Maletin(マレティン)

アタッシュケース

アタッシュケースとフットボールとどういう関係があるのか、実はアタッシュケースそのものとは関係なくその中身と関係がある。その中に入っているであろう多額のユーロの現金がフットボールと関係してくる。シーズン終了間際ともなるとどこからともなくあらわれるマレティンの噂、それは選手が在籍するクラブとは関係ない第三者から贈られるボーナスを意味することになるが、果たしてどんな状況でそのマレティン噂がでてくるのか。具体的な歴史を見てみるとわかりやすいかも知れない。

例えば、1991−92シーズン最終戦、1ポイント差でバルサを2位に追いやり首位に立つマドリはテネリフェでの試合が待っていた。一方、バルサの方は地元でのビルバオ戦。当時の勝ち点は2ポイント、そしてバルサ・マドリの直接対決では得失点数でバルサが勝っているため、もしマドリが引き分けか負けという結果に終わりバルサが勝てば逆転優勝ということになる。そしてテネリフェにしてもビルバオにしても最終戦の段階では勝とうが負けようがどうでも良い状況となっている。そこで登場するマレティンの噂。曰く、バルサの元選手が多額の現金が入っているマレティンを持ってテネリフェに飛んだ。そして秘密裏に知り合いのテネリフェ選手に勝った場合のボーナスを提供したという。これがいわゆる第三者からのボーナスだ。そして一方、マドリもクラブとはすでに関係ない第三者を利用してビルバオの選手に近づいたという。彼らもビルバオの選手にマレティンを用意し勝利を要求したという。

毎年毎年シーズン終了間近になるとあらわれるマレティン騒動だから例をあげればキリがない。そしてこの噂はすべての現役選手が否定するものの、引退した人は肯定も否定もしないことが多い。かつてのバルサ選手であったフリオ・サリーナスのように「負けるためのマレティンだったら八百長ということになる。もちろん俺たちはプロだからそんなことはしないさ。でも勝つために金をくれるというのは悪いことじゃないと思うよ。まあ、マレティンが現実的あるかどうか、そこらへんを考えればわかることだろ?」と笑いながらしゃべる人もいる。そう、現実的に考えればあるに決まっているのだ。