Rosca(ロスカ)

ドーナツ状のもの

穴の開いた丸いものを指す単語でありながら、日常会話で最も多く使われるのはhacer la rosca a ダレダレ(ダレダレにゴマをする)という表現かも知れない。フットボールの試合でも、例えば、最も自然なポジションにいる選手にパスをだすのではなく遠くにいるチームのカピタンにパスを送ったり、あるいはスター選手にわざわざパスを出したときなどにこの表現を聞くことがある。でも、ここで扱うロスカは違う意味での表現だ。微妙な曲線を描いて送られるパスのことを指す。

ボールの真ん中を普通に蹴るのではなく、ボールの内側あるいは外側を足の外側や内側を使って蹴ることによってボールそのものに回転を与えスピン状態にするテクニック、あるいはそのテクニックによって出されたパスそのものを指す言葉がロスカ。スピードはそれほど必要なく、上空高く楕円を描いて出されるパスゆえ、コーナーキックやサイドを変えるときのパスに使われることが多い。特にコーナーキックの際には昼間のゲームではなく照明灯がキラキラと輝く夜のゲームだとさらに有効となる。上空高く上がり微妙な変化をしながら回転して落ちてくるボールゆえ、そのボールの軌跡を追っているポルテロにとっては照明の光が邪魔になって見にくくなる場合があるからだ。

リケルメやベッカムの出すロスカによるパスもなかなかのものだが、やはりストイチコフのロスカは超一流だった。ゴール数でもアシスト数でも、そしてタルヘッタの数でも、今のクラック選手が彼を超えるのは難しい。