エルネスト・バルベルデ監督の巻

いつの間にかビルバオの監督となっていたバルベルデだが、どうやら今シーズンが終了次第その監督の座を降りるようだ。UEFAの戦いに失敗した後、クラブ理事会から多くの批判が彼にでていたらしいが、その瞬間バルベルデは今シーズン終了したら監督を辞めると決意したと言う。この人、バルサにいた時とまったく変わっていない。

プレッシャーに耐えられないというか、そもそもプレッシャーを受けること自体嫌うタイプの人、それがエルネスト・バルベルデだ。1986−87、1987−88とエスパニョールで活躍した彼はクライフのバルサ入団と共にバルサにやって来た。クレメンテ監督率いるエスパニョールで一緒にプレーしていたミケル・ソレールとともにバルサに入団してきたバルベルデだが、バルセロニスタには特別の期待を持って迎えられた選手だった。彼のポジションは右エストレーモ、それも本格的なエストレーモ。スピードとテクニックを特徴としてしかもゴール能力にも長けた選手だったからだ。何年か後に入団してくるオーベルの時と同じような、あるいはそれ以上の期待感だった。だが、プレステージで負傷した彼は秋にならないと出番が回ってこなかった。そして出番が回ってくるようになっても期待通りの活躍を見せられず、2シーズン在籍しただけでビルバオに移籍していく。

彼はビルバオに行ってからほぼ次のような内容のことを語っていたのを覚えている。
「カンプノウでのプレッシャーに耐えられなかった。毎日のようにメディアに追いかけられてインタビューを要求されたり、プライベートな生活の中にも人々がドカドカと入ってくる。大試合を前にしてのプレッシャーにしてもエスパニョール時代とは比べものにならなかった。」
こんな感じだったと思うが、要するに素晴らしい才能を持ちながらプレッシャーにつぶされていってしまった典型的な選手の一人だった。だから今回もプレッシャーに嫌気がさしたのかと思ったのだが、来シーズンも監督を続けることを拒否した理由は違うところにあるらしい。ビルバオ会長が彼に提示した来年の年俸、それは手取り35万ユーロというもの。今年より低い年俸だ。もともと会長とうまくいっていなかったらしいが、さすがのバルベルデもこれにはキレてしまったようだ。
(2005/03/14


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