレイ監督には頑張って欲しいのだ。そうだ、みんなでお願いのメールをフロレンティーノに送ってみよう!

 2005年11月17日 あと70時間
水曜日の練習風景

■バルサ!
やっと快晴となったバルセロナ。カタルーニャカップに出場した選手たちも居残り組となった選手もすべて一緒になっての練習。クラシコ戦スタメン出場間違いなしのプジョーとチャビが、そして途中からでも出てくるであろうメッシーとイニエスタの4人だけが欠けた練習となった。いよいよ本腰を入れての練習となってまいりました。ちなみにバロン・デ・オロの受賞者はロナルディーニョとずいぶん前から決定していたが、この日の練習後にバルセロナでオロのボールを持っての撮影会がおこなわれている。まずはメデタシ。

[ 参加選手 ] バルデス、ジョルケラ、ベレッティ、オラゲール、マルケス、シルビーニョ、ジオ、エドゥミルソン、モッタ、デコ、ガブリ、エスケロ、ジュリー、マクシ、ラルソン、ロナルディーニョ、エトー

[ 不参加選手 ] ダミア(一人走り込み)、ボメル、チャビ、プジョー、メッシー、イニエスタ(胃腸炎のあとは発熱ダウン、それでもカンテラ根性見せて午後には一人走り込み)

[ クラシコ無理決定選手 ] ダミア、ボメル

■マ〜ドリ
霧に包まれた怪しげな練習場。この日の練習ではロナルドやバティスタが合同練習に初参加してきている。シュート練習もそれなりにこなし痛みを感じないほどまで来ているというから二人ともクラシコ出場には問題ないのだろう。もしこのまま順調にいけばロナルドのスタメンは間違いない、が、バティスタはベンチスタートで後半出場ということがじゅうぶん考えられる。
エルゲーラ(99%出場可能)、ジダン(99%出場可能)、バティスタ(80%出場可能)、ロナルド(90%出場可能)、グティ(99%出場可能、でも監督次第)、グラベーセン(40%出場可能)とカピタン予想。

[ 参加選手 ] クチカル、ロビーニョ、ボダフォーン、パボンちゃん、ブラボちゃん、グティ、エルゲーラ、バティスタ、ロナルド、グラベーセン、ジダーン、その他名前知らないカンテラ選手多数

[ 不参加選手 ] カシージャス、サルガド、ラモス、ラウル、パブロ・ガルシア、ディオゴ

[ クラシコ無理決定選手 ] ブッドゥゲー

 2005年11月17日 あと76時間
負傷者ゼロのビッグニュース

カタルーニャカップ準決勝がおこなわれたジローナには3日前から雨が降り続いていた。そのただでさえコンディションの悪いグランドで4時間以内に2試合をおこなうという最悪のスケジュール。しかもナスティック・バルサ戦はその2試合目となった。小雨が降り続く寒いスタディアムで最悪を通り越したとんでもない状態のグランドで負傷者が一人も出なかったことが6−0という結果より嬉しいニュースだ。

エドゥミルソンとデコは前半の45分だけプレーしているが、ジョルケラとロドリというクラシコには出場しない選手をのぞくとモッタ、ガブリ、ラルソン、マクシ、エスケロという5人の選手が90分間の労働を強いられている。この5人の中でスタメン出場を予想されるモッタが90分プレーしたということは、フィジカル面の様子を見るためなのか、あるいは45分だけしかプレーしなかったエドゥミルソンがスタメン予定選手なのか、そのことに関しては試合後の記者会見では触れないフラン・ライカー監督。いずれにしてもモッタはほぼ体調が戻ってきていることを証明した試合となった。

*試合結果はこちらから

 2005年11月16日 あと82時間
ジュリーの予想、0−2か1−2

個人的な願望としてはメッシースタメンなれど、いつも通りジュリーの先発となってもそれはそれなりに納得しなければならない。メッシーは代表戦に招集されてほとんど合同練習に参加していない。一方ジュリーはと言えば居残り組となっているからフィジカル的にも万全の体制だ。ジュリーのスピードでクチカルの攻撃面を抑えたいという監督の思いもあるだろうし、相手が疲れを見せてくる後半に入ってからメッシーを投入したいとも思っているだろう。そして何よりも、このクラシコという晴れ舞台でスタメンに選ばれることは、選手にとって監督からの大いなる信頼感を得ている証拠ともなる。後半に入ってからベンチに下げられることの多いジュリーにとって、この試合でのスタメン出場はこれまでの仕事に対してのプレミアとなるだろう。

