2月29日 日曜日 はれ
 選手たちを誇りに思う。試合が終了しロッカールームに入っていったら選手たちが笑顔で抱き合って勝利を祝福していた。それでも疲労のため笑顔さえ作れない選手も何人かいた。最後の最後まで勝利を信じて戦ってくれた彼らを非常に誇りに思う試合だった。グッタリとして動かないサビオラには感謝の言葉もない。あの小さい体でよくあそこまで走りきったものだ。
 前から感じていたこと、それはやはり選手間で生まれている信頼感、これが2月の快進撃の秘訣だろう。いや、選手間だけではなく私に対しても信頼感を感じてくれているのだろう。選手と監督が一体となっての固いチームブロック、ふむふむ、なかなか美しい風景だ。
 試合が終了しア・コルーニャから飛行機に乗りバルセロナに到着したのは夜中の2時過ぎ。カンプノウを経由し自宅に着いたのは4時近くだ。明日の練習も午後からにしよう。

 

2月28日 土曜日 はれのバルセロナからゆきのア・コルーニャへ
 今日の記者会見はこれまでのものと違い、私ケッカ・オー・ライカー監督の反撃を意味する歴史的なものとなった。というのは少々オーバーとしても、これまではひたすら控えめに語り続けてきた私だが今回はスペクタクルな記者会見としてみた。バレンシアやデポルだけを追撃の目標とするのではなく、ついに首位のレアル・マドリまで照準に入れることを誓った私であったのであった。4位ぐらいで満足してちゃいけない、3位でも2位でも同じようなものだ、目標はあくまでも1位、そこまで食い込んでやろうじゃないか、と、最近なんだかいやに強気になっているのであったのであった。
 コクーが明日の試合でバルサの選手としてリーグ戦出場193試合を果たす。これは百年の歴史を誇るバルサというクラブにあって外国人選手としての最多出場記録となるらしい。しかもクーマンの192試合出場を抜いての非常に意義ある数字でもある。おめでとう、コクー!ついでに勝利で記録を祝ってしまおう!

 

2月27日 金曜日 とってもはれ
 コペンハーゲンでの試合が終わり夜中の3時にカンプノウに帰ってきて、それから自宅に向かいベッドに入ったのは4時。したがって今日は午後だけの練習にし、17時にマシア集合。テン・カテに練習を見てもらって私はコルーニャのビデオ研究で1日過ごすことになった。
 パトリックに関する雰囲気の悪い噂が、メディアの中でソ〜と流れるようになってしまっている。
「何でこんなにリハビリに時間がかかるのか?」
「本当はもう負傷は完治しているのではないのか?」
「走り込みの練習態度そのものもふてくされ気味」
「スタメン出場できないのがわかっているからいい加減な調節をしているのではないか?」
こんな感じ。彼が言うにはコルーニャ戦はおろか次のブロンビー戦にも間に合いそうもないらしい。う〜ん、どうしたんだヤツは?
 100ゴール達成だとか500試合出場達成などという記録は派手でいいが、実は私も今日一つの記録を達成したんだ。バルサの監督就任記者会見か250日目にあたる今日なのだよ。バルサ監督として何と250日、時間にすると6000時間、分にすると36万分。どうにかなるさ、そう思いながらの250日、本当にどうにかなってしまった。あ〜ら、ふしぎ。

 

2月26日 木曜日 コペンハーゲン・マイナス2°
 固い守備、固い中盤、固いチームブロック、そして1点しかとれないデランテロ、これで良いのだ。勝利するには1点あげればいい。あとは点を入れさせなければいいのだから。勝利が信頼感を生み、信頼感がさらなる勝利を生み、そして信頼感はさらにさらに厚くなる。これが今のバルサだな。
 バルセロナの空港に到着したのは夜中の3時。みんな肉体的には疲れ切っているはずなのに表情は明るい。やはり勝利という妙薬はフィジカル面にまで影響を与えるようだ。明日というか、もう今日だが、練習は午後から開始。明日にはまたコルーニャまで移動だ。この試合も勝っちゃうぞ!
もう負ける気がしなくなってきた。

 

