Hincha(インチャ)

ファン

スペインではファンのことをAficion(アフィシオン)とかAficionado(アフィシオナード)と呼ぶことが多い。インチャはどちらかというとアルゼンチンで使われる言葉だ。だがこの言葉の方が響きがいい。インチャ、それは無条件で自分のチームを信じること。ひたすら信じることにより、時には生きていく上での一つの信仰心となるのも希なことではない。インチャという単語の本来の意味は「仲間」。実際に生きている現実社会での階層とは何の関係もなく、チームカラーを通じて、あるいはチームへの信仰心を通じて「仲間」となることを意味する美しい言葉。またNumero12(ヌメロ・ドッセ)と言って12番の選手と呼ばれることもある。

自分の愛するクラブカラーに身体を染め、それに立ち向かう相手はすべて敵となるのはインチャにとってごく自然なこと。似非健康人間は、そういう偏った信仰心をもつ人々を野蛮な人種と呼ぶ。さらにフーリガン予備軍とまで呼ぶ人々までいる。それはフットボール文化の存在そのものを知らぬか、あるいは知っていても理解できない人々だ。我が愛するクラブに栄光を、すべての敵に地獄の日々を、これがインチャと呼ばれる健康的なファン。

「バルサに永遠の幸運を、そしてマドリに果てしない地獄の日々を!」それを願うのがバルセロニスタ、そしてその逆を願うのがマドリディスタ。何と健康的な関係だろう。
「バルサも好き、マドリも好き、私はスペインリーグのファンだから」こういうサッカーファンは、インチャと呼ぶには値しない。