10月22

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Champions League
10月23日 20:45
CAMP NOU
FC BARCELONA
vs
LOKOMOTIV DE MOSCU

●召集選手(スタメン候補
ボナノ、プジョー、デ・ボエル、ナバーロ、チャビ、コクー、メンディエタ、モッタ、ジェラール、サビオラ、クルイベル、ビクトル、ガブリ、リケルメ、ロッケンバック、ジェオバンニ、オーベルマルス、ダニ

●非召集選手
エンケ、クリスタンバール、レイジンゲル

●負傷中
ルイス・エンリケ、アンデルソン


鉄の脳をもつバンガール

最近10年のシーズンの中で最悪のポジション(11位)に位置しようと、最少の獲得ゴール数(9ゴール)を記録しようと、自らのシステムとフィロソフィーに命をかけるバンガールに変更はない。多くのバルセロニスタが4人ディフェンスの有効性を叫ぼうが、リケルメの起用を叫ぼうが彼の耳には届かない。バジャドリ戦を「いい試合」と評価し敗因はひたすら「個人ミス」とする彼にとって、3人ディフェンスシステムは機能していると判断されるし、エストレーモの不在も問題とはならない。つまりバンガールノートにはこれまで一切のミスはなかったと考えるバジャドリ戦翌日のバンガールだ。

練習を始める前の控え室でおこなわれるミーティング。もちろん報道陣はシャットアウトだ。だがその中に入らなくても取材は可能だった。なぜなら、外にいてもバンガールの怒鳴り声が聞こえてきたからだ。ミーティングは30分ほど続いた。外に聞こえてくる内容、それはバジャドリ戦後半の選手たちの「集中力の欠如」と「やる気のなさ」そして「闘争心の欠如」を追及するバンガールの大きな声だった。「集中力の欠如」と「やる気のなさ」、そして「闘争心の欠如」。引き分けや敗戦となった翌日に聞かされるいつものセリフがこの日も繰り返される。

9月28日、バルサはベティスに完璧なまでに敗戦。その翌日、練習前におこなわれたミーティングも30分間。ベティスの3点目を厳しく追及するバンガールはすべての選手に「集中力」と「闘争心」を要求。
10月6日、カンプノウでオサスナ相手に引き分けという結果に終わったバルサ。翌日おこなわれたミーティングでは「やる気の欠如」と「闘争心の欠如」を告発。
10月22日、つまり昨日、バンガールはすべての選手に対し、特にナバーロやクルイベルに対し「闘争心」「集中力」「やる気」を要請。
つまりこの3週間にわたって常に同じことが繰り返されているのだ。試合翌日のバンガールによる選手のおこないの追及と批判。しかしこれがいったい何の役に立つというのだろうか。小さな声であろうと怒鳴りちらす大きな声であろうと、いったい何の役に立っているというのか。状況は3週間前と少しも変わっていないというのに。

これまでバルサと対戦してきたチームの監督が親切にもバルサとの戦い方を分析してくれている。

■ルイス・アラゴネス(At.マドリ)
両ウイングにスピードがある選手を配置し、両脇から責めていけばバルサディフェンスは簡単に崩せるのではないか。(試合前のコメント)
■ビクトル・フェルナンデス(ベティス)
我々のエストレーモがうまく機能し始めると共に、バルサのシステムが崩れ我々の理想的なペースが展開された。(試合後のコメント)
■ハビエル・アギレ(オサスナ)
バルサの中盤はうまく機能していた。だが我々のカウンターアタックにうまく対応できるディフェンスではなかった。(試合後のコメント)
■ジョセップ・モレ(バジャドリ)
我々の攻撃はインテリジェンスにあふれるものだった。相手の弱点をついて後半の攻撃に成功した。(試合後のコメント)

それではファンの声はどうだろうか。エスポーツ紙のアンケートによれば87%のバルセロニスタがシステムの変更を要求している。特に今の3人ディフェンスの無効性を強く訴え、4人ディフェンスに戻すことを提案している。さらに93%の人々がデ・ボエルの代わりにアンデルソンのスタメン出場を要求している。さらにムンド・デポルティーボ紙によるアンケートで、バジャドリ戦の敗北の原因を「選手か監督か」の質問に対し、実に77%の人々がバンガールの責任と答えている。