2月25日 水曜日 あめのバルセロナからゆきのコペンハーゲンへ
 早朝9時カンプノウ集合し10時の飛行機に乗るはずだったのに、雨になれていないこの街に雨が降り続けているので何もかも予定通りにいかない。選手たちは交通渋滞を言い訳として遅れてくるし、飛行機も雨だと予定通り飛んでくれない。まったく困った街だ。結局11時30分にバルセロナを出発しコペンハーゲンに向かった。バルセロナ雨14°→コペンハーゲン雪0°、さぶー!。
 「おお、あすこに見えるはゴーテルボルグではないかい?」と言うのは冗談で、いかにデンマークとスエーデンが隣り合った国とは言えコペンからゴーテルボルグは見えない。ここがこんなに寒いのだから、もっともっと北に位置するゴーテルボルグはド寒いのだろう。
 コペンの街から15キロ離れたところにあるブロンビーの街。ここで練習を始めた夕方にはマイナス4°となっていた。ほぼすべての選手は防寒着の上にユニフォーム、そして手袋と帽子という完全防御で練習に参加。だがいつもの元気トリオは相変わらず半袖半ズボンだ。プジョー、チャビ、クアレスマ、この3人は異常トリオだ。
 さて、明日の試合は0−1ぐらいで派手にぶちかましてみるか。

 

2月24日 火曜日 あめ
 バルサ好調の要因は、監督である私が余計なことをしないという結論にたっした今、明後日のブロンビー戦はバレンシアで起用したメンバーと同じ、システムも同じでいけということだな。したがって今日の練習はキッパリとスタメン組と控え組に分かれてミニゲーム形式でやってみた。ビクトル、ジオ、プジョー、オラゲール、オスカー・ロペス、コクー、チャビ、モッタ、ルイス・ガルシア、ロナルディーニョ、そしてサビオラ。レイジゲルとガブリが戻ってきたので、右ラテラルのところだけを明日少々考えてみよう。
 これまでデランテロの獲得の要請を出してないというのに、どうもメディアには多くの選手の名前があがっているようだ。クラブ側が本当に触手を動かしているのかどうか知らないが、まあそれはどうでもいいだろう。来シーズンに向けて私が要求した選手はこれまで二人しかいない。一人はコクー、そしてもう一人はピラニア・ダビッツ。コクーは残留が決まりそうだし、ピラニアの方もクラブ側が努力をしてくれそうだ。来シーズンに向けての最初の補強がダビッツとなってくれると私は幸せ。
 明日はコペンハーゲンに向けて旅立つ。もうあそこは雪だろうなあ、寒いだろうなあ、いやだなあ。でも勝っちゃうぞ!

 

2月23日 月曜日 くもり
 今日の練習はお休み。それでも負傷組の何人かはカンプノウに来ていた。レイジゲル、パトリック、ガブリ、ビクトル、ダビッツ、そして負傷新参者マルケス。ビクトルはマルケスとぶつかったときにヒザを痛めたようだがだいじょうぶ。レイジゲルとガブリも週末の試合には出られそうだ。ダビッツは練習不足だから一人走り込み、一番ダメなのはパトリック。負傷した当初の診断よりかなりリハビリが遅れている。もっとも彼が戻ってきてもベンチだし、他の選手も一生懸命やらないと出番がなくなるから必死のようだ。雰囲気はヒジョーに良いのだ。
 コクーの将来についてチキとラポルタから相談を受けた。もちろん少なくとももう一シーズン残ってもらいたいと言っておいた。早くて来週、遅くても再来週には彼の残留が発表されることになるだろう。
 ところでブロンビー戦は歴史に残る試合になるかも知れないな。今の段階で考えているのはバレンシア戦と同じ選手でいこうと思っているんだ。7人のカンテラ選手、つまりビクトル、オスカー・ロペス、オラゲール、プジョー、チャビ、モッタ、そしてルイス・ガルシア。凄いだろ!

