8月15日

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Previa Champions League
8月14日 21:30
CAMP NOU
FC BARCELONA
vs
LEGIA VARSOVIA
  3 - 0
●スタメン●
●終了時●

FLOPI TE AMO !

遠くアルゼンチンに残っている娘フロッピーに捧げるゴール。それは同時にバルサがチャンピオンズ参加の可能性を大にした2点目のゴールでもあった。FLOPI TE AMO!「フロッピー、愛してるよ!」と書かれたリケルメのアンダーシャツ。彼はデビュー戦で、しかもカンプノウでのデビュー戦で7万観衆の前にしてゴラッソを決めた。

チャンピオンズリーグに向けて大きな一歩を踏みだしたバルサ。11人のバルサ選手はカンプノウでの試合で3−0とバルソビアを下した。2週間後にアウエーでの試合がおこなわれるが、この結果はほぼバルサのチャンピオンズへの参加を決定づけたものと言っていいだろう。

昨日はあらゆる意味でバルサにとって特別な日であったと言える。バンガールにとっては第一次政権が崩壊してからの初のバルセロニスタとの再会であり、ガスパー会長にとっては会長就任してからの第三次プロジェクトの幕開けであり、そしてチームにとっては再びバルセロニスタに希望を与えるような試合を展開する義務を持っていた。これらをまとめれば、これまでのタイトルなしの3年間の悪夢を忘れるためのスタートとならなければならなかった昨日の試合だ。

この試合にバンガールは超攻撃的なチーム編成を試みる。デ・ボエル、プジョー、そしてナバーロの3人のディフェンス。左右にモッタとメンディエタのカリレーロ、チャビ、コクーのダブルピボッテ、そして前線にサビオラ、ルイス・エンリケ、クルイベルのトリデンテ。

開始早々から攻撃に出ようとするバルサに早くもそのご褒美がやって来る。開始8分、デ・ボエルによるフリーキックが見事に相手ゴールポスト右に突き刺さる。チームに自信を与えるゴールとなった。前半の45分間、バルサはボール支配率75%という信じられない数字で展開するものの、肝心の追加点は訪れない。枠内に飛んだ10本のシュートはすべてキーパー正面という不運はあったものの決定的なゴールチャンスは数少なく終わっている。

後半に入ってもバルソビアは個人マークの作戦を変えないでやってきた。前線の3人に執拗なマークがつく。特にサビオラに対するマークは時には暴力的でさえあった。だがバルサは攻撃の姿勢を崩さない。後半が始まって間もなく4回の決定的なゴールチャンスが訪れる。ルイス・エンリケに2回、サビオラ、クルイベルにもそれぞれチャンスが訪れる。だがゴールにはいたらない。

この日のハイライトの瞬間がやってくる。ルイス・エンリケに代わってリケルメがグランドに登場した瞬間だ。7万観衆の大きな拍手に迎えられてリケルメの登場だ。リケルメーサビオラコネクション、リケルメークルイベルコネクションが機能し始める。だが最後の詰めをクルイベル、サビオラとも外すシーンが何回か見られた。

そう、ゴールを決めなければならないのは、この日の主役であるリケルメでなくてはならなかったのだろう。左サイドから自分でボールを運んできたリケルメは、そのままエリアの白い線に沿って右にドリブルしていき、遠くからの乾いたシュートを放つ。不意を突かれたキーパーはついに2点目を許すことになる。貴重な2点目を獲得し、アウエーでの試合を有利に持ち込んだバルサ。そしてさらにロスタイムにメンディエタからのコーナーキックをコクーがヘディングで決め、チャンピオンズリーグへの参加を決定的なものにした。

■報われなかったデランテーロ
サビオラ、クルイベルにとって、この日のバルソビアのキーパーは忘れられない存在となるだろう。あらゆる手段を労して多くのシュートを放ちながらもついにゴールに至らなかった二人。この試合では彼らにはピッタリと個人マークがついている厳しい試合となっていた。後ろからのファールを執拗に受けながらもサビオラは持ちこたえる。クルイベルにしても同じことだった。バルソビアの選手のファールの半分以上が彼ら二人へのものだったことから見てもいかにマークがキツイものだったか想像できる。

■スペイン人>外国人
2002−03シーズンの最初の公式戦となったバルソビア戦。バンガールが選んだ11人のスタメン選手を見てみると、これまでのシーズンでは考えられないものとなっている。スタメン選手の顔ぶれを見てみよう。ビクトル、プジョー、ナバーロ、チャビ、ルイス・エンリケ、メンディエタの6人の国産選手に対し、スペイン外の選手はデ・ボエル、モッタ、コクー、サビオラ、クルイベルの5人。