親善試合には呼ばれなかったのでクラシコに向けてじっくりと調整ができたと思いますが・・・

クラシコに出場するかどうかは監督が決めることだし、普段通りに“次の試合”に備えてという気分で練習してきている。日常生活でもあまりクラシコのことを考えないように、スポーツ新聞やテレビのスポーツニュースもほとんど見ていない。緊張感で眠れなくなったら困るからね。

スタメンはあなたになるか、あるいはメッシーになるか・・・

そんなことは監督が決めることだし、もっとも重要なことは誰がスタメンで出場しようと勝負に勝つこと。しかも自分とメッシーではポジション的に同じでもプレー内容は違うから、監督がまず何を目標にしていくかでスタメンが決まるだろう。メッシーは右エストレーモというよりはデランテロだし、エトーとポジションチェンジをすることが多い、自分の仕事はそのデランテロやラテラル選手の補助に入ることも含まれている。ということは試合中ほとんど走り回っていなければならないということさ。バルサに来てからはまだ統計をとったことがないけれど、フランスにいたころには毎試合12キロ前後走っているという資料をもらっている。

デランテロではないあなたがゴールを決めると、他の選手が決めたとき以上に選手が集まって大喜びしている風景が見られますが・・・

それは自分がチーム一番のチビだからさ。どこにいても仲間一番のチビというのはかわいがられるもんなんだ。しかも自分はデランテロじゃないし、普段はゴールを決める選手にセンタリングを送ったり、あるいは守備の面で手助けをする役目だから、そういう選手がゴールを決めると仲間は嬉しいんだろう。自分もプジョーやオラゲールがゴールを決めたときには嬉しかったもん。

しかもあなたは後半にはいるとベンチに下げられる選手だし・・・

そう、昨シーズンはイニエスタ、今シーズンはメッシーというようにね。でもそれは仕方がないことなんだ。選手によってプレースタイルというのに違いがあるけれど、自分のそれは非常にフィジカルが必要になるもの。年間60試合や70試合戦うとすれば、とてもじゃないけれど毎試合90分間プレーできる体力は持っていない。だからプレーステージの段階ですでに監督と話し合い済みなんだ、そのテーマに関しては。もし毎試合出場するようなことがあれば、とてもじゃないけれど自分は90分間プレーし続けることはできない。せいぜい60分間ぐらいが限度だって監督に言ってある。モナコでプレーしていたときはチャンピオンズの前のリーグ戦試合には20分だけプレーするような習慣になっていた。もちろんどんな試合でも90分間プレーしたいと思う。でも週に2回も試合があるようなスケジュールで90分プレーできるほどタフじゃないんだね、俺は。

メッシーとはうまくいってますか・・・

もちろんさ。彼は18歳だけれど、自分がデビューしたのは同じような年齢だった。バルサみたいな大きなクラブではなかったけれどそれなりのプレッシャーを感じていたのも覚えている。彼は非常に控えめな少年だけれど、人の話を聞く良い習慣を身につけている。アウエーの試合なんかでの食事ではいつも一緒のテーブル。ロナルディーニョ、デコ、エトー、シルビーニョ、エドゥミルソンなどが一緒にいていつも聞き役に徹している。バルサでは24人の選手がみんな友達だけれど、メッシーはその中でも親しい選手の一人と言える。

クラシコでの予想を・・・

自分のパスでまずエトーがゴールを決めて、2点目はロナルディーニョのフリーキックゴール。ということで0−2か1−2で我々の勝ちだな。それとジダーンのユニをもらってくることを忘れないようにしないと。息子のディエゴに頼まれているんだ。

 2005年11月16日 あと94時間
火曜日の練習風景

■バルサ!
カタルーニャカップ準決勝ナスティック戦に招集されなかったメンバーが中心となっての寂しい練習風景。つまりロナルディーニョ、エトー、マルケス、ジュリー、ジオ、そしてリハビリ最終段階に入っているベレッティとリハビリ途中のダミア。彼らに加えてデコとバルデスが自主参加してきている。昨晩帰ってきたマルケスは昨日の練習前に顔をだしたものの自宅に帰ってしまったのでこの日の練習がクラシコに向けた最初のものとなった。

