Giovani Dos Santos
ジョバニ

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07 - 08
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前半戦での各選手総括(下)
(08/02/09)

ジョバニ
残りのシーズンにどれだけ重要な存在となるのか、あるいは来シーズンからの新たなサイクル形成に必要な選手なのかどうか、そこら辺はわからないものの、これまでのところでは予想以上の活躍を見せている。彼個人としてはゴールをぶち込める頻度の高い右サイドがいいのかも知れないが、チームの一つの駒として考えた場合、ジョバニの適切なポジションは左サイド。これまですべてのバルサインフェリオールカテゴリーチームで示してきたように、彼はゴレアドールではなく最後のパスを得意とするタイプの選手。そしてバルサB以外、すべてのカテゴリーで左サイドを担当してきている。彼の違約金は3千万ユーロ。もしそれに近いオファーがあれば今が売り時。

「こちらカピタン」より


メッシーになりたい
(08/01/17)

ジュリーの偉大さが、彼がいなくなってから緩やかな上昇カーブとはいえ、徐々に認識されつつある。メッシー不在のいま、彼の代わりに右サイドデランテロを務めるのがジョバニ優先となっていることからも明らかだ。イニエスタは二つのポジションを同時に務めるほどスーパーマンではないし、ボージャンは右サイドの選手はなく、また、右方向に進む傾向が強いアンリを起用したとしたら、ラインを越えて観客席に向かってしまうだろう。したがって、ジョバニにとっても自然なポジションとは言えないものの、ライカーチームを構成している選手を秤にかけると彼となってしまうようだ。もし、ババンジーダというかつてのカンテラ選手がこの時代にバルサBでプレーしていたら、あるいはサンタマリアがいたとしたら、彼らもまた起用されていたかも知れない。それほど、右サイドの選手が不在していることになる。

そのジョバニが目標とする選手はメッシーだといつかのインタビューで語っていた。目標を持つことは良いとして、残念ながら彼はメッシーにはなれない。サンチアゴ・コンポステーラへの巡礼を50回繰り返そうが、伊勢神宮参拝を100回おこなおうが、ジョバニはメッシーにはなれない。左サイドのジュリーとなれば理想的だろうが、ポジション的に空きがないのであれば右サイドのジュリーを目指すしかない。足下へのボールを要求する選手ではなく、空いたスペースでいきいきとしたプレーを試みるタイプの選手へと成長するのが理想的だ。

バルセロニスタの間で異常人気となっているボージャンに比べれば、ジョバニは普通人気と言える。あの“スター気取り風”に見える仕草もマイナス面となってしまう。だが、問題は、クラブ関係者にもあまり良い印象を持たれていないことだろう。

バルサインフェリオールカテゴリーでプレーしているとき、父親とその取り巻き連中が必ずと言っていいほど観客席に陣取っていた。実際に会話してみるとそうでもないものの、単に外見だけで判断するとあまり雰囲気の良い連中ではなかった。いかにも“隣に住む若夫婦”という感じで夫婦そろって和気あいあいと観戦していたボージャン両親と比べると、まったくもって損なイメージを受ける連中だった。その損な連中が、ジョバニの年俸大幅引き上げ交渉でクラブともめているらしい。クラックなみの年俸を要求するジョバニ側と、Aチームに上がってきたばかりの選手としてのごく常識的な年俸オファーをだすクラブ側。そこへ来て、レアル・マドリも含め、イングランドのありとあらゆるクラブに“ジョバニ商品買いませんか?”というセールスをおこなっていると言われる選手代理人。良い噂を聞かないこの代理人と共に、ジョバニ周辺もまた良い噂が流れない。

第二のババンジーダやサンタマリアになる可能性も捨てきれない選手でありながら、第二のメッシーになれるかも知れないと誤解評価するクラブがあらわれるかも知れないまだ18歳の選手。クラブとしては、今年の夏こそまさに売り時だと考えてもおかしくないし、もう1年様子をみようという判断をしても不思議ではない。ジョバニがバルサでやっていけるかどうか、それはひたすらオラゲールなみの学習能力があるかどうかにかかっている。何と言っても、彼のあとには間違いなくバルサAチーム入りしてくるであろう、ガイという大物選手がいる。しかも、ボージャンと同じようにファンに好かれるタイプの選手。果たしてジョバニの将来はいかに?

「こちらカピタン」より


左足利き右サイド選手
(07/10/13)

  ーー前略ーー

そしていま、ジョバニが、やはり左足利きのジョバニが、同じポジションで何回か起用され続けている。メッシーとの違いは、このポジションは彼にとって初めてではないことだ。フベニルAとバルサBでそれぞれ1年間ずつこのポジションでプレーした経験を持つ。結果は・・・まったく結果のでない結果となった。モチベーションの不足という事実もあったことながら、相手ラテラル選手にしっかりと動きを研究されてしまった。10回のうち9回は左斜めに入っていく、その動きの傾向を読まれてしまった。残念ながら、その壁をぶち破る学習能力と、メッシーほどのテクニックは持ち合わせていなかった。

18歳という年齢のジョバニに一番光る素材は、フィジカル面の強さだ。それは、これまでたどってきたすべてのカテゴリーで証明されている。この夏、メキシコアンダーカテゴリーで試合をこなした彼は、そのまま夏休みもとらずライカーバルサのプレステージに参加してきている。若さがなせるワザだ。プレステージでの試合での活躍は、まだまだ体ができてきない仲間を味方とし、やはり同じようにプレステージ用フィジカルを持つ選手たちを相手にしたからこそ可能となった。周りの21人の選手たちがまだ50%前後であるのに、彼は100%の状態でプレステージの試合をこなしている。彼にとってこれからハンディとなるのは、周りの選手が100%の状態になってくるに従い、昨シーズンから一度もストップせずに今日まで走ってきたことことから、いつの日か疲労が襲ってくることだ。いかに若いとはいえ、それは避けられない。

