12月2日 木曜日

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ひさびさヨハン・クライフ

「3ポイントを争う試合よりもっと重要で意味のある試合。」
そう言いきるカピタン・プジョー。公式試合ではないからして好きな背番号をつけて出られるこの試合に彼は大親友であるルイス・エンリケの21番をつけていた。そのカピタン・プジョーの隣にいる南アフリカの女性は自国におけるエイズの現状を訴える。
「この90分の試合の最中に南アフリカでは50人のエイズ患者が死亡していく。そういう彼らやアフリカに多くいるエイズ患者のために、そして世界中のエイズ患者のために、彼らに生き延びるチャンスを!」と訴える26歳の彼女ビユセカもエイズ感染患者の一人だ。

世界選抜チームのベンチに座るのはヨハン・クライフ。世界選抜と言ってもフットーボール界の中から最優秀の選手が集まったわけではなく、それぞれの所属するクラブから許可がおりた選手のみによって構成されるチームだ。主催者が各クラブに話しかけ選手を集めたわけだから、別にクライフの推薦で構成されたチームでもない。だがそんなことはクライフにとってはどうでもいいこと。こういうキャンペーンに参加することが大事であり、そして何よりもアウエーのベンチとはいえ“我が家”に帰って来られることが意味のあることなのだから。その彼の隣に座るのはチキ・ベギリスタイン。かつてドリームチームの中で「最もインテリジェンスにあふれている選手」としてクライフに褒め称えられた選手であり、しかもガスパーが会長に選ばれた選挙では対抗馬であったバサットにチキをディレクターとして推薦しただけではなく、2年前の選挙でもラポルタにチキを推薦したクライフでもある。そのような関係にある二人が同じベンチに座るのは不思議なことではないだろう。

試合中に彼らの間でどのような会話があったのか、それは秘密のようだ。グランドに登場したカンテラ選手たちのことか、将来バルサの選手になるかも知れない相手チームにいる興味深い選手たちのことか、あるいは、冬のメルカードの相談か。いずれにしても彼らの目の前でおこなわれている試合内容とは無関係のことだろう。負傷者がでず、ゴール数の多い派手な試合になればいいこの試合では、どちらのチームが勝とうがどうでもいいこと。
「この試合の勝利者はアフリカさ」
そう試合後に語ったクライフだった。

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