[ 参加選手 ] バルデス、ジュリー、エトー、デコ、ベレッティ、ジオ、ロナルディーニョ、マルケス、ダミアの9人

[ 不参加選手 ] 大勢

[ クラシコ無理決定選手 ] ダミア、ボメル

■マ〜ドリ
自前練習場バルデベバスを利用しての2回目の練習。フロレンティーノ・ガーデンとも呼ばれ世界最高の規模を誇る練習場らしいが、照明灯を付ける予算がなかったのか夜になると自然環境のまま真っ暗な中で練習している昨日の風景がニュースで流れていた。したがって当分は夕方までのみの練習となる。ロナルドとバティスタの二人は組になって走り込み、その後はジムでのリハビリ。友達がいないグラベーセンは一人で走り込み。その他大勢は寒いから固まって走り込み。エルゲーラ(99%出場可能)、ジダン(99%出場可能)、バティスタ(70%出場可能)、ロナルド(80%出場可能)、グティ(99%出場可能、でも監督次第)、グラベーセン(50%出場可能)とカピタン予想。

[ 参加選手 ] クチカル、ロビーニョ、ボダフォーン、パボンちゃん、ブラボちゃん、グティ、エルゲーラ、バティスタ、ロナルド、グラベーセン、その他名前知らないカンテラ選手多数

[ 不参加選手 ] カシージャス、サルガド、ラモス、ラウル、パブロ・ガルシア、ディオゴ

[ クラシコ無理決定選手 ] ブッドゥゲー

ちなみに、前回メッシーの夢物語のところでガスパーについて触れたが、さっそく「わたしを呼びました〜?」とばかりメディアに登場してきている。ホテル王であると同時にメディアお騒がせ王でもある彼だから、メディアに登場してきても不思議ではないが、RFEFの副会長というのは普通はメディアには登場してこない。だがそこはガスパー、ここぞとばかり言いたいことを言ってくれている。

「第三者が何と言おうとメッシーは試合に出場できる。彼の出場を喜ばない人たちがいたとしても彼は試合に出場できる。選手のライセンスを審査するのは我々RFEFという組織のみであり、その我々がプレーできると判断しているのだからこれほど確かなことはない。したがってメッシーが試合に出場するかしないか、それを決める権利を持っているのは監督のフラン・ライカーだけだ。」
これ以上明らかなことはない。LFPがいかに執拗にメッシーを“問題化”しようとも、それは無意味なことだと主張する我らがガスパー副会長。

「それにしても理解できないことは、何故LFPはしつっこくもメッシーを問題化しようとするのか。そもそもアラベスの関係者であるハビエル・テバス氏というのは何者なのだ?バルサとアラベスとの試合でもなく他のクラブとの試合だというのに、何故そんなに執拗に関心を持って“無効試合”を要請したりするんだい?まさか彼の後ろに第三者などがいるとは思えないが、例え第三者がいたとしてもそれがレアル・マドリであるわえけはないだろうと信じている。紳士のクラブであり多くのクラック選手がいるクラブが、メッシーの出場などを恐れることなんかあり得ないだろうから。」

 2005年11月16日 あと100時間
夢見るレオ・メッシー

いま話題になっている“メッシー問題”やメディアが語る“戦争”に触れるほど暇でもないし、細かく触れると非常に長くなるのでチキートコーナーに書くことがなくなったときにでも素材としてみよう。ただここでは一人の興味深い人物を紹介してみる。メレンゲシンパにしてフロレンティーノと関係が強く、アラベスの代表者の一人であり同時にLFPの副会長を務めているハビエル・テバスというのがその人だ。このテバスというパラノイアおじさんがこの騒ぎの主役の一人と言っていい。もうかなり前のことになるが、この騒ぎはアラベスがLFPにメッシーの非合法性を訴えたことからスタートしている。訴えたのはこのパラノイアおじさんだ。アラベスの代表者が自ら副会長を務めるLFPに訴えたということは、訴えた当人がその問題を審査するという素っ頓狂な事態を生むことになる。そしてこのパラノイアおじさんをまるで操り人形のように後ろで操作しているのがフロレンティーノだと言われても、なまじっか根拠のないことでもない。LFPというのはフロレンティーノの影響が非常に強い組織であるし、メッシーの合法性を主張しているRFEFというのはガスパーが副会長を務めていることからもわかるようにバルサの影響が強い組織だ。したがってこの二つの組織が事あるごとに対立するのは当然のことでもある。