これから少なくても10年間、バルサやスペイン代表の顔となるであろうと予想されるボージャンに比べると、ジョバニの将来は未知数だ。もちろん、バルサカンテラ組織が生んだ偉大な18歳選手であることには変わりがない。興味深いテクニックを持ち合わせていると同時に、スピードもあるしインテリジェンスもある。総合的に、才能あふれる選手であることは間違いない。だが、それでも右エストレーモとして、メッシーのようなプレーやゴールを期待するのは間違いだ。そもそも彼はゴレアドールではないから、シーズンをとおして10ゴール前後決めれば良しとする選手だ。バルサインフェリオールカテゴリーでもゴレアドールであったためしはない。

まだスタート台に立ったばかり。子供だましのようなプレー時間しか与えられていないボージャンよりはマシとはいえ、ジョバニにも多くの時間はまだ与えられていない。経験を積むためにいくつかのポジションを試すのも良いだろう。だが、彼にとって最高のシーズンとなったカデッテA時代のように、左エストレーモとして、パサドールあるいはアシスト役としてプレーすれば、非常に面白い選手となるような気がする。この左足利き選手は、左サイドという“常識的”なポジションでプレーさせるべし。

「こちらカピタン」より


ボージャンとジョバニ
(07/08/25)

2002年インファンティルBに上がってきたボージャン、そしてやはり2002年インファンティルAに上がってきてたジョバニ、幸運にもこの二人をこの年から見続けることができた。そして2007−08の今シーズン、二人ともライカーバルサチームの一員となっている。自然の移りと共に時が経過し、少年たちは若者となり、そして年寄りはさらに年寄りとなる。

昨シーズンにはバルサBで一緒にプレーするようになった二人の道のりは、同じようで微妙に違う。インファンティルカテゴリーからカデッテカテゴリーを経て、フベニルチームにまで上がって来るまでの活躍は、同じように素晴らしいものがあった二人だが、フベニルAチームとバルサBチームでは明らかに違いが見られた。ボージャンがどこのカテゴリーでプレーしても期待に応える活躍を見せたのに対し、ジョバニの活躍は例のU17大会でスポットを浴びて以来、成長が止まってしまったかのようだった。フベニルAで1シーズン、バルサBで1シーズンプレーしているが、決して褒められた内容ではない。どちらかというと慢心が目につくプレーが多かった。100%の力を出し切ることが見られなかった彼のプレー態度が、昨シーズンのバルサBの不振の原因の一つと言ってもいい。明らかなモチベーションの欠如、それが原因だと思われたが、今シーズンのライカーバルサチームに混じってのプレステージでの活躍が、その予想の正しさを証明してくれた。ミニエスタディに集まる知り合いのカンテラファンにはこれが気にくわない。

確かにここ2年間のジョバニに関しては、個人的にも不満タラタラだ。それは、ここ1、2年のロナルディーニョの悪いところだけをすべて見本としたような風景が見られたからだ。まず、走らない。ボールを争っても負傷を恐れるかのように足を突っ込まない。自陣がピンチの状態であろうとハーフラインを越えて下がったためしがない。ボージャニスタ(ボージャン派)がたくさんいるのに比べ、ジョバニスタ(ジョバニ派)が少ないのはそのせいだ。と言っても、それはカンテラの試合を見続けてきたファンの人々の間のことで、プレステージでの活躍を見て彼の素晴らしさを知ることになった人々には、ジョバニスタが大勢いる。

90年代の中頃に彗星のごとくデビューしてきたラウルを見る機会があった人なら、当時の彼の新鮮なプレーに今のボージャンをダブらせているだろう。運動量が誰よりも多く、決してあきらめると言うことを知らず、気がつけば相手のマークを外してゴール前に走り込んでいる選手。そして何よりも、チームが苦しいときに自ら上を向くだけではなく、周りの選手をも引っ張っていくリーダシップを持っていた。そのキャラクターを今のボージャンに見る。そしてこれまでのところ、ジョバニにはそれが見られない。これは事実。

昨シーズンの後半からバルサBに上がってきたボージャンだが、16歳という最年少選手でありながら、春頃にはしっかりとリーダシップを発揮していた。13試合で10ゴールという成績は、彼としては納得できないものだろうが、それでも立派なものだ。もちろんシーズンを通じてプレーしたジョバニがアシストとゴールを足しても片手で数えられてしまうような成績しか残していないから、ボージャンとは比較できない。これも事実。

だがこれらのことは、あくまでもカンテラ時代の傾向に過ぎない。これからいよいよ“本番”に足を突っ込もうとしているまだ10代の選手の話だ。バルサB選手時代、テレテレとデランテロをやってきたルイス・ガルシアが、いろいろなチームで“本番”を経験していくうちに、立派と言っていいであろうデランテロ選手に変貌したような事実は数え切れないほどある。決して天狗にならず、今までのように謙虚な姿勢をボージャンに期待し、そしてプレステージでのようなモチベーションあふれるプレーを、例え二部Bカテゴリー相手の国王杯戦でも見せてくれることをジョバンニに期待しよう。

何年にもわたって暖かく見守ってきたファンに対し、見事に裏切ってくれたプロ精神大大大不足選手モッタのようには間違ってもならないことを付け加えて、スエルテ、ボージャン!スエルテ、ジョバニ!

「こちらカピタン」より