■パーフェクトデビュー、ビクトル
ビクトル・バルデスにとって昨日の試合は忘れられないものとなるだろう。若きキーパー、ビクトルはついに一部デビューを、それも夢に見たカンプノウで飾ることができた。これまでカタルーニャ代表のユニを着てのプレーはあったものの、バルサのユニでは初めての経験だ。神経質になるのが普通、だがビクトルはこのデビュー戦で彼の持つ強烈なキャラクターの片鱗を見せる。実に冷静にプレーするビクトル。ニューキャッスル戦と同じようにディフェンスの後ろから大声でデ・ボエルに、プジョーに、そしてバルサBで同僚だったナバーロに叱咤激励を送るビクトル。ほとんどミスもなく、デビュー戦としては完璧なものとなった。
「いい感じ。非常にいい感じでプレーできた。個人的なことでも満足できたし、何よりもチームが勝ったことが嬉しい。今日の試合はスタメンで出場できたけれど、これからもそうだという保証がないことはわかっている。自分としてはチャンスがくれば一生懸命やるだけ。そして今日は、いい感じ。」

■リケルメ「幸せ」
デビュー戦でいきなりのゴールを決めたリケルメ。ユニの下にはもちろん娘の写真をプリントしたシャツを着ていた。その娘に捧げるゴールは大事なものではあるが、チームの勝利がなによりも大事だと言い切る。
「このグランドでプレーすることをどれほど待ったことか。それがついに実現して幸せの一言。ゴールも決めたし試合にも勝ったし言うことなし。ファンの人たちが暖かく迎えてくれてホントに感謝している。でも個人的なことよりチームのことが大事。しかもまだむこうでの90分の試合が待っている。その試合に向けてみんな頑張っていかないとね。」

■バンガールは語る
「メンディエタが素晴らしい働きをしてくれた。相手チームのもっとも優れた選手を無効にする働きをした上に、いくつかの素晴らしいセンターリングも放っていた。これ以上のプレーを望むのは無理というものだ。そしてロマンのデビューもなかなかのものだったと思う。これから何回も素晴らしいプレーを見せてくれるだろう。
これまで個人の選手を誉めることがなかったバンガールにしては珍しいコメントで始まる試合後の記者会見。

ビクトルをなぜスタメン選手として選んだのかという質問に答える。
「昨シーズンはほぼスタメン選手として出場していたボナノを召集しないという決断は簡単なものではない。だがそれは感情的な問題で難しいという意味であり、戦術的な問題としていえば簡単なこと。これまでの試合で一番好調にプレーしたキーパーはビクトル。他のポジションと同じように、キーパーにしても好調な選手をピックアップするのが当然だろう。」

ゴールを決められなかったとはいえ、90分にわたってチームプレーに徹したクルイベル。彼に対する賞賛の言葉を忘れないバンガール。
「我々は多くのゴールチャンスを作った。これは非常に大事なことだ。ゴールに至らなかったものが多くあったとはいえ、ゴールチャンスを可能な限り生み出すというのが大事なことだと思っている。その意味でパトリックの働きぶりは賞賛の一言に値するだろう。仲間を助け、いくつかのアシストをし、自らもゴールチャンスを作っていたんだから。」

この日のバンガールはすべてのものに賞賛の言葉をかけることを忘れていない。カンプノウに集まったバルセロニスタも彼の賞賛対象となる。
「今日カンプノウに集まった人々にお礼を言いたい。この8月の中旬という時期に7万人もの人々が集まることは驚異だ。しかも明日は祭日という悪条件の中での試合日となっていた。多くのバルセロニスタが街を離れている状況で、このように人々が駆けつけてくれることを私だけではなく選手たちも感謝している。」

だがもちろんこの試合に100%満足しているわけではない。
「我々はまだまだ改良していかなければならない部分が残っている。だがこの試合はバルソビアのようなクラブを相手とする試合でのよい見本だったと思う。8人の選手がゴール前に並びカウンターアタックを狙おうとしていた。それにも関わらず我々は少なくても20回のゴールチャンスを作り出した。そして最終的に3点を獲得。その意味では非常に満足できる試合だった。反省点はもちろんある。例えば前半の内容を見てみよう。各選手がワンタッチパスを忘れてあまりにもドリブルをしようとしていたのは感心できないことの一つだ。いずれにしてもこれからの練習で多くのことを改良していかなければならない。」