Carrilero(カリレロ)

鉄道員

カリールという単語が線路を意味し、カリレロというのが鉄道員を示すと辞書にある。だがここで言うカリレロはいわゆる口語で使われる時に意味する市電を指す。tranvia(トランビア)というのが市電を意味する“正式”な単語でありながら、カリレロという古くさい単語を好む人たちもいる。

大きな街にある広い通りに昔はよく見られた市電。いわゆるクラクションの音がチンチンと鳴るので日本ではチンチン電車とも呼ばれていた。その市電はたいていの場合広い道路の右端、あるいは左端のスペースを利用して走っている。フットボールで例えるなら右ライン、あるいは左ラインとなる。この左右のラインに沿ってひたすら走り回るポジション、あるいはその選手をカリレロと呼ぶ。最近での代表的な例とすれば、韓国・日本ワールドカップに参加したセレソンの左右ラテラル選手があげられるだろう。左サイドを走るロベルト・カルロス、右サイドを走るカフーがまさにカリレロだ。

だが現代フットボールにおいてはあまり見かけられないポジションと言っていい。各ポジションごとに多くの運動量が要求される現代フットボールだから、90分間にわたりラインに沿って70m前後を上がったり下がったりすることはあまり効率的なことではないからだ。70m、あるいは80mを全力で走り上がりそして良いセンターリングをあげろと言っても普通の選手には不可能だし、再び同じ距離を走って良い守備をしろというのも酷な話となる。現代フットボールでラテラル選手によるサイドからの攻撃がおこなわれる場合、ラテラルのポジション位置が非常に高く、そしてインテリオールあるいはエストレーモの選手がラテラルのポジションをカバーする約束が必要となる。つまり70mも80mも行ったり来たりする必要がある本来のカリレロという言葉そのものが、今では死語に近いものとなってきている。