3月11日



勝利そして勝利、さもなくば地獄へ

ルイス・デ・ロペラでのベティス戦に敗北したバルサに、180分のマッチボールが控えている。今後のバルサの将来が決まる重要な2試合が水曜日と土曜日に待ち受けている。リバプールとレアル・マドリ、もちろんバルサに残された唯一の道は勝利あるのみとなった。4日間での2試合に勝利し希望を維持するか、さもなくば果てしない地獄への道が待っているのだ。

ベティス戦終了後のレシャックのコメントは、それなりに的を得ているものだった。
「この敗戦は一歩の後退であることは間違いない。だが同時に最終的なものではない」
昨日のバレンシアの勝利により、バルサは首位と7ポイント差となった。日増しに状況が悪くなってきているのは明らかだ。だが幸運なことに希望がまったく失われたわけではない。もちろん多くの希望ではなくて、少しの希望ではあるが残っていることは確かだ。

今週の戦いは将来のバルサを決めるものとなる。まず明後日のチャンピオンズのリバプール戦。これに勝利すれば90%の確率でリーグ戦を突破できる状況となっている。そして土曜日のレアル・マドリ戦は文字通りリーグ制覇の可能性が残るか、あるいは無惨にもこの段階で散ってしまうか、生か死の戦いとなる。もしクラシコに負けるようなことが起きればレアル・マドリとの差が9ポイントとなると同時に、精神的ダメージは計り知れないものがあるだろう。だがもし勝利すれば、そう、明日のへの明るい希望は消えない。

したがって今シーズンをかけた2つのマッチボールがバルサを待っている。そして奇しくもバルセロナの街では「バルセロナ・サミット」が今週おこなわれる。特にリバプール戦前後には多くの交通問題が予想されるバルセロナだ。各国政府首脳陣に対する警備を始め、サミット反対デモなどの各種デモに対する厳しい規制があるだろう。したがってカンプノウまでへの道のりは普段と比べものにならないほど複雑なものとなる。だがこれまでバルセロニスタが示してきたこと、つまり本当に彼らの力が必要なときにはそれに応えてきたバルセロニスタ。今こそ再び我々は総力をあげてクラブを救わなければならない。


サビオラ「まだ何も失っていない」

ベティス戦の敗北によりレアル・マドリとの戦いが最も重要な試合となったと考えるサビオラ。まだ一度もクラシコを経験したことのないサビオラだが、バルサーマドリ、マドリーバルサの戦いはスペインはもちろんヨーロッパでも最高に魅力的なカードだと認識している。
確かに我々の抱えている状況は非常に難しいものとなってきている。一試合消化するごとに残り試合が少なくなり、首位との差をできるだけ早い時期で縮めなければ苦しいものとなってしまう。したがって我々は残りの試合をすべて勝つ精神で戦わなければならないだろう。数字的に不可能となるまで最後の最後まで首位を目指して戦うつもりだ。そう、まだ我々は何も失ったわけではないんだから。」

だがマドリ戦の前におこなわれるリバプール戦の重要さも忘れてはいない。チャンピオンズに限って言えば「失ったもの」というよりはこれから「得る可能性」のものが多いのだから。もしリバプール戦に勝利すればチャンピオンズ制覇に向けての戦いは続く。
「もちろんリバプール戦のことを考えないといけない。ヨーロッパカップ獲得への期待のかかっている試合だからね。もしこれに勝てれば我々は間違いなく次のステップに進めるだろう。そしてこの勝利を更なるステップとして土曜日の試合にものぞめる。」


