2月18日 水曜日

■1チャンネル(1.2MB)
クライフ「多くの人々にとって衝撃的な事件だったと思う。それはバルセロニスタやマドリディスタだけではなく、本当に多くの人々にとってね。」

■2チャンネル(1.2MB)
スペイン全国各地にスポーツ新聞は数多くあるものの、マルカを含めたほぼすべての新聞が“あり得ないペナルティー”としていた。だがその中で一紙だけがあれはペナルティーだと一面を使って主張している。それはアス、あれをペナルティーと見るジャーナリストがいるアス。試合翌日にも「あれはペナルティーだった」と再確認の発言をしているトリスタンテ・オリバはまだ一部リーグの笛を吹くようになったばかりの新米審判。彼と兵役で一緒だった仲間によれば兵隊時代“マドリディスタ”として知られていたというオチまである。

■3チャンネル(1.0MB)
「あの不可思議な笛のせいで、我々のメスタージャでの試合は非常にやりにくいものとなったと思う。バレンシアの選手やファンの人々は審判に対する不満を抱きながらの試合となるだろうし、少しでも彼らに不利になるような笛が吹かれたらそれこそ大騒ぎという試合になるだろうからね。」

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あれから30年

1974年2月17日、ミケルス率いるバルサがベルナベウでのクラシコで0−5と勝利した歴史的な日だ。多くのバルセロニスタにとってはいまだにお赤飯を炊いて祝う日でもある。そしてもちろんマドリディスタにとっては永遠に忘れられない歴史的な暗黒の日でもある。あれから30年、フランコ政権の末期であったあの時代から30年たった。

ベルナベウでの0−5という勝利は、地元で待ち受けるレアル・マドリを敗ったという意味だけではかたづけられない。パワーが弱くなったとは言えフランキスモがまだまだ社会状況を支配し、中央主義がワガママにも出しゃばっていた時代だ。レアル・マドリが政府のクラブとして色々な意味での多くの援助が与えられていた時代でもある。したがってミケルスの指揮のもとにプレーしたクライフ、レシャック、ソティル、アセンシなどの選手の活躍によってレアル・マドリを敗ったことは、多くのフットボールファンにとっては単なるフットボールの試合の勝利というよりは、圧制に対する反撃の狼煙でもあった。

そして30年たったいま、スペインは民主主義国家と変貌している。フットボールのテレビ中継もいまでは当たり前のことであり、当時のようにマドリディスタのアナウンサーによるラジオの実況中継という状況ではない。したがって多くの人々がグランドの中で何が起きているのかを自らの目で確かめる自由と、納得できない現象には批判を加える自由が与えられている時代となっている。その批判は、ここ何年かのレアル・マドリ優位の風潮に対するものであろうと、30年前と違い警察沙汰とはならない幸せな状況だ。だが30年前となに一つかわらない状況、それはレアル・マドリが政府お抱えクラブであり、多くの恩恵を受け続ける幸せなクラブであるということだろう。


「あれは明らかにペナルティー」

そう語るトリスタンテ・オリバ。試合が終了して5分後の興奮した状態での発言ではなく、自宅でビデオ観戦してから、試合から24時間たった時点でのものだ。彼と、そしてアス紙編集長アルフレッド・レラーニョだけが「あれはペナルティー」だと勇気を持って主張し続ける。だが、彼ら以外の多くのメディア、多くのフットボール関係者は彼らと反対の見方をしている、それは当然と言えば当然の話だが。

何もスペインメディアだけではない。例えばフランスやアルゼンチンメディアにしても信じられない出来事だったようだ。
「審判のおかげで首位を保つことに成功したレアル・マドリ」
「真っ黒なシミで汚れたメレンゲユニフォーム」
「ホデール!こんなことはあり得ない。審判以外誰一人として見なかったペナルティーによる引き分け」
「すでに11ポイントを審判からいただいているレアル・マドリ」

11ポイント、それはオフサイドゴールで勝利したエスパニョール戦から始まり今回のバレンシア戦までを含めて、レアル・マドリが審判の“誤審”によって獲得できたポイント数。

バレンシア戦の笛を吹いたトリスタンテ・オリバは42歳の審判でありながら、まだ一部リーグの試合では10試合しか経験がない新米審判。もちろん彼にとって“憧れ”のベルナベウでの試合に笛を吹くのは初めての経験だ。
「フットボールを理解する人々にとってはあれがペナルティーだということがわかるだろう。」
試合翌日にそう語るトリスタンテ・オリバ。カデナ・セル(アス系)というラジオ番組のインタビューでそう答えている。この番組でのインタビューでは触れられなかったため二つの謎は未だ幻の中だ。一つ、それはロスタイムを最初は1分としながらも、なにゆえすぐに訂正して3分としたのか。そして二つめ、あのペナルティーは主審が見たのか、あるいは線審が見たのか、ということだ。あるメディアによれば線審がペナルティーと主審に伝えたとされているし、他のメディアによれば主審が自らペナルティーの笛を吹いたとされている。試合後のインタビューによれば、線審は主審に何も報告していないと語っているし、主審は線審の判断にしたがったともらしている。だが試合翌日には両当事者はそのことについて触れることを避けている。主審でも線審でもなければいったい誰の判断で笛が吹かれたのか。パルコ席に座っていたアスナール首相か、はたまたフロレンティーノか?