だが、パラノイアおじさんたちがどんなに騒ぎ立てようと、レオ・メッシーは少しもそんなことを気にしていない。結論は見えているし、スペイン国籍を持っている彼は誰が何とイチャモンとつけようとリーガの試合に出られることを知っているからだ。そして今夢見るのは彼にとって初のクラシコ出場だ。

「ベルナベウに到着し試合前の練習に入ると、もうすでに観客席はクラシコという雰囲気だ。普段の試合前とは比べものにならないほどの騒音が聞こえる。こういう雰囲気は大好きだ。ホームであろうとアウエーであろうと、こういう雰囲気は普段以上に自分を奮い立たせてくれる。まるでアルゼンチンでフットボールをしているような気さえしてくる。何たってアルゼンチンフットボールのプレッシャーはどんな試合でさえ凄いものがあるし、そのプレッシャーを感じるのは大好きなことだ。何か自分にエネルギーを注入してくれるような気がしてくる。人種差別的な怒鳴り声が聞こえるが、どこのスタディアムであれそういう人はいるし、それはごく少数のファンに過ぎない。でもヘタフェのスタディアムはひどかった。デコと一緒にラインに沿って走り体を温めているとき、審判が笛を吹いて試合をストップさせた。その瞬間デコが『ひどいなここは』と独り言のように言っていた。そう、あのスタディアムは本当に最悪だった。」

「さあ、いよいよ試合が始まる。自分はスタメンの11人の中に入っている。誰よりも活躍しているジュリーには申し訳ないけれどこの試合は自分がスタメンだ。もちろんこのことで彼との仲が悪くなることなんてないさ。彼とはとてもうまくいっているんだから。でもこの試合だけは自分がスタメンなんだ。そしていつものようにロナルディーニョと抱き合って連帯感を高める。すべての選手と同じことをしてモチベーションは更に高くなる。ロナルディーニョ、プジョー、エトー、デコなどが大声で叫び、気合いが入っていく。うん、良い雰囲気だ。試合の笛が吹かれた。いきなり激しいあたりがやって来る。彼らの闘争心に負けずと我々も激しいプレーで応酬だ。お互いに何回かのゴールチャンスがやって来るがゴールまでにはいたらない。そして前半が終わろうとしている瞬間、何回めかのボールが自分にやって来た。しかもシュートが狙える位置だった。シュート!Gooooooooooooooollllllll、0−1だ。どうやってゴールしたのかは全然覚えていない。目を開いた瞬間、ボールはカシージャスを抜いてゴールネットに突き刺さっていた。」

「審判の笛が吹かれて前半が終了した。我々は選手控え室に戻っている。監督がこれまでの45分間の試合分析をしながら我々に注意事項を語っている。彼は普段の試合通り非常に冷静な感じだ。そして15分がアッという間に過ぎ、再びグランドへと向かう。」

「前半とはまったく雰囲気が異なる後半が始まった。なぜならマドリが攻撃に出てきたからだ。猛烈な勢いで我々を攻めようとしてきている。我々にとって苦しい瞬間でもあり同時にチャンスでもあった。彼らの後ろの方のスペースが空いたからだ。それが2点目へとつながった。誰がゴールしたかって?エトーだったかロナルディーニョだったか、とにかく彼らの一人さ。これで0−2、勝てる試合展開だ。彼らの必死の攻撃が続くものの、バルデスがすべて巧妙に処理していく。試合終了の笛が鳴り、これで我々は3ポイント獲得。相手がどこであれ勝利の3ポイントは変わらない。だが、この試合に限って言えば、この勝利は3ポイント以上の重さがある。最大のライバルを相手グランドでやっつけたんだ、これ以上素晴らしいことはない。この試合で何が一番嬉しかったかって?それはもちろんチームの勝利さ。自分のゴール以上にチームの勝利がとてつもなく嬉しい。そして個人的なことで言えば、ジダーンを相手にしてプレーできたこと。これまで自分が見てきたフットボールで最もエレガントなプレーをしてきたジダーンという選手と戦ったこと、これは信じられないぐらい感動的なことだった。」

「クラシコに勝利しバルセロナへと戻る我々。みんな最高の表情をしている。自分も最高に嬉しい。そしてほんのチョットした復讐ができたことになる。フベニル時代にミニクラシコを戦ったんだけれど、あの時は負けてしまった。でも、そんなことはこれで一つの思い出として残るだけになるだろう。なぜなら本物のクラシコに勝利したんだから。」

 2005年11月15日 あと106時間
チケットはありません!