 

2月22日 日曜日 くもり
 予定通り12時に練習開始。予定と違ったのはこの練習の指揮をとるのが私ではなくてテン・カテにしてもらったことだ。私はオフィスに籠もってこれまでの失敗と成功の分析をすることにした。
 リーグ戦の折り返し地点に至るまでの失敗、いや失敗というよりは模索と言った方が聞こえがいいかも知れない。模索、それは一言で言うと“監督は何をする職業なのか”という奥の深いテーマの追及。その答えが出始めたのが折り返し地点だった。チームに一つの固定したシステムを導入し、選手の“名前”からではなくシステムに“マッチ”した選手を起用すること、そういう結論にたっしたのが折り返し地点。それまでフッシギ・ライカーと呼ばれていたのが、それからはケッカ・オー・ライカーとなったのは一つの決まったシステムで結果がでるようになったからだ。
 成功、それは折り返し地点を過ぎてからの誰にが文句の付けようもない素晴らしい結果。勝ったら何も動かさない、何も変えない、何もしない、この三ないでいくことにしたからだ。したがってパトリックが戻ってきても彼はサビオラがゴールを決め続ける限りベンチ生活、ダビッツが戻ってきたらモッタやジェラールもベンチ、ロナルディーニョがいる限りマッチロ坊やもベンチ、レイジゲルが負傷から戻ってきたらオスカー・ロペスはバルサBだ。う〜ん、だいぶスッキリしてきたぞ、練習に明け暮れる毎日にしようと思ったけれど明日の練習は休みにしよう。

 

2月21日 土曜日 くもり
 俗っぽく言うと“全員一丸となっての勝利”というヤツだな。何といってもスコアーが最高に良い。0−1、このスコアーは戦術的な勝利を意味するし、そういう意味でいうと芸術的でもあるんだな。0−2とか0−3とかいう結果との違い、それは選手間の信頼感がさらに増すということで大きな意味のあるスコアー。この勝利で信頼感が昨日よりは5ミリほど厚くなった感じだ。モッタは90分間プレーできるだけのフィジカルはまだできていないが、それでもしっかりと仕事をしてくれた。見事に“ダビッツ現象”を忘れさせてくれる仕事をしてくれた。彼に代わって入ってきたジェラールがゴールを決めたのも大きい。みんな信頼感の固まりとなって次の試合にのぞめるというものだ。
 これで5連勝。だが選手たちに“ご苦労さん休暇”を与えると思ってはいけない。明日の練習が休みだと思ってはいけないのだ。明日も練習、明後日も練習、明々後日も練習、毎日毎日練習、ケッカ・オー・ライカー・バルサに休息の日々はない。明日は12時に集合だ。

 

2月20日 金曜日 あめのバルセロナからあめのバレンシアへ
 レアル・マドリとの差は13ポイント、そいでもってバレンシアとの差は11ポイント、もしレアル・マドリがエスパニョールに負けて、我々が当然のごとくバレンシアに勝つとすると、首位まで10ポイントでバレンシアとは8ポイント、これはひょっとしたらひょっとしてひょっとするんじゃないか、と今日のシエスタで捕らぬタヌキの皮算用。これをカステジャーノでは“Cuento de la lechera”、つまり牛乳配達員のお話、そう言うらしい。
 サビオラの基本年俸の15%カット、という“お願い”を副会長がメディアに語っていた。どうしてこんな大事な時期にそういうバカなことを発表するのか、もしサビオラがふくれてしまったら、このパトリックがいない時期にもしそんなことが起きたら彼らは責任をとってくれるのか、と、日記だから好きなことが書ける。さて明日のバレンシア戦、勝利あるのみ!

 

2月19日 木曜日 はれ後くもり後あめ、そのうちヒョウ
 午前中の練習にはまだ代表選手が戻ってきていないので少人数。したがって私もロンドに参加。まだまだ見捨てたもんじゃない。午後の練習にはたくさんの選手が戻ってきたが、ロナルディーニョとダビッツはジムでの体作り。プジョーはマスクマンから脱皮。レイジゲルは明日の精密検査次第でバレンシア戦に出場できるかどうかわかる。ガブリは来週の試合にはだいじょうぶそうだ。
 今日も昼間の空いてる時間を利用してプラネットフットボールの会場へ。今日だけで10万人近い人が来ているらしい。そして夜はミニエスタディでの試合観戦。クライフチーム対世界ベテラン暇人チームとの試合だ。よ〜く考えてみれば、あのクライフチームというのはいまから10年前にコテンコテンにしてやったチームじゃないか。あの時は楽しかったな。
 それにしてもパトリックの戻りが遅い。バレンシア戦では計算できると思ってたんだが、まだ無理のようだ。バルサにとってというか、私にとっての“本当の9番”が起用できるのはデポルティーボ戦からとなりそうだな。それまではおチビちゃんに頑張ってもらおう、チャン、チャン!

