8月4日

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リケルメを絶賛するヨーロッパ

バルサのユニフォームの背中に”10”の数字をつけた選手、リケルメに対するヨーロッパでの評価がうなぎ登りとなっている。フアン・ロマン・リケルメ、アルゼンチンからヨーロッパ大陸に上陸したばかりの若きスター選手、彼に対する賞賛はカタルーニャメディアによるものだけではなくイギリスやフランス、イタリア、オランダなどの多くのメディアからも高い評価を得はじめている。

アムステルダム杯でのバルサ・パルマ戦を観戦していた”スパイス・ボーイ”ベッカムはリケルメのゴラッソが決まった瞬間、席から立ち上がり両手を頭に抱えて驚きの表情を隠さなかった。
「リケルメというのは凄い選手だね。普通の選手にはない何か特別のものを持っているという印象だった。彼のプレーは一つ一つがスペクタクルな感じ。ボールをワンタッチで処理するテクニックも素晴らしいし、何よりもチームを機能させていくプレースタイルが気に入った。それにしてもあのゴールは、どんなフットボール選手でも一度は決めてみたいと思うようなゴール。リバルドの不在は彼がじゅうぶんに忘れさせてくれると思う。バルサは良い選手をとったね。」

ミランの黄金時代を形成したアリゴ・サッキ。彼もまたこの試合を見ていた一人だ。そして同じようにリケルメの才能に驚かされた一人でもある。
「彼のことはじゅうぶん知っているつもりだったんだが、こうしてダイレクトで見ると、自分の彼に対する判断が過小評価だったということに気がついた。彼はアルゼンチンから来たばかりの選手であり、プレステージも始まったばかりで、その上彼はプレーする期間が短かったシーズンをおくっているはずだ。しかもバルサのシステムにとけ込むのはヨーロッパの選手でもなかなか難しいときている。だが驚いたね。彼はじゅうぶんチームにとけ込んでいるじゃないか。彼がボールを持った時に止めるのは非常に難しいという印象だ。」

ロナルド・クーマン、アヤックスの監督としてもちろんこの大会の主役である。バルサでの次期監督候補の大本命でもある彼は、リケルメを初めて見たときのことを回想する。
「まだ自分がバルサにいる頃にボカとの親善試合をした。リケルメが登場してから5分もしないうちに彼は特別な選手ということがわかった。あれからずいぶんと日にちがたったけれど、パルマ戦でさらに成長している感じを受けた。ボールタッチが素晴らしいし、ゴール能力も持ち合わせている。何よりも周りの選手を動かしていく能力が気に入った。だが彼にとってヨーロッパでの経験は始まったばかり。バルサではボカのようにはいかにことは当然だろう。現代のフットボールにおいて一人の指導者がチームを動かしていくということは難しいことになっている。彼だけではなく、チーム全員がまとまって力を出していかないとチームが機能しない時代に入っているんだ。」

だがそのリケルメは今日のアヤックス戦には出場しないだろう。パルマ戦で軽く痛めた右足が昨日の練習で悪化したためだ。負傷というよりはハードなスケジュールをこなしてきていることからの筋肉疲労。したがって休息を与えれば完治するタイプのもの。バンガールは大事をとって今日の試合には出場させない可能性が大きい。


もう一人のユダ

歴史は常に繰り返される。わずか1か月前に「ファンやクラブへの借りをこれから返していきたい」と語ったロナルドが、インテルを離れさらに多くのドル札で迎えてくれるクラブへの移籍を望んでいるという。インテルのファンはこのロナルドにさっそく「ユダ」の命名をした。クラブ関係者とファンによるロナルドに対する戦争はこれから始まる。それも大戦争が。

ドル札をできる限り稼ぐためには、どんな裏切り行為であろうとそんなことは気にしていられない。これが傭兵の鉄則だ。喧嘩別れという形でPSVを離れ、バルサでも決してエレガントとは言えない形で代理人の命じるままにクラブをあとにし、そして今また、これまで在籍した他のどのクラブより世話になったインテルを裏切りひたすらドル札を追いかけようとしている傭兵。それがインテルファンが考えるロナルドだ。一昨日に衝撃的に飛び交ったバルダーノとロナルド代理人マルティンとの秘密交渉。わずか2時間後にバルダーノが緊急記者会見を召集し「単なる情報交換」と語ってみたところでインテルファンの怒りはおさまらない。ロナルドにはかつてのフィーゴと同じように「ユダ」という命名がされた。

ロナルドが唯一興味あることはドル以外なにものでもないことははっきりしている。彼自身が代理人のマルティンに強いプレッシャーをかけていると、多くのイタリアメディアが伝えている。あるいはロナルド当人と代理人による共同作戦であるという見方ももちろん捨てきれない。昨日のイタリアメディアは「マドリがロナルドを誘拐」というタイトルで紙面を構成している。だが本文では「この誘拐騒ぎは誘拐犯と犠牲者が共謀しておこなわれている」ともコメントしている。それは誰の目から見ても明らかだ。マドリが一方的にロナルドを誘拐しようとしているとは誰も考えていない。

これまでインテルはロナルドに対し、他の選手が不満の声を上げるほどの特別の待遇をしてきた。2年間にわたって再起不能とまでいわれた負傷中でさえ、彼のわがままを許してきたインテルだ。それはインテルのファンであるインテリスタがよく知っている事実でもある。したがってこの噂が登場して間もなくして「ユダ」と命名したことには何の不思議もない。彼らもまたかつてのバルセロニスタと同じ運命をたどっている。ロナルドに帰るところはすでになくなっている。インテリスタはどのようなコメントをロナルドがしようと受け入れないであろう。帰るところを失った傭兵は新たな職場に行くしかない。だが戦争は今始まったばかりだ。


●コクー、バルサで引退を希望
今シーズンが終了した段階で唯一契約切れとなる選手がコクー。そのコクーの将来に関する方針は明らかだ。バルサと延長契約をしてこのクラブで現役生活の最後を迎えること。契約延長に関する交渉はできるだけ早く始めたいとするコクー。そしてクラブ側にもそれについては問題はないようだ。

●サビオラのヨーロッパパスポート
母親系の親戚がスペインに、そして父親系の親戚がイタリアに住むサビオラにとってヨーロッパパスポートを獲得するのはそれほど難しいことではない。スペイン当局かイタリア当局かは別として、書類的にはすべて揃いつつあるサビオラは、今シーズンが終了する前にはヨーロッパパスポートを獲得できる見通しだ。書類がほぼ揃っているにも関わらずいまだに申請されていない理由は一つ。クラブ側がサビオラに払う「ボーナス」の金額がまだもめているからだ。だが外国人選手の多いバルサにとってサビオラの国籍取得は重大な問題となってきている。サビオラ側とクラブ側の交渉も近々再開されるようで、金額的に折り合いがつけば申請も時間の問題となりそう。