Bicicleta(ビシクレッタ)

自転車(またぎフェイント)

自転車と直訳するしかないバカバカしい単語だけれど、他に何て言っていいかわからない。相手ディフェンスと一対一になったときのフェイント芸の一つ。抜こうとする選手と抜かれまいとする選手との間にボールがある状況で、抜こうとする選手が足をバタバタと、まるで自転車をこぐような感じでフェイントをかける芸を言う。見ている分には結構派手で面白い感じがするが、有効性という意味で言うとそれほどないフェイント芸だ。それでもブラジル選手がこれをやるとなぜか受ける。そういえば、若い頃にブラジルで修行したという日本人選手のビシクレッタをカルッチオの試合で見たことがあった。ただひたすら時間の無駄という感じで、気がついたらディフェンスにボールをとられていた。

ビシクレッタをやってきたら、ディフェンス選手は縁日などの夜店によく出没してくる「茶碗3つにサイコロ一つ芸」を思い出すといい。決して茶碗の動きにごまかされずにサイコロを見つめ続けていればいいのと同じように、バタバタする足に惑わされずにボールをしっかり見ていればいい。もっともそれがフェイント芸というもので、ひっかかる選手もいればひっかからない選手もいる。ブラジル人ではあるけれどロマリオはこういう疲れることは間違ってもしない。