サンティアゴ・ベルナベウに収容可能な8万枚のチケットはすでに入手不可能となっている。6万6千人の年間席所有ソシオはもちろん観戦の権利があるものの、単なるソシオには2千枚のチケットしか配分されない。そしてシャトル便に乗ってマドリッドに殴り込みをかけるバルセロニスタにはわずか630枚しか配分されていない。残りはVIP客、マドリ・ペーニャ、選手を含めたクラブ関係者に当てられる。

例年のごとくクラシコとなるとチケットの入手が難しくなるが、今年のクラシコは特別だそうだ。メレンゲチケット関係者によれば、すべてのソシオやマドリディスタの夢を叶えるには20万人収容ぐらいでないと可能とならないと予想する。普段のベルナベウクラシコであれば当然ながらマドリ有利の予想がされるにもかかわらず、今回のそれはバルサ有利の声が多い。決して快調に飛ばすマドリではなく勝利の確率が高いわけでもないのに、なにゆえこれほどのマドリディスタがこの試合に注目するのか。それは今シーズンのリーグ優勝は不可能っぽいじゃ〜ん、とすでに悲観的にも沈み込んでいる多くのマドリディスタがいるからだ。その彼らにとっては、このベルナベウクラシコに勝利することのみが今シーズンの最大のハイライトと感じられるからだろう。例年のごとくスタディアムの観客席には白い紙が用意されている。選手達が入場してくるときに降参表示をする例の白紙だ。だが今回のクラシコには白いハンカチも個人的に用意してくることがじゅうぶん予想されるものとなっている。

 2005年11月15日 あと118時間
月曜日の練習風景

■バルサ!
先週末は完全フリータイムとなっていたため久しぶりとなった練習が月曜日18時からおこなわれた。もちろんクラシコに向けての練習だが、その前にナスティックとのカタルーニャカップ準決勝が火曜日におこなわれるためその準備も兼ねている。

[ 参加選手 ] バルデス、ジョルケラ、オラゲール、シルビーニョ、ガブリ、エスケロ、モッタ、ジュリー、イニエスタ、マクシ、ラルソン、デコ、ベレッティ、エトー、ジオ、エドゥミルソン、ロナルディーニョ、その他大勢カンテラ選手

[ 不参加選手 ] ダミア、ボメル、チャビ、プジョー、マルケス、メッシー

[ クラシコ無理決定選手 ] ダミア、ボメル

選手を見る目がない代表監督のおかげで今回は代表招集とは無縁となった選手たち、つまりバルデス、ジョルケラ、オラゲール、シルビーニョ、ガブリ、モッタ、エスケロ、ジュリー、イニエスタ、マクシ、代表戦そのものがなかったラルソン、リハビリ帰りのデコやベレッティに加え、お国奉仕から戻ってきたジオ、エドゥミルソン、ロナルディーニョなども参加してきている。マルケスはバルセロナに到着したばかりでお休み、そしてなぜかエトーの顔も見られた。カタルーニャカップにはロナルディーニョ、エトー、ジュリー、ジオ、マルケス、そしてベレッティはお休みという予定。

■マ〜ドリ
2年間にわたって他人の家の庭を借りて練習していたマドリがついに自前の場所を確保し、もう誰にも遠慮しないで練習できるようになった。ラ・シウダー・デポルティーバ・デ・バルデベバス、長ったらしいから単にバルデベバスと呼ばれる壮大な敷地を利用しての新たな自前練習場で初練習日となった。

[ 参加選手 ] クチカル、ロビーニョ、ジダーン、ボダフォーン、パボンちゃん、ブラボちゃん、グティ、エルゲーラ、バティスタ(10分間ボール遊び)、ロナルド(10分間ボール遊び)、グラベーセン(10分間走り込み)、その他数人

