4月28日




FC.BARCELONA - VILLARREAL

4 - 1


    

夢を見させる大量得点

大量得点で勝利したバルサ、そして3点を失って敗北したレアル・マドリ。国王杯の決勝戦で惨めな敗北を喫したベルナベウで、傲慢な100周年記念行事を再びしらけさせる準備は整った。

■二つのバルサ
二つの顔をもったバルサだった。一つは果てしなく灰色で今シーズンの悪いときのバルサを象徴している顔。前半の45分、神経質になった選手たちがいったい何をしていいのかわからないといった感じの試合展開だった。そしてもう一つの顔、それは大きな期待と夢を見させてくれる逞しいバルサの顔だった。ハーフタイム終了後、26分の間に4点をもぎ取った闘争心あふれるバルサの選手たちだった。

前半のバルサは、迷いに迷っている選手たちによる戦いだった。勝利にむけた気持ちだけは伝わってくるものの、具体的にどうすればいいか迷っている選手たちの中途半端なプレーが続く。相手はスター選手はいないものの、チームブロックで勝負してくるビジャレアル。守りを固めてバルサの攻撃を防ぎ、相手のスキを突いてのカウンターアタックを狙ってくる。かつてカンプノウを訪れポイントを稼いで帰っていったいくつかのチーム、例えばオサスナ、ラス・パルマス、ビルバオ、そしてバレンシアみたいなチームだ。ポジショニングの悪いバルサ相手にこのようなチームがおこなってきたこと、それはディフェンスの裏を突くことだった。そしてビジャレアルもたった1回のチャンス、クリスタンバールがよそ見をしている瞬間を狙ってゴールを決める。

■統制のとれたバルサが登場
たった15分の休憩タイムでバルサが変貌した。バルサマシーンが回転し始めたのだ。ワンタッチフットボールが肝心な場所で展開し始める。コクー、サビオラの壁パスが一瞬のうちにゴール前に飛び込んできたルイス・エンリケにわたる。キーパーと一対一になったこの勝負、ルイス・エンリケが見事に勝利し同点となった。そしてわずか2分後、サビオラがキーパーと争って獲得したボールをモッタへ、彼は迷わずシュート。中距離からのシュートが斜めにゴールポストの中に突き刺さる。これでバルサが2−1とこの試合初めてのリードを奪う。

次の2点はチャビが用意したものだ。5人ディフェンス相手にウイングなしで戦っていたバルサだけに、チャビからのボールが左右に流れず相手ゴールに向かう直線的なパスとなっていた。リードを許したビジャレアルの選手たちに集中力の欠如が見始められた。疲れも出てきたのだろう、チャビのたてパスがバルサの選手に通るようになる。彼からのパスがクライハートへ、サビオラへとわたる。そのうちの2つのパスがゴールへとつながった。クライハートとサビオラのゴールだ。

■セルタへのプレッシャー
バルサはこの勝利によってしなければならない義務を果たした。来シーズンのチャンピオンズに参加する権利を獲得するための義務を果たしたのだ。同時に今日試合をおこなうセルタに対し、強烈なプレッシャーをもかけたことになる。セルタの相手は下位に沈むサラゴサ。必死の戦いを繰り広げてくるであろうサラゴサが相手だけに、セルタにとっては厳しい試合となるのは間違いない。

サラゴサはバルサにとって最終戦で当たる相手でもある。ビジャレアル戦を前にしてレシャックは最終戦前に4位以内を決めたいと語っている。昨シーズンのようなことを繰り返したくないのは当然だろう。最終試合のロスタイムまで待たなければならなかった戦い、奇跡的なリバルドのチレーナが決まらなければ獲得できなかった4位のポジション。それだけは繰り返したくないレシャックにとってこの3ポイントは非常に大きいものとなるかも知れない。


試合中の出来事

1.クリスタンバールにブーイング
最近の習慣となっているクリスタンバールへのブーイング。昨日の夜も決して例外とはならなかった。度重なるパスミスとビジャレアルの得点のきっかけとなったマークミスにバルセロニスタの怒りが爆発する。今週フランスメディアに登場した彼のコメントも決して無関係ではないだろう。だがディフェンスミスをしたのは彼だけではなかったのも事実だ。デブーもキレのないプレーを続けて時々ファンからの批判を浴びていた。それらのミスを救っていたのはプジョーだった。

2.チャビの活躍
後半に入ってからのバルサはまさに暴風並みの攻撃を開始した。ビジャレアルの選手にプレッシャーをかけ続け後ろにひかせる。ボールを完全に支配し攻撃態勢を完璧なものとした。前半はその姿があまり見られなかったチャビが生きてくる。ロッケンバック、あるいはコクーが彼の後ろに控え、チャビはよりゴールに近いポジションをとるようになった。そこから最後のパスがでる。チャビが機能し始めたとき、それはバルサの躍動感が生まれることになる。

3.再びガッツ・エンリケの登場
彼の闘争心と勝利への執念がゴールを生んだ。中盤から相手デフェンスのスキを突いての上がりが、バルサの1点目を誕生させる。貴重な、とてつもなく貴重な1点だった。彼の執念が、気力がチーム内に伝染していく。バルサがダイナミックなプレーを展開し始める。ガッツ・エンリケを止めることができるのはビジャレアルの選手ではなく、アンラッキーな負傷だけ(詳細はユーロクラシコ参照)だった。

4.パレルモ、信じられないミス
すべてのプロ選手が何らかのミスをすることは常にあることだ。だが昨日のパレルモのようなミスはナカナカお目にかかれない。後半31分、グアイエからこぼれたボールを拾ったパレルモ。彼はゴールキーパーのいないゴール前5mのところからの強烈なシュートを放つ。だが誰もいないゴールを守ったのはゴールポストだった。信じられないプレーではあるが真実だ。

5.オーベルマルスの温存
後半開始早々からランニングを始めたオーベルマルス。彼はマドリ戦にスタメン出場することがすでに決まっているのでベンチに温存されていた。少しばかり疲労がでてきているオーベルマルスにこの日の出番はないはずだった。だがリードされている状況が彼の出番を要求していた。オーベルマルスがジャージを脱ぎユニフォーム姿となって中央ラインに向かった瞬間、ルイス・エンリケのゴールが決まる。そして2分後モッタの逆転ゴールが決まった。レシャックはオーベルマルスを再びベンチに座らせた。

6.モッタの初ゴール
バルサBでは多くのゴールを決めていたモッタだが、一部に上がってきてからまだゴールを記録していなかった。バルサBではかなりゴールに近いポジションでプレーすることが多かった彼だが、一部では多くのポジションをこなしている。昨日もスタートはココの変わりとして左サイドバックとして登場。後半はプレー位置を変え、中盤に上がってきた。彼の最初のゴールがバルサの大量点のきっかけとなる2点目となった。

7.ナバーロ、2試合目
ココとセルジの負傷によりバルサBから急きょ呼び出されたフェルナンド・ナバーロ。すでにデポール戦でデビューを飾っているこの19才の若者は、この日はベンチスタートとなった。だが試合がほぼ決まった段階でレシャックにチャンスをもらったナバーロは期待通りの活躍を見せる。来シーズンに一部に上がってくる候補者の一人だ。