4月28日

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LIGA 第31
4月27日 20:30
CAMP NOU 55,045人
FC BARCELONA
vs
REAL SOCIEDAD
 

2 - 1


とりあえず意地は見せた

さすがにバルセロニスタの足取りは重かったようだ。快晴の日曜日20時30分に開始されたレアル・ソシエダ戦、試合開始当初は4万人強という感じのカンプノウ観客席。だがそれでも時間の経過と共に5万人をこえる人々が観客席を埋める。ユベントス戦が終了してから5日たったものの、いまだにバルセロニスタの脳裏から苦い敗北の思いが消え去らない。それが如実に示されたのが、試合開始と共にでたクルイベルに対してのブーイングだった。

パトリック・クルイベル、このバルサの“9番”を背負うオランダ人選手ほど各方面からの評価がはっきりと二分される選手も珍しいだろう。それはフットボールファンとしてのバルセロニスタの間だけではなく、元選手などを中心とする“評論家”の間でもその評価が二分されることにもみられる。だが彼への評価は別として、この日のバルサで最も意地を見せた選手、それがパトリック・クルイベルであったことは誰もが認めるところだろう。試合開始当初からボールに触るたびに一部のファンの間から彼にブーイングが送られる。だが彼は決して隠れたりしない。それはこれまでの長い間バルサ選手としての経験と、この試合の重要さを最も感じていた選手だからだろう。パスミスに対して、トラップミスに対して、そしていつものことながらシュートミスに対して観客席からブーイングが飛び交う中、それでも彼はひたすら試合に没頭していく。

確かにパトリック・クルイベルには弱点がある。それは“9番”の選手として最も必要とされる場面でのゴールの少なさに象徴される。だがそれ以上に彼の弱点となっているのは、最近ではフットボール世界では珍しいほどの“フットボールを楽しむ”選手の一人だからだ。フットボールをスペクタクルととらえる数少ない選手の一人、それがパトリック・クルイベル。彼がカルッチオで成功をおさめることが不可能だったのは当然のことだ。

ユベントス戦でスペクタクルなトラップをおこなった瞬間、ブフォンと一対一となった場面でシュートを決めることができなかったクルイベル。あの場面がいまだにバルセロニスタの脳裏に存在していたとしてもそれを批判することはできない。それまで彼がどのように周りの選手にスペースを開いてきたかということや、あのトラップの前にどのようにあの位置まで入ってきたかということは多くの人たちが忘れてしまっていることも不思議なことではないだろう。ゴールを決めることを宿命づけられている“9番”には、逃れられない批判だ。彼がアーティストプレーヤーであればあるほど、その批判から自由になれない。なぜなら現在のフットボールはアーティストよりも強靱な肉体所有者向きの傾向があるからだ。

「クルイベルはバルサには必要のない選手」。一部のバルセロニスタや一部の評論家がこう語る。だが同時に、ヨーロッパフットボール界では、特にイングランドにおいては皮肉なことに彼への評価が年々高くなってきていることも確かなことだろう。フィーゴやグアルディオラの離脱は別問題として、これまで多くの誤りを犯してきたバルセロニスタやクラブ首脳陣の選手に対する評価。それを再び繰り返すことは許されない。もし彼がオールド・トラッフォードで赤いユニフォームを身につけ、多くのマンチェスターファンから彼のプレーに対して拍手が送られているシーンをかいま見るまで我々は誤りに気がつかないかも知れない。空中戦では誰にも負けず、同僚選手が自由になるためにスペースを開け、スペクタクルなワンタッチアシストを見せる彼に送られる拍手を見るまで、我々は彼の偉大さに気がつかないのかも知れない。

昨日の試合では意地を見せたバルサの選手。レアル・ソシエダを敗っての勝利により、バルサはUEFA圏内まで2ポイントと迫った。