[ 不参加選手 ] カシージャス、サルガド、ラモス、ラウル、パブロ・ガルシア、ディオゴ

[ クラシコ無理決定選手 ] ブッドゥゲー

カシージャス、サルガド、ラモス、ラウルのスペイン組は水曜日の楽勝試合を終えてから帰国し、木曜日の練習には参加してくる。パブロ・ガルシアとディオゴのウルグアイ組は水曜日にシドニーでおこなわれる試合に出場したあとスペインに向かい金曜日の午後に到着する予定。エルゲーラ(99%出場可能)、ジダン(99%出場可能)、バティスタ(70%出場可能)、ロナルド(70%出場可能)、グティ(99%出場可能、でも監督次第)、グラベーセン(70%出場可能)と勝手に予想。

 2005年11月15日 あと124時間
イトゥラルデ・ゴンサレス審判

1967年2月20日ビルバオ生まれのバスク人審判。1995−96シーズンにデビューしたというから、11シーズン目をむかえるベテラン審判と言える。各シーズンが終わるたびに一部リーグに所属するすべての選手と監督によって選ばれる“最優秀審判賞”を5年連続獲得している審判でもある。だが妙なことにこれまでクラシコの笛を吹いたことは一度しかない。しかもベルナベウクラシコは今度が初めてのこととなる。

1998−99シーズンのカンプノウでのバルサ・マドリ戦が彼にとって今まで唯一のクラシコだ。ガッツやリーボーマンのゴールで3−0というスコアでバルサが勝利した試合だが、この試合で印象に残るのは彼らのゴールよりメレンゲ・クチカルを赤紙一発で退場処分にしたことだ。注目カードの審判を務めるキャラクターはじゅうぶん備えているし、スペインの審判としては珍しく試合中に選手との会話を拒否しない審判でもある。そこらあたりが選手や監督に評価される要素となっているのかも知れない。そして思ったことをそのままメディアに語るバスク人らしい実直な審判としても知られている。
「スペインのフットボールを含めてラテンフットボールの選手達は、常に審判をごまかそうとする傾向がある。そういう意味ではラテンフットボールは最もスポーツ精神に欠けているものだと思っている。そういう傾向がある中で笛を吹いているスペインの審判は、誤審問題を常に派手に扱うメディアが考えているよりずっとレベルの高いものだと信じている。このフットボールという世界で最も弱い立場にあるのは常に審判であることは理解しているが、正しい評価がされているとは思っていない。」

ちなみに審判批判に関しては定評のあるメレンゲオフィシャルページはこのところ沈黙を守っている。マドリメディアに務めていたあるジャーナリストが昨シーズンからオフィシャルページの最高責任者となってから、ただでさえ品のなかった内容が更に下品となり、まるでウルトラスルの関係者が制作するようなものとなっていた。だが、ここのところ非常に冷静で落ち着いた内容となってきている。この変化はバレンシア戦でありもしないペナルティーをもらってからで、更にサラゴサ戦で2回のペナルティーをいただいてからは審判万歳ページと変化してきている。これまでの試合でペナルティーをもらう数が最も多いクラブとなっているから当然といえば当然だ。

 2005年11月14日 あと130時間
レシャックとデル・ボスケ

カルラス・レシャックはバルサカンテラ育ちでプロ選手としてバルサで活躍し、現役引退後はインフェリオールカテゴリーで監督をした後、Aチームのサブ監督を経て監督を経験した人物。そしてデル・ボスケは、バルサという文字をレアル・マドリと変えればそのまま通用する、レシャックと経歴を同じくする人物だ。ついでに失業中というのが現在の彼らの共通したことでもある。その彼らが暇にまかせてベルナベウクラシコの予想をしている。

