Saviolamania en Japon

昨シーズンが終了した段階でおこなわれたバルサのタイでの試合。あの日もタイ空港には大勢のサビオラファンが集まっていた。東洋の国でも絶大の人気を持つことを証明したサビオラだが、日本での歓迎風景はタイのそれを大幅に上まわるものだった。サビオラマニアであふれかえる日本に上陸したサビオラ御一行、彼らは日本代表相手の親善試合を明日おこなう。

サビオラを代表とするアルゼンチン代表選手が成田空港に到着した。到着客を待ち受ける広いサロンには大勢の若者が、そしてその人数と同じ台数のカメラもサビオラの到着を待ち受けていた。驚くことにスペイン語で書かれた多くの垂れ幕まで用意されているではないか。
「サビオラ　テ　キエロ！」
そう、間違いなくスペイン語だ。これは日本語ではない、だろう。
「愛してるよ〜、サビオラ！」
東洋の国にもこんなに多くの、そして予想を超える多くの数のサビオラファンがいるのだ。
そしてサビオラが到着出口に登場する。待ち受ける人々と同じ数のフラッシュの花がいっせい開く。フラッシュ、フラッシュ、そしてフラッシュの花火だ。

アルゼンチン選手たちを待ち受ける日本人の若者たちは、ある者はアルゼンチン代表ユニに身を包み、そしてある者はバルサのユニを着こんでいる。バルサ？そう、確かにあれはバルサのユニフォームだ。ちなみにマドリのユニは見あたらない。
「クレスポ！クレスポ！」
もちろんセリエAのスター選手である彼にも多くの叫び声が送られる。だがサビオラに対するそれにはかなわない。拍手と叫声によるサビオラの名前の連呼が遙かに他の選手に対するそれを越えている。

サビオラのインチャたち、この多くの日本人若者インチャたちは成田空港での歓迎だけでは諦めないし満足できないようだ。かなりの数の若者がタクシーに便乗して選手たちの乗ったバスを追いかけていく。空港から何と７５キロも離れたホテルにアルゼンチン選手たちは宿泊するが、彼らが使うダブルの部屋は４８５ユーロ（４８５ユーロ！）だ。落ち着いた静かな場所にたたずむこのホテルの周りには騒々しいサビオラインチャたちが、ある者たちはホテル玄関前で、ある者たちは裏口から中庭をのぞこうとしている。彼らは間違いなく本物のインチャだ。スキあればサインと写真を撮ろうとする、この日１日をこのことにかけようとする本物のインチャだ。

そのかいあってか、サビオラがボナノ、クレスポ、アルメイダ、サネッティ、エスカローニなどと散歩を始める。日本人は淡泊だと聞いていたが、それは誤りだった。彼らの執拗さはどこの国のインチャにも劣らない。サインを求め、写真を求め、そして「サビオラ！愛してる！こっち向いて！」。
それは練習が開始されてからも同じだった。練習が始まりしばらくしてからサビオラがファンに手を振る。あの苦虫を噛みつぶしたような表情を崩さないビエルサが思わず苦笑いをする。そしてまたパシャパシャパシャとカメラの音。どうやら機内でクレスポがサビオラに語っていたことは正しいようだ。

「コネッホ、日本人ていうのはね、手にカメラを持って生まれてくるらしいよ」

その冗談に大笑いしていたサビオラだが、成田に着いてからの一連の出来事を見てからというもの、もはや冗談ではないと思っているかも知れない。いずれにしてもサビオラマニアは日の出る国日本でも証明された。そしてバルセロニスタ・ハポネスの存在をも証明することになった。