 

2月18日 水曜日 くもり
 あんまりすることがないからクラブが練習相手を見つけてきてくれた。元バルサの選手シュステルが監督を務めているウクライナのナントカというチームが練習試合につき合ってくれるという。
 いろいろなテストをしてみるのにはいい機会だ。とりあえずスタメン選手には、ビクトル、オラゲール、マリオ、マルケス、オスカー・ロペス、そしてロス、モッタ、ジェラール、そしてルイス・ガルシア、ルイス・エンリケ、サビオラというメニューを用意してみた。後半に入ってからはビクトルの代わりにジェルケラ、オラゲールの代わりにダニ・フェルナンデス、マリオの代わりにダビ・ガルシア、マルケスの代わりにアルナウ、ルイス・ガルシアの代わりにメッシー、そしてサビオラの代わりにリエラ。そう、シュステルがディフェンスの選手を一人調達してくれと言うのでペケを貸してあげた。
 モッタは90分間プレー。彼はダビッツのかわりの選手だからして、バレンシア戦に備えてみっちりと汗を流さなければならない。サビオラが2点、ガッツが1点、だが途中から出てきたメッシーがなかなか良い。いまバルサCでやらせているが、そろそろBの方に送るか。
 明日はやっとみんな揃っての練習。17時集合。頑張ります。

 

2月17日 火曜日 はれ
 練習に参加してくる選手が少ないからテン・カテに任せ、暇になった私はプラネット・フットボールの見本市にでも行くのだった。

 

2月16日 月曜日 あめ
 バルセロナに雨が降った。これまでズーと天気が良かっただけにこれはニュースだ。さて、今日の練習に参加してきたのはジョルケラ、ジオ、サビオラ、ルイス・ガルシア、マルケスのAt.マドリ戦スタメン組とオラゲール、ジェラール、ロス、ビクトル、モッタ、オスカー・ロペス、マリオ、ルイス・エンリケという選手だけ。ガブリとクルイベルはそれぞれ走り込みの練習をしていた。このこぢんまりとした練習はスパルタ時代を思い出す。ルストゥが帰国しているので、第三のポルテロとしてサビオラを試してみた。リーベル時代には練習でよくやっていたというだけにナカナカ良いセンスをしている。
 サビオラといえば、At.マドリ戦で途中で交代したことがメディアで話題になっていたな。あの交代の意味がわからないメディアにも困ったものだ。活躍した選手を後半途中でベンチに下げ、観客からの“ご苦労さん拍手”を呼び起こすのが私の趣味。ルイス・ガルシアも良い活躍をしたから最後の最後に交代させてあげた。こういう粋なことが理解できないメディアはいけません。

 

2月15日 日曜日 はれ
 やはり攻守のバランスがすべてを決めるんだ。我々の攻守のバランスはここ何試合か素晴らしいものがある。これもすべてダビッツとコクーのおかげだと思う。バランス、バランス、何事においてもバランスが一番大事なんだ。
 実は何を隠そう、この試合はケッカ・オー・ライカー監督としての100試合目の記念となる試合だったのだ。輝かしくも見事に散ったオランダ代表監督時代、恥ずかしながら沈みに沈んだスパルタ時代、そして栄光のバルサの監督として、そう、すべての試合を合計するとこの試合が100試合目。成績?33勝33敗34引き分け、我ながら見事にバランスがとれていると思う。

 

