もう一人の主役、ジョルケラ
(06/05/13)
2006年5月6日のエスパニョール戦は、バルサにとってはすでにリーグ優勝が決定した後での試合だ。したがってこの試合では試合内容や結果などよりも先に、バルサ選手として最後のカンプノウ出場となる2人の選手が主役となったのは当たり前のことだ。シーズンが終了すれば自国へと向かうラルソン、そして契約切れとなり他のクラブに移ることになるガブリがその2人だ、だが試合が終わってみればもう一人の主役が登場していたことに気がつく。今シーズン初のリーグ戦出場を果たし、そしてエスパニョールの再三にわたるゴールチャンスを見事に防ぎ大活躍したジョルケラだ。
チームにとって今シーズン最後のカンプノウでの試合であり、彼にとって初のリーグ戦出場であり、しかもスタメンとしての出場。ジョルケラにとってモチベーションに欠ける理由は何一つなかった。だが同時に彼にとって少々気分の重くなる試合であったことも確かだ。長年同じチームで一緒にやってきた同僚が、バルサ選手としてはカンプノウでの最後の試合となっていたからだ。ガブリエル“ガブリ”、彼にとって最も親しい友人と言える人物だ。
「彼がクラブを去っていくのは寂しいことさ。でも一人のプロの選手として最良の方法と考えたのだろうし、例えクラブを去ってもガブリという親友を失うわけでもない。来シーズンからどこに行こうが、彼にはとにかくスエルテという言葉を贈りたいと思う。」
お互いにそれぞれ彼女ができるまでは“同棲生活仲間”であったガブリにスエルテを願うジョルケラ。だが、彼自身の将来はどうなるのか?
「バルサは自分にとって生涯のクラブ。そしてこのクラブで正ポルテロとなるのが自分の夢、したがって契約が切れるまで、そして自分の夢が実現可能となるまでバルサに残りたい。クラブ側が計算外選手とした時、あるいは去らざる終えない余程の事情が生まれた時のみクラブを去ることになるだろう。」
そういうことだ。
2月1日におこなわれた国王杯サラゴサ戦以来の試合出場であることからわかるように、彼には試合出場の継続性がまったく与えられていない。だが、少なくても残り2試合のリーグ戦にはかなりの可能性で出場チャンスが与えられる。バルサ正ポルテロのバルデスが何かの事情で行方不明となったとしても、あるいは不幸にも負傷に見舞われたとしても、バルサにはいつでもその穴をカバーするポルテロがいる。単なる噂なのかあるいは真実味をもったものなのか、スーペルマリオ、アルベルティーニ、マクシ、エスケロ、ボメルを獲得したチキ・ベギリスタインが、バルデスにプレッシャーをかけるために新たなポルテロの補強を考えているというニュースが流れたことがある。だが、そんな補強はまったく必要ないということをジョルケラが証明してくれている。
スエルテ、ジョルケラ!
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