5月22日




バンガール白書

バンガールに時間の余裕はない。ワールドカップ開催はもう目の前まで迫って来ているし、移籍選手市場も時間の経過と共に刻々と狭まってきている。しかも金曜日にはオランダに行かなければならない彼にとって、仕事始めとなった昨日(火曜日)を含めて72時間以内に基本的な「バンガール白書」を作成しなければならない。残るは今日と明日の48時間。この時間内に基本的な「放出選手」リストと「獲得選手」リストを作成しようとしている。バンガール白書の基本的な骨組みはすでに決まっている。それを元にこれからの2日間で「放出・獲得選手リスト」を作成しようとするバンガール。では彼の考える基本的な骨組みはどのようなものか。

1.一部リーグ選手数は20人。これにカンテラから5人を加え、常時必要に応じて一部に召集する。ババンジーダ、イニエスタ、ビクトール、ナバーロ、トルトレーロがその5人の候補選手。

2.契約が残っている選手は基本的にバルサに残る。アベラルド、セルジ、デブーの契約切れとなる選手に関しては。これからの話し合いで最終的な結論を出すが、基本的に前者の2名はプランに入っていない。

3.どうしても必要な補強選手のポジションは「9番」とセントラール。このポジションの選手の獲得のためには、リバルド、クライハートの放出も止む終えない。

バンガール白書作成のための第一日目がスタートした。初日となった昨日、朝の10時30分にカンプノウにあるオフィスに2年ぶりに入室。それから延々9時間に及ぶ各セクションの責任者との話し合いがおこなわれた。まず最初の会合はクラブディレクターのファルゲールとのもの。そしてクラブ代理人のカルロス・ナバール、最後にクラブ下部組織の責任者であるリフェとの会合。これらの会合の目的は明らかだ。上に示した3つの基本的アイデアを具体化させるための情報収集。クラブが抱える経済的問題や7月から始まるプレシーズンの準備、そして下部組織の現状をさらに把握するためのものであった。

クラブディレクターのファルゲールとの会合は約1時間おこなわれている。ファルゲールは現在クラブが抱えている経済情勢をバンガールに報告すると共に、バンガールの方からは補強選手獲得における経済的観点からの可能性を問いただしていいる。そして彼の補強アイデアはすでに具体化されている。「9番」とセントラールの補強。現在の段階で候補に上がっているクレスポの獲得には経済的にどれくらい資金を捻出できるのか、そして同時に誰を交換選手として用意できるのかなどの話し合いとなった。交換要員としてのクライハートの可能性も検討された。またセントラールに関しては、契約切れとなる選手の問題も検討された。

午後におこなわれたリフェとの会合も、バンガールにとって重要なものだった。バルサと契約した段階から彼が持っていたアイデア、それは一部リーグの選手を20人ほどに絞り、残りの4、5人はカンテラから必要に応じて召集するというものだった。それが可能となるようなカンテラが現在のバルサBに存在するかどうかを下部組織責任者であるリフェとの会合で確認しなければならない。もちろんバンガールはバルサBの状況には詳しい。だが彼らと常に一緒だったリフェの意見は彼にとって大事なものであることは間違いない。3時間近くおこなわれたこの会合で少しずつ「バンガール白書」が煮つまってくる。まずキーパーの補強はそれほど必要ない事柄となった。すでにいるボナノをメインにし、カンテラにはビクトールがいる。必要ならばドゥトゥエルを起用できる。カンテラディフェンスにはナバーロトルトレーロ、中盤にはイニエスタ、右ウイングにはババンジーダがいる。

今日のバンガールのスケジュールは昨日にも増して詰まっている。午前中にテクニカル・スタッフの責任者であるレシャックとの会合、そしてトレーニングコーチであるパコ・セイルーロ、キーパーコーチであるフランス・ホック、ドクター主任のボレールなどの会合だけで午前中のスケジュールがこなされる。そして午後にはドクタープルーナやセラ・フェレールとの会合などをメインとして、最終的なプランの作成をしなけらばならない明日に備えることになる。



