Cerrojo(セロッホ)

かんぬき

日常生活用語では“かんぬき”を意味するが、フットボール的には“超守備的な”というような感じとなる。ようするに鍵をしっかりとかけてポルテロを守る固い守備体系のことだと理解すればいいだろう。システム的には3人のデフェンサが個人マークとして相手選手にピッタリとくっつき、そしてそれ以外の1人がEscoba(エスコバ)ほうき、つまり掃除をするほうきとなって、相手デランテロをパッパッパッパと始末していく選手によって構成される。このシステムを開発したのは1940年代のスイスリーグだと言われている。

スペインリーグで最初に“かんぬき”をかけたチームは1950年代のレアル・ソシエダと記録されている。ベニート・ディアスという監督が“かんぬき”デフェンサシステムを採用し、その後多くの小さなクラブに継承されていくことになる。クバーラなどを中心としてリーガを仕切っていたバルサやディ・ステフェノを擁するレアル・マドリなど攻撃的なチームに対応するためには実に効果的なシステムとして広がっていく。

攻撃的なキャラクターを持ったチームがいれば、当然ながら守備的なキャラクターを持つチームがいる。そしてどちらのチームにもインチャと呼ばれる熱狂的なファンが存在するわけで、どちらのシステムが好きかどうかは個人の問題。そして攻撃的なチームのアイドルはゴールに関わる選手となるが、セロッホチームのアイドルはエスコバを担当する選手となることが多い。エスコバ役を任される選手は身長が高ければ高いにこしたことはないが、それはあまり重要なことではない。足が速ければ速いにこしたことはないが、その問題も二の次。エスコバに求められる最も重要なキャラクター、それは「ここからは誰も通さんぞ!」という精神の持ち主であること。なぜなら監督が彼に要求することは次のようなことだからだ。
「ボールは通してもいい、だが、選手は絶対に通すな!」