「マドリとバルサのポイント差が1ポイントということからも見られるように、今回のクラシコは非常に接戦が予想される。」
誰もが知っているようにデル・ボスケという人物は非常に真面目であり、どんなインタビューであっても常識的なことに徹し、決して冒険的な発言をすることはない。したがって彼から面白い発言を得ようとするのは不可能に近い。一方、レシャックといえばジョークの固まりのような人物であり、同時に本音をしゃべってしまう面白おじさんだ。
「純粋にフットボールの観点から見れば明らかにバルサがマドリを上回っている。予想される試合展開は、試合そのものが落ち着くであろう前半15分ぐらいからバルサがボールを好きなように支配することになるだろうと思う。まあ、常識的に、支配率60%程度というところだろう。いや、これは間違いないよ。」
だが、と続けるレシャック。
「実は昨シーズンのベルナベウクラシコでも同じ予想をしているんだ。だが終わってみれば4−2でマドリの勝利となってしまった。なぜ予想が外れたか、それはフットボールの試合だからさ。笛が吹かれてボールが転がっちまえば予想を覆すことはいくらでも起こる世界だからね。何たってボールは丸いんだから。」
こういういい加減な感じのする人物は好きだ。

いかにマドリディスタのデル・ボスケとはいえ、バルサのフットボール展開の優秀さに関しては疑いの余地を挟まない。
「確かにバルサはこれまで素晴らしい戦い方をしてきている。そして相手チームより優った戦い方をしたチームが試合に勝利することが多いのも確かなことだ。だがマドリの方も試合内容がイマイチとはいえ結果を出してきている。負傷者が多いにもかかわらず苦しい試合を勝ち抜いてきている。そういう意味で非常に接戦が予想されると思っている。もっとも、我々は地元で戦うという“地の利”を持った試合だし、昨シーズンも試合前の予想ではバルサ有利と言われながらもやはり我々が勝利することができた。」
レシャックにしても良い試合をした方が勝利する可能性が多いと信じる一人だ。
「良い試合展開をすれば普通は勝つんだ。だが普通ではないときもあるし、予想外のことが起きることもある。だから勝負は面白いんだな。もっともバルサが良い試合をして負けたとしてもシーズンが終わってみればマドリには10ポイントや12ポイントぐらいの差を付けて勝っているだろう。いや、これは間違いのないことさ。お互いのこれまでの試合内容を分析してみれば素人にもわかることだろ。」

どういう試合結果になるかと言うことに関しては両者とも具体的には触れないものの、どういうことがキーポイントになり得るかということに関して語っている。
「こういう試合でキーポイントとなるのはデランテロとポルテロと決まっているんだ。どちらのデランテロが効率的にゴールを奪い、どちらのポルテロが神業的な仕事をするかっていうようにね。たぶんマドリには3回のゴールチャンス、我々には8回のゴールチャンスが訪れるだろう。」
と、レシャックが占い師のように語れば、デル・ボスケも珍しく興味深いことを語る。
「バルサのキーポイントとなる選手はメッシーだと思っている。あの年齢にしては完成度が高い選手だし、何よりも常に相手ゴールを脅かすことができる魅力的な選手だ。スピードはあるしその変化の付け方も素晴らしい、驚くことにグランド全体を見渡せる目を持っている。彼をロビーニョと比較する人がいるが、私はラウルと比較したい選手だと思う。ラウルがデビューしてきたときのインパクトに非常に近い選手だし、デビューして間もなく成功の道を歩み始めた選手として似たようなところがある。」

レシャックとデル・ボスケの選手時代のクラシコ対決は10回あり、4勝4敗2分けという引き分けの結果となっているがレシャックが4ゴール決めているのに対しデル・ボスケは0ゴール。そして監督としてのクラシコ対決はデル・ボスケの2勝2分けとなっている。

 2005年11月14日 あと148時間
フロレンティーノとエトー

ビジネスの世界とフットボールの世界、お互いに緊密な関係を持つとはいえ、ビジネス界での成功がフットボール界での成功を約束しないことも確かなことだ。レアル・マドリの会長に就任する前にすでにスペインで五本指に入るほどのビジネス界成功者として褒め称えられていたフロレンティーノ・ペレス、彼はレアル・マドリという“会社”にも多くの利益を与えることに成功している。元政治家でありバリバリの超エリートビジネスマンである彼はそれまで蓄えてきた多くの政治的なコネを駆使して、クラブが所有する土地を破格な値段で市に売り払うことに成功し、そして今回、中央メディアの語ることをそのまま信用するとすれば、年間2千万ユーロを提供してくれるユニスポンサーを獲得している。アドバルーンばかり打ち上げながらもいまだにスポンサーを見つけられない我がバルサの会長であり、会長に就任する前の何年間か日本領事館で新聞の切り抜きをしていた“弁護士”ジョアン・ラポルタとはビジネスの世界では大きな差をつけている。だが、それでも、その差がフットボール界での違いを見せることを意味しない。それどころか我らが会長ラポルタが大きくフロレンティーノを上回っていると言ってもいいだろう。