2月14日 土曜日 はれ
 選手たちのコメントを聞いていると色々と彼らの性格が伝わってくるようでなかなか面白い。そして性格もさることながら、プロ選手としてこれまでどのような要求をされてきているか、そういうことも理解できる。例えばマルケスが「いまバルサは今シーズン最高の瞬間にいる」と語れば、チャビは「我々はまだまだ改良されていかなければならない」と言う。この微妙な違いは、これまで要求の多いビッグクラブでプレーしてきたかどうかということの証明でもあるんだな。
 私みたいにビッグクラブでプレーしてきた人間にはチャビの言うことが良く理解できる。ミランとかバルサというような大きなクラブでは、こんな状態で満足してちゃあいけない。例えば、カジノがあることで有名な街のクラブなら今の状況で人々は満足してくれるだろうが、ここではそうはいかない。4位になったら3位を、3位になったら2位を、そして2位になったら1位を狙っていかなければ。もっともそこまでは無理だろうが。
 今日は報道陣をシャットアウトしての練習。まずビデオを見てじっくりとAt.マドリの研究。そして秘密練習ではコクーを普段通りに起用してみた。OK、明日はコクーでいける。モッタはベンチ。したがってビクトルの代わりにジョルケラを入れるだけの変更ですんだ。これで勝利間違いなし。4連勝、やったね!

 

2月13日 金曜日 はれ
 “At.マドリの選手のプレッシャーをどのように回避するべきか”を今日の課題とし予定通り10時30分から練習を開始。
 プレッシャーを防ぐ一番良い方法は相手にボールを渡してしまえばいいのだが、アウエーの試合ではどうにか許されてもカンプノウの試合ではとても許されませぬ。ただでさえ空席が目立つっちゅうのに、さらにさらに椅子だけが見つめるカンプノウになってしまう。したがって試合支配、ボール支配をこころがけることを基本的なアイデアとして、さて、どのように相手のプレッシャーを防ぐか。
 ジョルケラ、ジオ、マルケス、プジョー、レイジゲルの5人一組に対し、クアレスマ、オーベル、ルイス・エンリケ、セルヒオ・ガルシアの4人組を前に置きスタメン組がいかにボールを出していくかの練習。もう一つのグループには、モッタ、チャビ、ダビッツ、ルイス・ガルシア、ロナルディーニョ、サビオラの6人一組が、ルストゥ、マリオ、オスカー・ロペス、ロス、エウセビオ、イニエスタの6人組にプレッシャーをかける練習。これを30分も繰り返し繰り返しやってみたが、どうにかこうにかディフェンスからボールがでるようになったし、相手のディフェンスに対してはプレッシャーをかけてボールを奪う場面も見られた。明日も繰り返し練習してみよう。

 

2月12日 木曜日 はれ
 前日の“フィゲーラス・ダリ美術館巡りツアー”から戻ってきたのはやはり夜中の3時。それでも予定通り、練習は昼からおこなうことに決定。誰も遅れることなく集合。もっとも遅刻常習犯は負傷しているから練習に来ていないせいもあるかも知れない。
 コクー不在穴埋め作戦その1。他のポジションでプレーしている選手を動かすことなく単純にコクーのポジションだけ埋める方法。それだと候補選手はジェラール、モッタ、イニエスタとなる。フィゲーラス戦ではモッタをコクーにして、ジェラールをダビッツに、そしてイニエスタをチャビにしてみた。モッタ、イニエスタは合格、ジェラールはケガして失格。
 コクー不在穴埋め作戦その2。思い切ってマルケスを起用する。この場合、マルケスのポジションにオラゲールあたりを入れないといけないからいじらなければならないポジションが二つとなってしまう。やはり、あまり感心できる案ではないな。するってえと、モッタをティアゴ・コクーとするのが一番かも知れない。これで4連勝間違いなし。私の地位は安泰、ラポルタさんも安泰、バルセロニスタ大喜び、チャン、チャン。

 

