バルセロニスタを指す愛称であるクレ。この言葉の由来とされるものは二つある。圧倒的に支持されていない一つ目、それは学校を意味するカタラン語Collgi（コレッジ、あるいはクレッジ）の略語であるColle（コレ、あるいはクレ）がその語源だとするもの。それはクラブが誕生して間もないころは、学校の校庭とか元学校のあった敷地を利用して試合をしていたからだという。だが、この説を支持する人は圧倒的に少ない。そして圧倒的に支持される説、それはカタラン語のCul（クル）あるいはカステジャーノのCulo（クーロ）、つまり“お尻”から来たというもの。

ラス・コーツス・スタジアムに引っ越す前のインドゥストゥリア・スタジアム時代の話だから２０世紀初頭ということになる。それほど大きいスタジアムではなかったため、すべての人々が席について観戦ということにはならない。そこで最後席のその後ろにあるスタジアムの塀に腰掛けて観戦する人々が多く見られるようになった。そのように観戦している人々のお尻がスタジアムの外から見えることにより、バルサファンのことをそう呼ぶようになったという。

カンプノウの最後席の後ろにも壁というか塀というか、そういうところがあるので座ろうと思えば座れるが、何と言ってもビルの高さに例えるなら１５階に近い高さだから、クレするのは度胸がいる。当時のスタジアムは１階席しかなかった小さいものだったからそれが可能となり、１００年後の今も残ることになるクレという言葉を生み出してくれた。