レイジンハー「自分の責任」

これまで29試合を戦ってきたバルサだが、レイジンハーがスタメンで出場したのはわずか3試合に過ぎない。そのうちの1試合が先日のベティス戦だった。そして彼の2回に及ぶミスがベティスのゴールにつながってしまった。レイジンハーはそのことから逃げようとするような人間ではない。彼は非常に正直で素直な選手としてチームメイトから親しまれている。今回も自分のミスを素直に認めるレイジンハーだ。
「もちろん僕のミスが、我々の敗戦の原因の一つとなったことを認めちゃう。それはどうしようもない事実だからね。ディフェンスの仕事というのはそういうハンディキャップが常にあるもんなんだ。デランテーロがゴールミスしても責められないけれど、ディフェンスのミスでゴールを決められたら、そのミスした選手にすべての責任がいってしまう。そしてもちろん僕はその罪を認めるよ。最低の試合だったよ、本当に。あの敗戦はまったく痛いものとなってしまった。」

だが楽観的なところもあるレイジンハーだ。あの敗戦によりこれからのすべての試合が重要なものとなったことから、選手たちは開き直って戦い続けることでできるという。
「他のチームの状況などを見れば、我々はまだ負けたわけではないことも明らかだ。首位のチームから我々の間にいるチームに違いはそれほどないと思う。これからの戦いでできるだけポイントを失わないで戦うことができたチームが優位になるだろう。我々はまだその中の候補チームだと思う。」


リバルド負傷中

今シーズン、リバルドに一番近い人物、もちろん彼の家族を除いての話だが、それはドクター・プルーナだろう。それほどまでに今シーズンのリバルドは負傷に泣かされている。先日のベティス戦で途中交代した彼はやはり負傷していた。右足ヒザの痛みに耐えられなくなったリバルドは、70分にベンチに下がっている。決してリバプール戦への温存ではなかったのだ。ドクター・プルーナは語る。
「リバルドは右足ヒザを負傷し、いまだに腫れがひかない状態だ。もちろんリバプール戦にまに合うように我々は努力している。だがあと48時間しかない状況である。いまのところ50%、50%という感じだ」

前回のローマ戦と同じ状況になってしまった。今回も試合直前まで出場可能かどうかわからないということになるだろう。だが我々の知るリバルドはこういう状況だとこれまで必ずプレーしている。彼は非常に痛みに強い選手だし、自分の役割を誰よりも認識しているプロ選手だからだ。


●クライハートも負傷中
クライハートも軽い負傷をしている。彼もやはり先日のベティス戦で左足筋肉に痛みを覚えたようで、昨日の練習には姿をあらわさなかった。彼の昨日の仕事は1時間かけてみっちり筋肉マッサージを受けること。今日の状況を待たないと確かな負傷状況はわからないものの、ほぼ間違いなくリバプール戦には出場が可能と思われる。

●クライフ、リバプール戦を分析
クライフはイングランドのフットボールに詳しい人物の一人だ。その彼が予想するには中盤での戦いを有利に持っていければバルサの勝利は間違いないという。
「リバプールはいかなる状況でもカウンターアタックで責めてくるチーム。だがその割には中盤の資質はゼロだ。だからもしバルサが中盤でのボール支配を心がけた試合展開をしていけば、好き勝手なことができるだろう。問題は今のバルサには何試合かを続けて同じリズムで戦う「安定さ」がないどころか、90分も同じように戦うことができないことだろう。しかも相手はすでの水の中でおぼれかけてアップアップ状態のチームだ。死にかけた人間は何をするかわからないからね。そこら辺が恐ろしいところ。」

●デブー、リバプール戦術を批判
「世界のニュース」という雑誌のインタビューに答えているデブー。その中で早くもリバプール戦に向かって、火に油をそそいごうとしているデブーだ。
「彼らのプレースタイルははっきり言ってアンチ・フットボールだと思う。いったい何が楽しくてフットボールをやってんだかねえ。おれにはわからない世界だな。いいかい、フットボールの楽しさというのは攻撃するところにあるわけだ。それがだよ、10人後ろに下がってプレーして何が楽しいんだろうか。ついでに言わせてもらえば、リバプールの試合をテレビで見るチャンスがあったとしても俺は見ないね。見るんだったらマンチェスターとかアーセナルの試合を選ぶよ。いずれにしても彼らのプレースタイルでは決してチャンピオンズリーグでは優勝できないと信じてる。」