2月11日 水曜日 シュールにはれ
 9時30分にカンプノウに集合し、バスでフィゲーラスへ。11時にはフィゲーラス市役所での歓迎会、11時30分にダリ美術館見学、それからオモチャ博物館に行き、昼食をホテルで。午後はシエスタをしたあと軽く練習し21時30分から試合だ。試合内容もシュール、結果もシュール、すべてシュール・レアリズムな1日。
 はっきり言ってどうでも良い試合だったので試合内容そのものに触れてもしょうがない。イニエスタとモッタ、それとオラゲールの活躍が目立ったことぐらいが収穫。それと久しぶりに復帰してきたオーベルマルスがケガもせずに試合を終えることができたのも収穫。マイナス面はスタメンで起用してみたジェラールはまたケガしてしまったこと。それにしてもよくケガするやっちゃ。
 試合が終わったのが23時30分。記者会見などを軽くやったあとバスに乗ってバルセロナへ向かいカンプノウに着いたのはもう夜中の2時近く。どうしてスペインの試合はこう遅いんだろうか。明日の練習は昼からにしよう。

 

2月10日 火曜日 はれ
 今日は完全休養日。練習もなければ記者会見もなし。私の頭も完全休養。明日はダリ美術館だ。ん?試合もあるみたいだな。

 

2月9日 月曜日 はれ
 それにしても外野がうるさいクラブだ。聞いてはいたがこれ程とは思わなんだ。つい先日、師匠が「選手の中にはぬるま湯に浸かってだれている選手がいる」と言ったかと思うと、今日は今日で「ロナルディーニョは“ドリームチーム”でも使える選手」だとか「次の試合ではジョルケラを起用すべきだ」とか、まあ、いろいろ助言してくれちゃってる。ジョアン・マヌエル・セラーという有名な歌手も「フラン・ライカーは大変だ。神様からの助言が絶えないからね。バルサには神様が一人いるから、しかもその神様がおしゃべりだときているもんだから、彼も苦労が多いだろうね。」とメディアに語っていた。これがビッグクラブというものなのだろう。良い勉強になる。よく考えてみると、沈黙を守ってくれているのはガスパーとヌニェスぐらいのもんだな。
 さて、今日は軽く30分間の練習をして終わり、明日は私と選手たちへのご褒美の意味を込めて練習はお休み。気分も天気もいいし、海にでも行くか?

 

2月8日 日曜日 寒いパンプローナ
 「これからも5人ディフェンスでやっていくのか?」
記者会見でいきなりそういう質問をされてしまった。私の答えは明らかだ。
「これからも11人で守っていく。」
そう、そういうことだ。最後のラインが2人のときもあれば5人のときもあるが、最終的には11人で守って、そして11人で攻めていかなければならない。それが私のフィロソフィー。20分間ぐらい続いた試合後の記者会見だが、試合に勝利したことよりイタリアンチックな試合展開に関しての質問が多い。ここのジャーナリストはフットボールがわかっているんだろうか?一番大事なことは試合に勝利することだということが理解できないんだろうか?
 統計を見てみよう。我々の選手が相手選手から奪ったボール数はここのところリーグ1位だ。リーグ戦折り返し地点から我々は3勝1分けで10ポイント獲得。同じポイント数を稼いでるクラブはあるが我々が得失点差で1位を走っている。そう、レアル・マドリやバレンシアを抜いて我々は1位という成績を残しているのに、イタリアンチックだろうが何だろうがそんなことが問題になることが私には理解できない。
 リーグ戦4位という私に課せられた目標は今のところ達している。このままで行こう。何と言われようがこのままで行こう。守備的だと言われようがカルッチオ的だと言われようが、このまま、このまま、ひたすら結果を求める私であった。

 

2月7日 土曜日 パンプローナ曇り
 At.マドリが負けたので明日の試合に勝てば4位に入れる。試合の相手も4位以内を狙うオサスナだし、直接対決となるこの試合には是非とも勝ちたいもんだ。だが、最悪でも引き分けでもいいんじゃないかとも思っている。なぜなら我々の最大の相手はAt.マドリだからだ。オサスナはそのうち自動的に落ちていくだろう。したがって個人的には来週のAt.マドリ戦が最大の山だと思っている。今日の時点ですでに4枚のイエローカードをもらっているビクトル、ジオ、コクー、クアレスマ、サビオラの5人にはオサスナ戦ではくれぐれも気を付けてもらわないと。
 さてと、そろそろ私ケッカ・オー・ライカーの本領を発揮する時が来たぞ。何としても結果を出しまくろう!

