10月11日

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オーベルのスキャンダル発言

オーベルマルスとアンデルソンにとって昨日の練習試合は久しぶりの「11人対11人」の本格的なテストになるはずだった。だが一昨日からの強風と大雨が試合を中止に追い込んでしまった。中止が決まってから記者会見場にあらわれたオーベルマルス、ここでメディアを驚かすようなスキャンダルな発言をおこなう。バルサ医師団に対する強烈な批判だった。

2000年の夏にバルセロナにやって来たオーベルマルス。もう2年以上のバルセロナ生活をおくっていることになる。だが彼の問題はいまだにこの土地にとけ込んでいないことだろう。その証拠に昨日の記者会見では相変わらず通訳を通しての会見となっている。そして彼がおこなったバルサ医師団に対する批判は次のようなものだ。
「昨シーズンはひどい年だった。ヒザの故障が一シーズン続くものとなっていたからだ。練習もろくにできなかったし、試合に出るにも鎮痛剤や痛み止め注射が必要だった。だから自分のプレーを批判する人がいることは知っているが、昨シーズンはほぼ故障続きのシーズンだったんだ。」

彼は昨シーズンはヒザの故障で100%のプレーが不可能だったと語っている。それではバルサ医師団はどのような対応をしたのだろうか。
「2、3回の精密検査をしたんだが、どこも悪いところは発見できなかった。実は10年前に負傷したときに僕のヒザには金属板が埋め込まれているんだ。したがってスキャンにかけるとその金属板しか写らない。それでも絶対おかしいと思って今度はオランダに行って信頼する医師に診てもらった。そこでその医師はついにどこが悪いのか発見することができた。金属板の裏の部分に大きな黒い部分を発見することができた。もちろん手術したのはその箇所となったわけだ。それにしても無駄な時間を過ごしてしまったのが残念だ。」
バルサ医師団がおこなった精密検査では発見できなかった彼の負傷箇所。もし彼らがもっと早い段階で気がついていれば、こんなに苦しむこともなかっただろうし、今シーズンも最初からスタートできたと語るオーベルマルスだ。

この発言に一番驚いているのはドクター・プルーナだ。これまでオーベルマルスの全幅の信頼を得ていると思っていた彼にとってこの発言は信じられない。
「彼のヒザの負傷に関してはもうずいぶん前から我々も察知していた。だから彼と話し合い、シーズン中よりはシーズン終了間際に手術をすることに決めていた。それは彼も了承していたことなんだ。それを何でいまさら誤解を招くようなことを発言するのかその理由が理解できない。」

彼の発言に驚いているのは何もバルサ医師団だけではない。多くのソシオにしても理解に苦しむ発言ではある。「無駄な時間を過ごした」のはオーベルマルスだけではない。バルサというクラブ史上最高の移籍料を払って獲得した選手、それがオーベルマルスだ。彼がバルサに入団してきてから128の公式試合がおこなわれている。その中で彼が出場した試合数はわずか78試合、しかも90分にわたってプレーした試合数はたったの31試合だ。獲得したゴール数を彼は覚えているだろうか。わずか9ゴールだ。時間を無駄にしたのは何もオーベルマルスだけではない。彼のために「資金と時間」をムダにしてしまったバルサソシオを忘れてはならない。まったく冗談にもならないオーベルマルスのスキャンダル発言だ。


希望に胸ふくらませるアンデルソン

負傷から戻ってきたかと思ったらさっそく問題発言をしているオーベルマルスとは違い、常に前を見てこれからの試合出場に胸を膨らませるアンデルソン。昨日の練習試合が実現しなかったことを本当に残念がっている。彼にとってそれが練習試合だろうがなんだろうが、久しぶりの「プロ選手」として感じられる瞬間だったのだから。