クレスポ=リバルド+2千万ユーロ

バルサがラッチオに出したオファーがこれだ。そして今ラッチオはこのオファーの検討に入っている。だがこのバルサのオファーも最終的にはバンガールの承認が必要となる。それはあと48時間以内に決定されることになるだろう。

このオファーはすでにバンガール監督就任以前にラッチオ側に出されていたものだ。クレスポの獲得と共に、リバルドの交換要員という条件にはもちろんバンガールの最終的なゴーサインが必要となる。だがあらゆる観点から想像できることは、「9番」の必要性を強調するバンガールはクレスポの獲得に反対はしないだろうし、またリバルドの放出に関しても異論を唱えることは考えられない。

ラッチオはクレスポの移籍料を5千万ユーロとしている。そしてバルサはリバルドのそれを3千万ユーロと見積もり、残りの2千万をキャッシュでというオファーになっている。イタリアの多くのクラブがそうであるように、ラッチオもまた財政的問題を大きく抱えているクラブだ。クレスポの放出はしょうがないとして、彼を利用した大きなビジネスをしなければならない状況である。ラッチオが検討している問題の一つは、リバルドに支払わなければならない超高額な年俸がある。それはクライハートを交換要員として提供されたとしても同じ問題が生じてくる。ラッチオの会長クラグノッティが考え込むところはここにある。

クレスポの代理人であるグスターボ・マスカルディはすでにヨーロッパに来ている。遅くとも今週末にはバルセロナ入りをすると思われる。彼はこのバルサのオファーを認めるものの、他にもいくつかのクラブがオファーを出して来ている事実も認めている。
「我々は確かにバルサの出したオファーを受け取っているし、検討もしている。だがオファーはマドリも含めていくつかのものが私のところに届いている。そしてそれをすべて検討している最中だ。いずれにしてもクレスポはラッチオを離れることになるだろう。それは間違いないと思う。だがマドリに行くか、バルサに行くか、それは時間だけが解決することだ。」


プジョー、バルサ新オファーにノー

スペイン代表選手として韓国に出発するわずか数日前に、バルサが最終的に出してきた新契約の内容にプジョー側がノーと言っていることがわかった。これまで4か月間にわたっておこなわれてきたプジョーの契約更新問題だが、クラブ側が提示してきた内容に納得がいかないプジョー側だ。

現在プジョーの受け取る基本年俸は90万ユーロ。これに試合に出場した場合の報奨金として一試合1万2千ユーロが加えられる。この年俸だけを見れば現在のバルサ選手の中で彼の下をいくのはモッタとレイナしかいない。しかも彼とポジションを争うレイジンハーはその何倍もの年俸をとっている。そして彼の移籍料は2千4百万ユーロとされているこの契約は2004年6月30日までのものだ。そしてつい最近バルサが提示してきたというオファーは、もちろん契約条項は現在のものを上まわっているとはいえ、彼らには納得できないものだった。

バルサが提示してきた新契約の内容。それは年俸を現在のものに30万ユーロ上乗せた120万ユーロというもの。そして移籍料を6千万ユーロに値上げし、契約期間をさらに2年延長した2006年までのものとなっている。

プジョーはマスコミの前でいっさい契約に関することを語らない。したがって彼の心情を代表するのは彼の代理人であるラモン・ソストラスということになる。
「プジョーのことは多くの人が知っているように、彼にとって年俸の金額自体は問題ではないんだ。問題はクラブが彼をどのように評価しているかということだ。これまで4か月間も地道にクラブと交渉してきた、それでクラブが出してきた評価がこれでは彼も熱くなるだろう。正当に評価されていないと感じてもそれは仕方がないと思う。彼のところにオファーが来ているのは事実。具体的にはマンチェスターとユベントスから来ている。」

プジョーにとって幸いなことに、新監督に就任した人物が彼を誰よりも評価しているバンガールだということだろう。バンガールにとって補強選手獲得のために交換要員候補とならない数少ない選手のなかにプジョーがいる。いずれにしても動き始めたばかりのバンガールの仕事の中に、プジョーの契約見直しという項目も付け加えられることになった。