メレンゲ会長フロレンティーノが犯した大きな誤りは少なくても4つあると言われている。一つ、デル・ボスケ監督を放出したこと、二つ、フェルナンド・イエロをクラブに引き留めなかったこと、三つ、マケレレを放出してしまったこと、そして四つ目、それはサムエル・エトーを売却してしまったことだ。

サムエル・エトーのバルサでの活躍は、フロレンティーノだけではなく多くのマドリディスタにとってズシーンと心と体に重く響くものに違いない。マドリのカンテラであった選手であり、しかもその選手がクラブの最大のライバルチームで活躍している事実はとてつもなく苦々しい状況だ。ペセテロをバルサから奪った時には6千万ユーロも必要だったにもかかわらず、エトーを売ったことによる経済的な利益は1千万ユーロにしか満たないというのも心が痛くなる。ロナルド、クチカル、サムエルという3人の外国人籍選手を抱えているからエトーを引き留められなかった、という理由を聞かされて納得したメレンゲソシオ。だが実はアルゼンチン選手サムエルはEUパスポートを持っていたという事実がインテルに放出後発覚したことにより、もう心だけではなく胃や腸や頭や足までズキズキと痛みが走ることになる。したがって元マドリ会長のロレンソ・サンスが次のように語るのも単なる“野党“勢力の発言とするよりは、多くのマドリディスタが思っている一般的な発言とする方が正しいだろう。
「サムエル・エトーをクラブから放出したこともさることながら、我々の最大の敵であるクラブに売ってしまったことはフロレンティーノ政権の最大の過ちとして記録されることになるだろう。」
エトーがバルサの選手として獲得した43回のゴールは、それと同じ回数でフロレンティーノやマドリディスタにズシーンと突き刺さっているのだ。

これまで多くの元マドリ選手が、それも計算外選手としてクラブを追い出された選手たちが、マドリ戦で決定的なゴールを奪っていることがフロレンティーノやマドリディスタの頭痛のタネとなっているが、エトーのそれは他のどの選手のゴールよりも体を深くえぐるボディーブローとしてドシンとダメージを与えるものだ。今シーズンすでに11試合で10ゴールを決めているエトーであり、マジョルカ時代からマドリ戦となると必ずゴールを決めるエトーでもある。ベルナベウクラシコがおこなわれるたびに、エトーの存在がフロレンティーノ危機へと迫る。

外国人問題とは別にフロレンティーノはアス紙の編集長とのインタビューで、エトー売却問題について次のように語っている。エトーのバルサ入団が決定した翌日のことだ。
「確かに我々はすでに外国人選手を3人抱えているという事情がある。また彼らの変わりにプレーさせるほどの選手でもないという認識もさることながら、それとは別に選手個人のキャラクター問題も考えてのことだ。これまで知っている彼の性格から、彼の移籍はバルサベンチに送った爆弾みたいなものと我々は評価している。」
マドリカンテラ時代に同僚選手や監督と揉めたことが何回もあったり、レンタル先のマジョルカでも同じようなことが繰り返されたことを示しての発言だ。もちろんエトーはこの発言をメディアを通して知ることになる。もともとフロレンティーノとは犬猿の仲とまではいかないものの良い関係ではなかった彼だ。昨シーズンの優勝フィエスタでマドリに対する品のないシュプレヒコールをしたことを正式に謝罪したエトーだが、フロレンティーノに対する憎悪そのものはそのシュプレヒコールそのままだ。

“Madrid, cabron, saluda al campeon !”
“Madrid, cabron, saluda al campeon !”
“Madrid, cabron, saluda al campeon !”
“Madrid, cabron, saluda al campeon !”
“Madrid, cabron, saluda al campeon !”
“Madrid, cabron, saluda al campeon !”

カブロンどもに再びゴールをぶち込み、カンペオンである我らに頭を下げさせよう。バモス!サムエル・エトー!