アンデルソンは雨が降り続くグランドに一人立ち空を見ていた。決して止みそうもない雨の下に長い間たたずむアンデルソン。悔しさいっぱいという感じだった。
「せっかくプレーするチャンスが訪れたと思ったらこれだ。本当に腹が立つ。誰に腹が立つかって、まあ、天気に文句いってもしょうがないから、自分自身の運のなさに腹が立っているんだ。これでまた1週間も待たなければならなくなってしまった。来週の半ばにも練習試合があるんだが、それまでまだ1週間もある。ああ、本当に残念だし腹が立つな。」

最後に試合に出られそうになったのは5月のこと。代表での練習に励んでいる時だった。その練習中に負傷してから昨日まで実に5か月という長いリハビリ期間を耐えてきているアンデルソン。最近メディアを騒がしている「冬のマーケット」による新たな獲得選手の話題も、彼にとってはどうでもいいことであるという。
「そんなことはどうでもいいことさ。もしチームがディフェンスを必要と思っているのならやはり誰かをとらなければならない。そのことによってチームが強くなるならそれにこしたことはないし、それは誰もが望むこと。個人的には誰が来ようが両手をあげて歓迎するし、自分自身も頑張ればいいだけの話し。そんなことを気にしている余裕はないよ。」

だがディフェンスの選手としてベテランの彼は、これまでのメディアがおこなうバルサディフェンスシステムへの批判や、デ・ボエルに対する個人攻撃には納得できないと声を大にして語る。
「ディフェンスが3人か4人かという問題はあくまでも監督が考えるシステム内の問題であり各選手の問題ではない。監督が要求するポジショニングの問題やプレッシャーの問題を各人が責任を持ってこなしていけばいいことだ。点を取られるということはキーパーがどうのこうのという問題ではないように、ディフェンスだけの問題でもない。チーム総体として失点の責任をとらなければいけないことだと思う。デ・ボエルのブーイングにしたってタイトルをとればみんな忘れてしまうことだ。そう、フットボールで一番肝心なこと、それはタイトルをとること、これしかない。」


●再び暗礁に乗り上げたプジョー問題
これまで密かにおこなわれてきたプジョーの契約更新交渉が暗礁に乗り上げている。プジョーは2004年の6月にバルサとの契約が終了することになっているが、いまだにクラブ側との接近が見られないのは心配なことだ。これまでも何回かクラブ側とプジョーの代理人がおこなってきた延長契約交渉、今回の交渉もクラブ側の提案する「数字」にプジョー側が拒否の態度をとっている。
クラブ側が提案してきたのは年俸120万ユーロ+出来高というもの。スタメン選手だけではなく、控えにまわっている何人かの選手にしてもこれ以上の年俸をとっていることから当然プジョー側がOKをだすことにはならなかった。例えば、プジョーの控えとなっているレイジンゲルの年俸は300万ユーロだ。そのことをもちろん代理人は知っている。
今のところこの延長交渉がいつ再開されるかはまったく決まっていない。プジョー側としてはクラブが新たな提案を申し入れてこなければ、ひたすら契約終了を待つのみという方針。

●いまだに尾を引くバンガール発言
オサスナ戦後におこなったラジオ番組でのバンガールの発言。
「リケルメの獲得を要求したことはない。」
この発言に関して何人かのクラブ首脳陣が不快感を表明していたが、日がたつに連れクラブ内の規律違反問題にまで発展してきている。バンガールが要求しようとしまいとリケルメを獲得するには最高のチャンスであったし、何よりもバンガールが常々語っていること「バルサの選手の放出問題や獲得問題はわたしバンガール一存ではなく、そして会長のガスパーの一存ですらなく、FC barcelonaとしてのものである。したがってすべての責任はクラブがとらなければならない。」ということに反しているとクラブ首脳陣は理解している。クラブの責任とはもちろん監督であるバンガールも部外者としては存在しないのだから。
リバルドの放出も、ロナルド獲得放棄も、すべてバンガール一存ということではなく、クラブの責任のもとにおこなったとするバンガール。それであるならば、いまさらリケルメを要求した、しないの話しを公表すべきではないだろう。