 

2月6日 金曜日 はれ
 これほど快適で幸せな毎日を過ごすことができた1週間はなかった。バルサに来てから初めてと言っていいのんびりとした1週間。師匠は「フラン・ライカーにもっと発言権を与えるべきだ」と言ってくれたし、ラポルタ会長も「来シーズンの続投はすでに決定した」とまで語ってくれた。これはすべて5−0のおかげ。あの試合は4−0でも3−0でも、もちろん1−0でもいけない試合だったんだな。5−0という、カンプノウでは10年前のクラシコ以来のスペクタクルな数字の勝利がクラブ関係者を楽観的にしている。その功績者はもちろん私、ケッカ・オー・ライカーさ。
 オーベルマルスも練習に参加してきたので総勢23名による練習。オサスナ戦先発予定グループと控えグループにわけて練習試合をしたが、先発予定グループが勝ってくれてよかった。これが逆だとみっともないことになる。しかもコクーとダビッツのゴールで勝てたのも嬉しいニュース。これだけ多くの選手が戻ってきたから、やはりオスカー・ロペスとかセルヒオ・ガルシアなどはバルサBに戻しておこうか。オラゲールはどうするか?彼は控え選手として残ってもらう方が良いかも知れない。オーバーブッキングは嬉しい状況でもあるが頭を抱えることでもあるな。
 ところで今日の夕食は師匠が珍しくおごってくれた。ラポルタ会長と共に招待された夕食だったが、話はひたすらオサスナ戦はどう戦うかということ。いろいろと勉強になった。

 

2月5日 木曜日 はれ
 どうもウリストのことに関しては勘違いしていたようだ。彼はヒマだから練習を見に来ているのかと思っていたら、そうじゃなくて彼はフットボール・バッセのコーチとしてバルサに在籍が決まってすでに仕事に入っているということだ。子供たちに、特にデランテロの子供たちに、どうやってゴールを入れるか、どういうように審判をごまかすか、どうすれば相手ディフェンスを熱くできるか、そういうことを教えるらしい。
 今日の合同練習に参加できなかった選手はたったの3人。パトリックとガブリ、そしてオーベルマルス。ロナルディーニョは戻ってきたし総勢22名での練習となった。負傷中のラモン・ロスは足を引きずりながら練習を見に来ていた。私がこれまで起用してきたカンテラ選手の数は多い。セルヒオ・ガルシア、オラゲール、オスカー・ロペス、リエラ、メッシーといろいろいるが、その中で他のクラブからのオファー数が一番多い選手、それがラモン・ロスだ。だが彼はレンタルでも何でも外に出す気はない。バルサBを二部Aカテゴリーにあげるための重要な選手の一人であり、一部チームが困ったときには力を借りることができる選手だからだ。
 それにしてもいま特に頭を悩ませているのはディフェンス問題。頭数が足りないということじゃなくて、オーバーブッキングという嬉しい状況になってしまった。ジオは不動だからして、プジョー、マルケス、オラゲール、レイジゲルの中から誰を選ぼうかな。いっそのこと5人ディフェンスにしてしまおうか。そうすれば問題は一挙に解決だ。

 

2月4日 水曜日 はれ
 今週からアルベルト・ロカを呼んでフィジカル面のトレーニングを指導してもらっている。彼はサラゴサ時代に唯一イングリッシュをしゃべれる選手だったから非常に仲が良かったんだ。先週までサバデルのコーチをしていたんだがクラブに頼んで引き抜いてもらった。彼は理論詰めのフィジカルトレーニングをする優秀なコーチ。選手のフィジカルが少しでも上向きになってくれればいいと思っている。
 今日は12時30分から30分間のミーティング、そして誰しもがアッと驚く2時間の練習。ロカの指導による練習方法で選手たちはアップアップ状態だ。今までの練習がヤワだったせいかも知れない。総勢20人もの選手が練習に参加してきているので私としては嬉しいような困ったような感じ。プジョーをはじめ、イニエスタ、レイジゲル、モッタもほぼ完璧な状態と見た。あとはカンプノウで一人走り込みをしているロナルディーニョがどのような体調で明日の合同練習に参加してくるかだけだ。明日は朝の9時に練習を始めることにした。アルバセテ戦では思わぬ結果がでたんで私は大張りきり。
 そう言えば、今日もウリストが練習を見に来ていたな。彼はヒマなんだろうか。彼の5mぐらい横には中国人だか日本人だかわからないが、やはりヒマそうな東洋人も来ていた。