だがバンガールノートにもバンガールシステムにも、今のところ変更はないようだ。バジャドリ戦で負傷したルイス・エンリケは明日のロコモティフ戦には欠場が決まっている。だがそれでもリケルメのスタメンは多くの関係者がみるところあり得ない現象だ。それはバジャドリ戦での選手の起用がリケルメのおかれている立場をさらに明らかにしたことによる。

アンチ・クラック、もしそういう言葉があるとすればバンガールはアンチ・クラックだ。監督よりも”主役”となるクラックは彼には必要ないどころか邪魔な存在でもある。それはリバルド問題が証明してる。ロナルド問題が証明している。そしてバルサにいるクラック、それはリケルメだ。彼はすでの12番目の選手でなければ13番でも14番もない。構想外の選手と言っても言い過ぎではないだろう。モッタが負傷し、チャビ、ガブリ、コクー、メンディエタ、ジェラール、ロッケンバック、あるいはイニエスタまでも負傷しない限り彼の出番はない。

「ボカの監督のビアンチはリケルメを中心にしたチーム作りをした。すべての選手がリケルメを探し、すべてのボールが彼のところに集まるようなシステム。したがって11人の選手によるチームブロックというよりは、リケルメ一人がが光るようなチーム作りをした。」
バンガールによる、この間違ったビアンチ・ボカの分析は、己の高慢さを露呈している。しかもフットボールに対する研究不足を露呈さえしている。ボカでのリケルメがおこなったこと、それはチームがうまく機能するためのプレーの専念だった。

今のところリケルメは耐えに耐えている。バルサに入団できたことをいつも感謝するコメントを忘れないリケルメは、バンガールとの問題を起こす気はないだろう。バンガールが執拗に彼を排除したとしてもリケルメ側から問題を起こすことは今のところ、そう、今のところない。だが物事には常に限度というものがあることも忘れてはならない。


●落ち込むナバーロ
ナバーロは落ち込んでいる。バンガールがバジャドリの2点目を彼の「集中力の欠如」や「闘争心の欠如」として批判していることもさることながら、試合中におこったデ・ボエルとの衝突も原因となっている。バジャドリの選手からのセンターリングをクリヤーしたあとでデ・ボエルは何を思ったかナバーロに向かって怒鳴り散らしていた。ボールはラインを割らずまだ生きている状態だ。ビクトルもコクーもプジョーも何でデ・ボエルが怒鳴り散らしているのか理解できない。だがもっとも理解できないのは当のナバーロだ。翌日のスポーツニュースでその場面を問題とされたことを気にしているナバーロ。カンテラ育ちの彼にとって、ああいう選手同士の問題がテレビ画面に映されるのは非常に辛いことだと思っている。もうバルサに入団して10年以上となる彼にとって、自分のイメージが悪くなることより、バルサのイメージが悪くなることを気にするナイスガイ。昨シーズンはボナノを沈め、今シーズンはすでに国王杯の試合でエンケを沈没させたデ・ボエル。今またナバーロを暗くしている。

●信じられない成績
統計の大家と自任するバンガールは気がついているだろうか。第6節を終了した段階で11位というのはここ10年間にはあり得なかったこと。さらにもう5年さかのぼってみたとしても、つまり最近の15年間でも2番目に悪い成績となっている。昨シーズン、多くの批判を浴びたレシャックバルサは第6節でどのような位置にいたか。何と首位を走っていた、なんて事を誰も信用できないだろうが事実だ。バルサは第6節を終了し、得点10、失点わずか2、そして14ポイントを獲得して首位を走っていた。そして一昨年のセラバルサは12ポイントを獲得し3位につけていた。そしてもっとも心配なのはゴール数の少なさ。バルサはこれまで9ゴールしか決めていない。この数字は過去15年間でも最低のものとなっている。バンガールが言う「攻撃的なバルサ」はどこへいったのか。9失点もしている「バランスのとれたバルサ」はどこへいったのか。