 

2月3日 火曜日 はれ
 アルバセテ戦での圧勝プレゼントとして今日は練習を休みにし、選手たちには完全休養日としてあげた。結果がでればエサがもらえるんだよ、そういう習慣を自然と体に染みこませてくれればいい。オサスナ戦でも勝ったらまた完全休養日を作ろう。
 それでもロナルディーニョとプジョーだけは練習していた。それも午前と午後の2回の走り込みをおこなっていた。プジョーはもうほぼ100%、ロナルディーニョは80%ぐらいまで体ができているみたいだ。日曜日の試合までにはロナルディーニョも負傷前のメディア的クラックに戻れるかも知れない。これは非常に嬉しい知らせだ。だがこの嬉しいニュースは、アルバセテに5−0で勝利したにも関わらず、再びチームをいじらなければならないということでもあるな。まさがプジョーやロナルディーニョをベンチに置いておくわけにはいかない。レイジゲルも戻ってくるだろうから彼もまた出場させなければならない。オラゲールのかわりにプジョー、クアレスマのかわりにメディア的クラック、そしていい仕事をしたオスカー・ロペスにかわってレイジゲル。これで結果がでなかったらまた批判されそうだ。でも結果がでれば良い采配と呼ばれるだろう。オサスナ戦は勝負、勝負、いざ勝負だ。

 

2月2日 月曜日 はれ
 相変わらず忙しい1日。午前中の練習をおこなう前にバルサオフィスに行ってソシオ手続きをしてきた。ハンドボールの監督はもうすでにソシオだったらしいが、バスケとホッケーの監督たちと仲良く一緒にソシオに入会。これで晴れてソシオの一人としてチームに文句を言える立場になれた。練習を始めたらウリストが挨拶に来てしばらくつき合わなければならなかったし、サンドロ・ルセーの招待でいろいろと話し合いながらの昼食は2時間もかかった。
 ラポルタが私のことを“偉大な監督”とか言って誉めてくれたみたいだが、それは少々大げさというものだ。そんなことをメディアの前で言ってもらっちゃうと、なんかこっぱずかしい。国王杯での敗退は別として、リーグ戦ではここ4試合で3勝1分けという成績だから素晴らしい監督だと言われても弁解のしようがないが、いや、それでも恥ずかしい。
 オサスナ戦にはたくさんの選手が戻ってきそうだ。イニエスタ、レイジゲル、プジョーはOKだし、ガブリもあと10日間ぐらいで復帰できそうだ。マークは相変わらずどうなっているのか監督の私にもわからない。それにしてもオーバーブッキングという新たな悩みがでてきてしまった。困った、困った。

 

2月1日 日曜日 はれ
 やりゃあできるんだ、この選手たちにも。そして何を隠そう、私にもね。久しぶりというか初めてというか、試合終了の笛が吹かれるのを今か今かと待たなくてすんだ試合だった。楽勝、楽勝、相手がアルバセテと言えども楽勝の気分は最高。やはり結果をだしさえすればみんな大喜び。私も大喜び。会長も大喜び。メディアも大喜び。もちろんファンも大喜び。したがって私の信念は間違っていなかった。結果、結果、これのみ。
 そんなことを口癖のようにしょっちゅう言っていたせいか、2月に入ったら突然名前をかえられてしまった。ケッカ・オー・ライカー、まあ、その通りになればいいし、とりあえず2月に入っての最初の試合に結果がでたからいいとするか。フッシギなことを毎日のようにしているともうフッシギではなくなるからな。次のオサスナ戦もケッカ・オー・ライカーでいこう!